Hisakazu Hirabayashi * Official Blog政治

パズドラ選挙の告示日に

  • Day:2012.12.04 10:23
  • Cat:政治
総選挙の告示日となった。
今回の選挙、各政党の主張がトンチンカンで、かなりフラストレーションが溜まっている。
年末、仕事は山積みだけど、一度吐き出さないと、かえって効率が悪くなりそうなのでブログを書くことにした。

■原発ごっこが気持ち悪い

そもそも「原発」は、今回の総選挙の争点なのだろうか。
「原発」はすでにある。
「原発」には危険がともなう。
矛盾を解決するのが政治の仕事だ。
今、ここにある現実に直面しないで、「原発」という言葉のアレルギーを利用するのは、有権者の人気取りをしているかのようだ。浅知恵が透けて見えてしまう。
選挙をめぐる論争が「原発」のくだりにさしかかってくると、すりガラスを爪でこすった音を聞くような、気持ち悪さを感じる。そんな音を立てなくてもいいのにと思う。

かくいう私は、原発のド素人だがド素人なりに考えがある。
原子力発電所を企業が経営するのはおかしい。国営化すればいいのに、と思う。
原子力発電所国営化説に賛成だ。
仮に防波堤を建てていれば福島第一原発の事故は防げた、という記事を読んだことがあるが、建てなかったのは、東京電力が企業だからだ。

原発事故は起きないことを前提にして電力会社は営まれている。いつ起きるかわからない「万が一」のために、コストをかけても企業の経営者は誉められない。だが、任期中に利益を上げれば必ず誉められる。

原子力発電所が企業の所有物であること。この仕組みがリスクなのだ。
次に来る地震を人間は止められないが、仕組みは変えることができる。
原発は争点であってほしくない。各党の合意事項であってほしい。
原発は企業が持っていると危険度は高まる。即時廃止は現実問題としてできないが、国有化ならば半年でできる、という政治家の主張が聞きたい。

■税と公共事業以外の経済の話を

「原発」と同じで、「税」にも有権者は敏感だ。
そこで消費税増税廃止を唱える政治家が出てくるわけだが、ほかに着手することがあるかと思う。
議員定数削減、公務員給与のカット、国も身を切ってから国民に負担を求めるのが筋、という正論があるが、この正論が通用しないのは、過去10年の政治を見ていれば無理だとわかる。
今、経済政策で喫緊の課題は企業の内部留保だと思う。

不景気は肩コリと同じでお金という血の巡りが悪いことだとすれば、企業の内部留保のコリがひどい。
資本金10億円以上の企業が保有する2010年度末の内部留保は266兆円もある。
企業が先行き不安で、設備投資も控えて、雇用にも費用を使わない。
ひそかに貯めこみ、大半は金融機関経由で国債等の安全低利資産で運用している。
こんなことをしていて、景気がよくなるはずがない。

増税して財政規律を保つべきだ。
いや、国債発行して公共事業を増やそう。
何年も変わらない議論がまだ続いている。

旧態依然として論争だ。消費マインドならぬ、企業の投資マインドの極端な冷え込み。言い換えると、何かを生産することへの意欲を失い、生き残ることだけの企業にアメとムチを立法するのが国会議員の仕事だ。

■選挙は正直者コンテストではない

そもそも今回の総選挙。野田首相が「嘘つきになりたくない」と言って衆議院解散になったようなものだが、およそすべての組織のリーダーは、ついていい嘘、言ってはいけない嘘を見分けること、嘘をつくならばうまい嘘をつくけること。コレ、重要な資質だと思う。このことはマキャベリの『君主論』のあちこちに書いてある。

ナポレオンもリンカーンも、リーダーがつくべき嘘の勘どころを知っている。
名をなした政治家は、生涯で必ず絶妙な嘘をついている、という視点で政治史を読み返してみると、嘘のすべてが時の国家・国民にとっての悪ではないことがわかる。

私腹を肥やすなどの不正行為は言語道断だが、ただの正直者は宗教者になるべきであって、政治家には不適格だ‥‥と暴論か正論かわからないが、私が考えるところを述べてみる。

