Hisakazu Hirabayashi * Official Blogエキスパートブログ

インターネット時代のスーパーマリオ

僕は今、ゲームの流れはクラウドに向かっているんだぜ!
と、いうことを言いたくてしかたないのだ。

だけど、クラウド化、クラウド・コンピューティングといくら書いてもスベッテイル感がある。

クラウドは技術的な専門用語。
供給者側に立った用語。
一般のゲームユーザーからは遠い用語。

なにか、うまい言い換えはできないだろうか、と考えた。

クラコン、天コン、宙コン、スーパー空コン、雲太郎、クラウドボーイアドバンス、テラドライブ、PCエンジンのエンジン、プレイどっかのステーション、ニンテンドーCC、BoxじゃないXbox。

ああ、どれもダメだ。
こんなことツイートしていたら(@amaneken)さんが「インターネット」でいいんじゃないんですか、とご提案してくれた。

考えすぎていた頭を、戻してくれた気がした。
ありがとう。
そうだ、そうだ、インターネットでいいんだ。

今、僕がクラウド……いや、インターネットでよく遊んでいるのは「Magnum Pleasure Hunt」という名のゲーム。

URLはこちら。
http://pleasurehunt.mymagnum.com/

これはまさにクラウド技術を使ったものだけど、タイトル下にACROSS THE INTERNET(インターネット経由だよ)と書いてある。
(言語を英語「US」を選んだ場合)

矢印キーとスペースキーを押して遊ぶ。
走って、ジャンプする、頭上にあるアイテムを取る。上下するリフトなどもある。
主人公がすることは『スーパーマリオブラザーズ』に似ている。

遊びやすい。
あと、ステージ演出がなんだなぁ。
いかにも、ACROSS THE INTERNETの感じがする。
とにかくインターネットなんだ。
それがどんな感じかは、見てのお楽しみということで。

タイトル画面にTURN UP THE VOLUMEと書いてある。
途中で左右のスピーカーから出る音がかわる場面もある。
素直にスピーカーのボリュームを上げて遊んでほしいゲームだ。
magnum.jpg

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posted by Hisakazu Hirabayashi

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ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー

CEDEC2011で講演された大圖衛玄(おおずもりはる)先生は、私が顧問をさせていただいている片柳学園・日本工学院八王子専門学校の先生です。ゲーム業界黎明期からの凄腕プログラマーで、同校、ご着任以来の仲良しです。

その大圖先生がおつくりになったスライド。
パワーポイントによるプレゼンテーションを共有する、slideshare内Technology部門のMost Popularで2011年9月19日現在、堂々の1位です。

テーマは「ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー」。
専門用語が並んで、何やら難しいことを私は書いていて、スライドも難しいのではないか?
‥‥と思われるかもしれませんが、スライドを一枚一枚めくると笑えます!

そして「ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー」とはそういうことだったのか。
と、わかりやすく説明されていて、じつに秀逸。

ゲーム開発にたずさわっている方は、ニヤニヤとしたり、耳が痛かったり、共感を覚えたりするのではないでしょうか。
必見。
ご紹介します。

ドル換算しても通用する人材でありたい

9月11日は2001年に米国でテロがあった日です。あの夜のことを覚えています。
渋谷ハチ公の交差点にいる時に、打ち合わせを終えたばかりの仕事仲間から電話がかかってきました。

「ニューヨークで飛行機がビルに激突した」と。
はじめは観光用のプロペラ機が、どこかのビルに当たったのかと思いました。

家でテレビを見たらトンデモないことになっているではないですか!

ワールドトレードセンターに飛行機が激突する映像が流れ続けました。高校時代の同級生が同ビルで働いていたのですぐに電話をしました。「出社途中でなんとか助かった」と。ですが、口調は同朋の安否を気づかい、恐怖に怯えている様子でした。

あの夜に不思議に思ったことがあります。

同時多発テロと言われたくらいで、ニューヨークだけではなくペンタゴン(米・国防総省の本部庁舎)にも航空機が落ちたと報じられているのですが、その映像はなぜか映らない。たまたま撮影者がいなかったのかもしれませんが、何か意図的なものを感じました。

それから時が過ぎると、

あのテロは米国の自作自演ではないか。
激突した飛行機の映像はCGで作成したものである。

[参考映像1][参考映像2]

と言った説も流れはじめます。
ことの真偽はわかりません。

ただ、ひとつ事実として言えるのは、あのテロ行為をきっかけにアフガニスタン、イラクで戦争が起こり(=起こし)、アメリカの軍事費は巨額になったこと。ブッシュ政権時代、2003年に4500億ドル、2005年に5200億ドル、2007年に6200億ドル、任期中の最後の年、7100億ドルを超える軍事費を使っています。これは、クリントン政権時代の8年間の約2倍以上とも言われています。

下の写真は2005年に行ったE3(Electronic Entertainment Expo)のとき私が撮影した写真です。メインホールの正面は、米国陸軍が屋外出展をしていました。

