ミクシィ、身売りを検討の報に接して
- Day:2012.05.15 10:00
- Cat:想ったこと
(1)
コンサルタントととして会社再建やプロジェクトマネジメントをしていると、メンバーの中に心の病を持った人が増えてきた。ゲーム業界が構造的な不況に直面した2005年頃にその傾向は顕著になった記憶がある。
遅刻したら厳しく怒るのがハードマネジメント、優しくさとすのがソフトマネジメント。
だが、そのメンバーから、うつ病傾向が見られるならば、遅れてしまった理由をきちんと把握してメンタルヘルスケアを考慮する=第3のマネジメントの方法が必要になる。
これは中途半端な知識では対応できない。臨床心理学の知識を持たなくてはいけないと思った。私は、18歳の時に取得した自動車運転免許以来、資格に興味はなかったが、最低限、産業カウンセラーレベルの知識と資格を持つべきだと思った。
(2)
企業のことを「法人」とも言うことが示すように、組織は生身の人間に似ている。
「組織が病んでいる」と俗に言うが、その意味は‥‥組織が腹痛を起こすはずもなく、多くの場合は組織の心が病んでいることを指すケースが多い。
組織から希望が失われている。だが、その問題に正面から立ち向かう勇気がない。すると社員たちは、本来は優秀であるにもかかわらず、言われたことだけをこなす、一種の幼児退行的な行動をとることがある。
簡単に「サラリーマン化」と片づけてしまうが、「サラリーマン化」は組織に属す個人の心理がそうさせているのだ。組織の問題分析をするうえで、心理学の知識は有用であると考えた。
(3)
経営者と話をしていて、選択するべき道は明らかなのに間違った道を選ぶことがある。
選択肢Aはローリスク・ハイリターン、選択肢Bはハイリスク・ローリターン。選択肢Aが良いに決まっている。そのことを証明する事例や数値を、どんなに用意しても、経営者という生き物は、選択肢Bを選ぶこともあるのだ。
こうしたケースは脳が善悪、損得を判断していない。心が好き嫌いを気分で決めている。
以下は独自の見解だが、この好き嫌いは、経営者の幼児体験と結びついているケースが多い。
特に、創業者兼オーナー(筆頭株主)の経営者は、自らが判断して組織を動かすことができる。また自らが判断しなくてはいけない、という意識が強いので、心理が物事を決める傾向が強いのではないか。
良い経営コンサルタントは、経営者の心理を知り尽くさなくてはいけない。経営学だけで問題解決できない。そこに心理学をミックスさせた経営心理学を探求したいと思った。
ミクシィ、身売りを検討。突然の不自然な経営体制刷新──の報を知った瞬間に、これは経営学だけでは解説できない問題だ。組織心理学、経営心理学的な分析が必要だ、との直感が働いた。

*日経ビジネスONLINEより。mixiチェックのマークがある。

posted by Hisakazu Hirabayashi
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