■第三極から連想すること

硬い話を延々と書いたので、最後にゲームの話をする。
今回の選挙では、多数の政党が入り乱れることになった。すでに政党が生まれては消滅して、新政党をつくっている。この景色、何に似ているかというと、『パズル&ドラゴンズ』のパワーアップ合成を見ているみたいだ。集めてレベル上げさせよう!‥‥的な。属性が違っても、強引にレベル上げをさせている政党もある。

選挙前の数合わせゲームは、もうひと通り終わって告示日を迎えた。
総選挙が終われば、今度はどの党とどの党が連立するかのゲームが始まる。
その際には、進化合成をしてほしい。単に数を集めて過半数をとるではない、組み合わせによって質が変化するような。

選挙、政治のことを考えると失望感が心に広がってしまうけれども、嘆いてもしかたない。
今、与えられた環境で、与えられた権限を行使するしかない。

パズドラ


この文章の冒頭ではフラストレーションが貯まっていると書いたけど、今回の総選挙を「パズドラ選挙」と考えると投票所に行く気になってきた。本当は今、『ドラゴンコインズ』があまりにもよくできていて、熱中しているのはこちらのほうなのだけど、まだメジャーではないから、「パズドラ選挙」と呼んでみた。

この場では書きたいことは、なんとなく書けた。さあ、仕事開始。

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戦争の時代・政治の時代・経済の時代のつづき

  • Day:2011.10.14 00:00
  • Cat:政治
(つづく、かもしれません、つづかないかもしれません)
で昨日は終わったけど、やはり、つづけることにした。
こういう話、好きなんだ。

世界の歴史を3つの時代に分けてみたんたけど、それぞれ活躍できる世代が違うと思う。

(1)戦争の時代は、若者が活躍できる。戦地に行くのは若者だから。若者の肉体と言ってもいいのかな? 

(2)政治の時代も、若者が活躍できる。新体制をつくろうとする人物は若者の中から出てくる。たとえば、坂本龍馬。坂本龍馬は20代で大仕事を成し遂げ、33歳でこの世を去った。

(3)ところが経済の時代は、若者が活躍しにくい時代になる。中高年が活躍してしまう時代だ。会社には年長の経営者や上司がいて、若者は命令に従う側になる、どうしても。そして(1)とはほど遠い現在、男の肉体のポジションは相対的に下がって、草食系男子が出てきた。

んじゃないかなぁ。

3_2.jpg


話は飛ぶけど、私は2.26事件にちょっと詳しい。
牧野伸顕という人がいてね、暗殺されそうになったけど助かった。

彼は私の生まれ故郷の神奈川県・湯河原町にいた。
襲撃された大臣をかくまったのが、母方の大叔父で、子どものころから自慢話をよく聞かされた。

「少尉から大尉に二階級特進したんだ」って。
若い人にはわからないかもしれないけど説明は省く。

で、オトナになって2.26事件の本を読みあさると、当時の反乱軍にされた青年将校たちは大きな間違いをしたことに気づく。

2.26事件が起きた1936年は、政治の時代が終わって、経済の時代に突入していたんだ。

なのに、政治家を暗殺すれば世の中は良くなると考えた。
今のネットスラングで言うと、アフォだね。

この時代の変わり目を読み誤ったというのが、自分なりの結論。

物騒だけど、野田……えーっと……野田佳彦首相。
今はトンデモナイほど経済の時代だから、仮に首相を暗殺したとしても、世の中は全然変わらないでしょ。

だけど、このなんだかモヤモヤした経済の時代。
しかも悪い方向に向かっている経済の時代に、リセットをかけたいという気持ちがあって、命が亡くならない敗戦をしてほしいこの国、なんてことを考えているんだよね。

   

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戦争の時代・政治の時代・経済の時代

  • Day:2011.10.13 00:24
  • Cat:政治
昨日です。
Facebook上のふとした私のコメントから、日本の将来はどーなのよ? というマジメなご意見をいただくことがありました。