DSC_0091.jpg

『America's Army』というゲームの紹介をしています。
Wikipediaの記述によれば、(おそらく当時の円換算で)開発費22億円を投じたゲームです。米国陸軍の広報が目的ですから無料で遊べます。無料サンプルディスクを配るのはコスプレをしたアルバイトではなくて、本物の軍人たちです。

今でも『America's Army』は無料でダウンロードでき、YouTubeの特設チャンネルもあります。

話は転じます。
円高について、です。

私は国際経済・為替の専門家ではありませんが、現在の円高は円の価値が上がったのではなく、ドル安が招いた要因が大きいでしょう。

ドル安の原因は、米国の財政赤字、米国経済の先行き不透明感、そして米国政府の「ドル安」戦略。それに投資家・投機家心理が働いて、日本円が相対的な買いの対象となり、「みんなが買うから自分も買う」「みんなが買うから円高になる」「円高になるなら為替差益を狙って円投機」というスパイラル円高が起きているのではないでしょうか。

この米国の財政赤字。
ブッシュ政権時代の8年間で4兆3千億ドルを軍事費として支出したツケとなっていることは言うまでもありません。

なぜ、ドル安、円高などの話をするのかと言うと、先週行われたCEDEC2011と関係があります。

私は「ゲームのお仕事」業界研究フェア(ゲーム業界人事担当者対談 2011)のモデレーターをつとめさせていただいたのですが、その際に、あるご登壇者が重要な問題を投げかけてくださいました。

仮に日本での初任給を350万円とします。1ドル70円程度で換算すると、その額は約5万ドルになる。外国で5万ドルの賃金を出したら新卒でも中途でも、相当に優秀な人材が採用できる。


話はずいぶんと遠回りしましたが、9月11日、米国の軍事費、ドル安、円高は、日本ゲーム産業の雇用の変わり様へとつながっていきます。

自分の収入を一度、ドル換算してみる。
その価値が、世界で通用するかどうかを見直す時が来ています。
悲観論としてではなく、グローバルな視座から危機感を持ち、自分の価値を再評価してみる良い機会、という意味をこめてこの記事をエントリーいたしました。

原子爆弾とテレビゲーム

コーネル大学・大学院生のころに、開戦を迎えたウィリー・ヒギンボーサム<William (Willy) A. Higinbotham>博士は、「マンハッタン計画」に参加することになった。博士は電子部門のチーフを担当。わが国に投下された原子爆弾の爆発を制御する回路は、彼の設計によるものだった。

ウィリー・ヒギンボーサム博士は、自らの研究が原子爆弾の製造に使われることを知らされていなかった。そして、実際にその爆弾が投下されたことを悔いた。大げさな言い方をすれば、将来、十字架を背負って生きることになる。

終戦を迎えると、博士はニューヨーク州にあるブルックヘイブン国立研究所に在籍することになる。電子回路の専門家は、軍事とはまったく関係ないもの。平和なコンピュータの利用方法として、「遊びに利用すること」を考えた。そうして生まれたのが『Tennis for Two』だ。



「世界初のテレビゲーム」の定義は諸説あるが、『Tennis for Two』とする説が最も有力ではないか、というのが私の見解だ。オシロスコープを使ったこのゲームが生まれたのは1958年のことだった。

私は一度、この研究所を訪れたことがあるが、子どもたちがたくさん来ていた。日本で言うならば、ニューヨーク州の子どもたちの「社会見学」の定番コースだ。1958年当時も、博士はコンピュータの素晴らしさを子どもたちに伝えるため、難しい技術解説ではなく、遊びを用いた。

博士は自身の研究が原子爆弾に使われたことを悔やんだ(と推定できる)。のちに博士は、米国科学者連盟理事として核拡散防止のため政府と調停活動を行っていた資料が残っている。

また、博士は核兵器拡散防止団体(Federation of American Scientists)の初代議長と最高顧問を務めている。

原子爆弾の回路設計者が、反核を主張する科学者へ。
この苦悩の人生の道程の途中に「世界初のテレビゲーム」とされる『Tennis for Two』がある。

博士の功績は、「世界初のテレビゲーム」をつくったことだけではなかった。ブルックヘイブン国立研究所では、研究成果をすべて特許出願するのが規則があったが、博士はそれを拒んだ。

特許出願をしてしまうと、このコンピュータを使った遊びを「他の人がつくれなくなってしまうから」というのが、その理由だ。

8月6日。広島に原爆が投下された日は、ニュースが通りいっぺんになる。今年の場合は、原発問題とからめた報道もあったが。だが、この日に「ゲーム」の語る人は少ない。1945年8月6日は、1958年に世界初のテレビゲームを生む、そして、現在への道筋をつなぐ、遠因ともなった日である。

ウィリー・ヒギンボーサム博士は1994年11月10日に永眠した。
日本では、その12日後にセガサターンが発売された。
翌月12月3日に、プレイステーションが発売された。

newyork.jpg

▲1945年8月7日発行のThe New York Times.