私の話、いつも長いんですけど、この話は相当に長くなるので、コメントのお返しではなくブログに書きます。

まず、世界史の話、します。
世界史。学校の成績は良くなかったけど、本を読むのは好きだった。
細かい年号などを覚えるのは苦手。
斜に構えて読むのは好きなんですね。

するとこんな発見がありました。
歴史、特に近代史以降の、大枠をつかむと、こういうサイクルを描いていると思ったんです。


(1)戦争の時代
(2)政治の時代
(3)経済の時代
 ↓
(1)再び戦争の時代



3.jpg



宗教戦争、領土をめぐる戦争は除くとして、経済の衝突は戦争を起こします。

殺人事件の動機は「金銭トラブル」が1位か2位らしいのですが、その国家版。
かなり語弊がありますが、わかりやすいでしょうか。

戦争が起きました。
戦争が終結したら、やってくるのは政治の時代です。

秩序の作りなおしをするために、政治が世の中を動かす時代が来ます。
新憲法制定みたいな、立法をして。
廃藩置県や財閥解体などの制度を整えて、っと。

で、政治が世の中を整えると、今度は経済の時代へと移行していきます。
「お金」が稼げるようになって、「お金」が大事な時代になってきます。

でも、人間の欲は深い。(←映画『スカーフェイス』のセリフより)

もっと「お金」を稼ごうとする。
または、今、稼げている「お金」がなくなりそうになると、戦争が起きてしまう。

この3区分のこと、歴史のセンセーはどう思うかわからないけど、私はこんな物差しを脳内にインストールして、ときに年表や世界地図を眺めてます。

んでもって、「日本の将来はどーなのよ?」
今の日本は、

(1)戦争の時代
(2)政治の時代

は明らかに終わって、

(3)経済の時代

にいます。
するってーと。
次は再び戦争の時代?

でも、ゼロとは言いませんが今の日本は戦争をすることはないでしょう。
変な願望ですが、命が亡くならない敗戦をしてほしいこの国、なんてことを週に1回か2回考えているんですよ。

(この話、つづく、かもしれません、つづかないかもしれません)


  


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余計なお世話だけど「よしひこ」だよ

  • Day:2011.10.12 23:22
  • Cat:政治
私が物心ついて、最初に覚えた内閣総理大臣(首相)の名前は佐藤榮作‥‥さとうえいさくだった。
それ以降の首相はフルネームでいえる。

  • 田中角栄
  • 三木武夫
  • 福田赳夫
  • 大平正芳
  • 鈴木善幸
  • 中曽根康弘
  • 竹下登
  • 宇野宗佑
  • 海部俊樹
  • 宮澤喜一
  • 細川護煕
  • 羽田孜
  • 村山富市
  • 橋本龍太郎
  • 小渕恵三
  • 森喜朗
  • 小泉純一郎
  • 安倍晋三
  • 福田康夫
  • 麻生太郎
  • 鳩山由紀夫
  • 菅直人

ところが肝心な現職の首相が野田‥‥で止まってしまう。
「佳彦」という漢字を思い出して、やっといえるかどうか。
人一倍、政治に関心があるのに、なんだろう。
ボケたのだろうか?

そんなことをTwitterでツイートしたら同じくフルネームを言えない人が私以外にもいた。

みんな、今の日本の首相は野田佳彦(のだよしひこ)だよ。

ドラマが好きな人は勇者・ヨシヒコ
昔の野球ファンならば、高橋慶彦と覚えよう。

「走れ、タカハシ!」は高橋慶彦をモチーフにした村上龍、オムニバス形式のユーモア小説。
この本、好きだった。構成が良かったんだよなー。




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政権交代が起きた日のエントリー

  • Day:2011.04.10 20:02
  • Cat:政治
2009年9月1日。
衆議院選挙が開票され、政権交代が起きた日の翌朝。
私は「政治なのに文学的になった夜だった」というエントリーをしています。
統一地方選挙、開票をまえに読み返してみました。

 政権交代!
 鳩山内閣誕生!
 自民党、大物議員、続々落選!