ニンテンドー3DSは1万5000円でなくてはいけなかった

ニンテンドー3DSが値下げした。
2011年8月11日から、現行の2万5000円(税込)から1万5000円(税込)に改定する。
発表サイトはこちら。
PDFでもリリース文を読むことができる。

私はこの報を移動中の電車内で知った。
考えた。
この任天堂の判断は是か非か、ついて。

まず、考えたのはソフトの価格(メーカー希望小売価格/以下価格と表記)だ。

ニンテンドー3DSのサードパーティ製のソフトを買うたびに思うことだが、価格が高く感じる。ニンテンドーDSが爆発的なヒットの足掛けとなった『脳を鍛える大人のDSトレーニング』。価格は2800円だった。2800円を要求はしない。

ニンテンドー3DSのソフトの心の中で思う適正価格は4800円が上限。
どうやら5000円に心理抵抗線があるのではないか、というのが私の仮説だった。

余談かもしれないが『スーパーストリートファイターIV 3D EDITION』と『バイオハザード ザ・マーセナリーズ3D』を4800円で発売したカプコンは、この5000円=心理抵抗線を理解して価格決定をしている。
良心的かつ優良なプライシングだと思っていた。

したがって、2万5000円から1万5000円ではなく、ハードの価格は1万9800円にする。そのかわりに、サードパーティが任天堂に支払う製造委託費を下げる施策はなかったのか? という思考が真っ先に頭に浮かんだ。

大幅値下げの弊害は、販売店にもしわ寄せが来る。
当然ながら、1台販売した時の利益は減る。

Twitterをのぞいて見ると、「だったらニンテンドー3DSを買うかな」とつぶやいている人がいた。

そうじゃない。ユーザーが購入するハードの値段が下がっても、サードパーティのソフト、販売店の売る気、さらに開発環境の整備など、多数の要因が結びつき合って、ゲームプラットフォームの繁栄がもたらされる……と言いたい心境になった。

それ以外にもバカなことを考えた。
いっそのこと「ニンテンドー3DS」という名称を改めて、「ニンテンドーDS3」にすると、数千万人いるニンテンドーDSユーザーが乗り換えるのではないか、など。

いや、待て。
PlayStation VITAを仮想敵とした場合に、Wi-Fiのみモデルと比べて1万円の差、Wi-Fi+3Gモデルと比べて約半額になる。やはりインパクトがある値下げだったのではないか。頭の中で、この判断は「是」という考えも湧き出してくる。

移動先からまた電車に乗って帰ってきた。

電車には多数の中吊り広告がある。
駅には売店がある。
オフィスに戻るまえにコンビニエンス・ストアに立ち寄った。
私はふっと目が覚めた気がした。

サードパーティのソフトの価格。
販売店の売る気。
製品のネーミング。
PlayStation VITAとの比較。

これらはすべてゲーム業界に軸足を置いた思考ではないか、と。

視線をもっと引こう。
マクロに見よう。

ニンテンドー3DSを、裸眼立体視できる任天堂の携帯ゲーム機と見ることをせずに、駅の売店で売っている栄養ドリンクや、コンビニエンス・ストアにおいてあるヨーグルトと同じように、「商品」のひとつと考え直すことにした。

ニンテンドー3DSは5月あたりから「値崩れを起こしている」と言われるようになった。
中古品も出回り、オークションサイトにも出品されていた。その価格帯はすでに1万円台だった。
新型ゲーム機としては異例の現象である。
(*注/時間により流動性のある価格の記述は削除しました。7月29日5:20修正)

経済用語の使い方としては、正確ではないが、話をわかりやすくするためにあえて使う。
「神の見えざる手」という言葉がある。
もともとはアダム・スミスが『国富論』で書いて、有名になった言葉だ。

経済活動をしていると、市場は生き物のように動き、人間の力ではどうしようもない神の力が、売上や利潤や価格を決定する。

ニンテンドー3DSは、神の見えざる手によって本来の価格から実勢価格に操作された。
ということは現行の実勢価格より、価格を落とさないと、事実上、値下げしたことにならないのだ。

sd.gif

上図。
需要がD2ではなくD1ならば、P2はP1になる。
供給量(supply)に比して、需要(demand)が少なければ、価格(price)が下がる市場原理のもとで、われわれは生活している。

ゲーム業界の頭では考えない。
日々いとなまれていれる経済活動の頭で考えたら、この時期に任天堂が2万5000円のものを1万5000円にしたことは、「是」なのである。

だから、ニンテンドー3DSはこれからよく売れるとも、売れないだろうとも言っていない。
サードパーティが喜ぶとも、喜ばないとも言っていない。
ゲーム業界思考を頭から取り払った。

その結果、他者から「値崩れが起きている」と言われる期間が続くよりは、任天堂自らが「値下げしました」と言ったほうが得策だ。そして、その価格は1万5000円でなくてはいけなかった、という部分の結論にたどりついた。

【ご参考】
上記の文章を簡単に書きました。

クリックしてください
http://ameblo.jp/hirabayashihisakazu/entry-10968733426.html
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