 漢字だ。
 我が家のテレビに流れるテロップは、どれも漢字だった。

 起きたことは戦後政治史において、画期的なのはわかる。
 でも、どの番組を観ても「感じ」が伝わってこなかった。
 漢字で書き、漢字を話をしている気がした。

 いつも、漢字好きな、つまり概念の中で生きるのが好きな私だが、こうみんなに漢字を使われると、かえって冷める。

 民主党の獲得議席も、激戦区の動向もどうでもよくなって、テレビ画面を眺めがら、まったく別のことを考えはじめた。

 「国民が主役の」と言っている人の、軽井沢の別荘の前を通ったことがある。
 あの広大な別荘を国民は持っていない。

 「子ども手当て、2万6千円のマニフェストは守るんですね」とその人に話をしているキャスターのギャラは、一晩で数百万だ。

 入閣が噂される民間人を、テレビ局の人たちは知っていて、あえてコメンテーターにしていない。

 バンザイにダルマも世間ズレしていると思うが、のぼりを持って自転車に乗るのもどうかと思う。
 こうした候補者を見て、『ドラゴンクエスト9』のサンディだったら、何て言うだろうか。
 参政権のない、ガングロの妖精の意見を聞いてみたい。

 心、ここにあらずの状態で、画面を眺めていると、そんなシニカルなことばかりを考えてしまう。

 現実に何か大きなことが起きているらしい。
 でも、ウソっぽい。

 私は、現実の中の虚構を私は見ている。
 ……ような、感じがする。
 いや、虚構という現実を見ているのだろうか。

 夢か現(うつつ)か、現か夢か。
 「荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだ所、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか」。
 
 気分は『胡蝶の夢』だ。

 この空恐ろしいフィクションのようなノンフィクションを、バレないようにしているのはネクタイかもしれない。私は急に、政治家とキャスターとコメンテーターの服装が、気になりはじめる。

 だが、あまり意味はなかった。
 一緒だ。
 そこにもまた、虚と実が混ざっている。
 スタイリストがついている人物と、そうでない人物の見分けがついてしまう。

 幅広のレジメンタルストライプのネクタイをしている派と、それ以外の人という見方もできる。レジメンタルといえば、イギリスの連隊を示す柄。トラディショナル・ファッションのシンボルだ。

 「風が吹いた」。
 「逆風の中での苦戦した」。

 比喩は「風」がほとんどだった。
 風の話は聞き飽きた。

 「私の不徳の致すところ」。
 「敗軍の将、兵を語らず」。

 敗者の言葉も陳腐だ。
 私が落選候補者の参謀なら、名コピーを思いついてから選挙事務所入りすることをすすめるのに。

 テレビに映る誰の言葉も冴えていない。

 石原慎太郎だけは違った。
 「自民党は軽蔑されたから負けた」ときっぱり言い切った。

 蔑は漢字だが、「感じ」が伝わった。
 「首相が漢字を読めないとか、任期中の県知事に出馬を頼みに行くとか、国民から軽蔑されるようなことをするから負けるんだ。反対意見や怒りの感情を鎮めることができても、軽蔑された者は信用を取りもどすことができない」。

 蔑という字は下品すぎて、危険すぎて、他のテレビの登場人物たちが、無意識のうちに避けている文字だったが、それを使ってしまうところが、良くも悪くも石原慎太郎だ。

 それにひきかえ、ただただ、失礼な記者がいた。
 麻生太郎という、この日、最も惨めな思いをしている人に、こんなことを言った。

 「いわゆる“麻生おろし”があったときに辞めていればよかったとは思いませんか?」。
 そんなことを尋ねて、なんの意味があるのだろう。

 今、政治の話をしているが、明日、大地震があったら、どうするんだろう? みんな。
 その、みんなは誰を指すのかがわからない。
 わからないが、なんとなくみんなのことを考えている。

 地震、台風、インフルエンザ。
 比例東京ブロックの票数よりも、天変地異が気にかかる。

 心、ここにあらずの状態で、思いつくままに思考してはやめる行為にも飽きて、就寝。
 眠りについたのは、たぶん午前2時。

 睡眠不足の朝。
 街は驚くほど静か。

 電車に乗っている人は誰も口をきかない。
 昨夜の選挙の話すらしていない。
 そして、新聞を読んでいる人が少ないような気もした。

 政権交代なんて、まるで他人事で、遠い日の思い出のようだ。
 この景色が幸福なのか、不幸なのかもわからない。

 明らかに変わったのは気温だ。
 虫の声だ。
 9月1日。
 季節は夏から秋へと変わった。
 なう。

株主優待