Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2009年06月

6月30日は地味だ

6月30日が終わる。
ということは6月が終わる。
ということは半年が終わるのだが、静かだ。
イベントがない。

もとから、祭り好きな日本人の国民性。
バレンタインデー、ホワイトデー、母の日、父の日……のように、ギフト関連産業は記念日をつくるのも大好きだ。

でも、「半年終了記念日」というのもない。
忘年会ならぬ、忘半年会というのも聞いたことがない。

我が家で、「ああ、今年も半年終わったな」と乾杯することもなく、ただの1日として6月30日は、地味に日めくりされていく。

そういえば、明治生まれの祖母や祖父の世代は、6月に限らず30日を気にしながら生きていたような、少年時代の記憶がある。

「今日は晦日ですね」のように、晦日という言葉をよく耳にした。
ところが、今では大晦日だけが晦日みたいだ。

1年には365日あるわけだが、何かポテンシャルがありそうなのに、それをいかし切っていない感じのする、6月30日だ。
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ミレーとマルクスは1歳違い。で、わかりやすい「資本論」を観る

19世紀のフランス絵画を学ぶのはいいが、そのまえに興味を持ってほしいのは、19世紀のヨーロッパについてだった。「落穂拾い」という有名な、ミレーのを見てもらった。

この絵画は、ただの農村の風景を描いた絵ではなく、現代風に言えば「格差社会」を描いている。遠くに土地所有者の家屋、馬に乗る監督者、豊かな収穫物が見える。そして、近くには、刈り入れが終わった後の麦の穂を拾う、3人の貧しい農婦が描かれている。

遠景と近景、絵の構図でいえば、上下で、貧富の差を表現しているように見える。
ミレーは、自分の絵画を政治的に解釈されることを好まなかったらしいが、当時の社会構造がビジュアル化されていることは、隠しようのない「落穂拾い」だ。

こういうところが、歴史のおもしろいところだが、ミレーの1歳違いの人物にマルクスがいる。
マルクスはドイツの思想家であり哲学者であり経済学者、そして何よりも、社会主義(共産主義)の創始者、革命家だった。

ミレー Jean-Francois Millet(1814~1875)
カール・マルクス Karl Heinlich Marx(1813~1883)


だから、予備知識としてマルクスのことを知っておくと、19世紀のヨーロッパが、もっとわかりやすくなる。

しかし、今さらマルクスの「資本論」を読みなさいとは言えない。
難しすぎる。

なんたって、真説が俗説かどうかは知らないが、マルクスは「資本論」が発禁処分にならないために、審査官がいやになるくらいに長くて、難解な文章を書いた、との話もあるくらいだ。

だが、この「資本論」をわかりやすく紹介してくれるテレビ番組があり、それがYouTubeにアップされているので、ここに紹介する。

フジテレビの深夜番組で「お厚いのがお好き?」という、知的エンタテインメント番組があった。
「カノッサの屈辱」と同じ、小山薫堂さんの構成による。

全部で4編あり、すべて観るとかなり時間がかかるが、書物の「資本論」を読むのに比べたら、はるかに時間は短くてすむ。ぜひ、ご覧いただきたい。










気象庁、警察官立寄所、コメントのお礼、横浜美術館の小泉節

日曜日の夜。

梅雨時の雨上がりで、じとじとしているかと思って窓を開けてみたら、意外と空気は爽やかだ。
東京の湿度はじんわりと下がっている。
Yahoo!など、ポータルサイトの天気情報ではもの足りないという方は、やはり気象庁でしょう。

今日の東京の最高湿度は午後3時から4時にかけてで84%だった。
それが11時すぎには68%に下がっていることを、気象庁のサイトで知った。
さすが、気象庁。
特にホーム > 防災気象情報 > アメダス(表形式)が、すごく便利だ。

今、政治家たちは、自分たちのことを棚に上げて、官僚批判を繰り返している。
霞ヶ関解体、なんて物騒なことを言っている。
厚生労働省の局長が逮捕されたり、農水省はカラ出張問題だったり。
日本郵政社長人事、地方分権問題……。

霞ヶ関解体論、うなずけるところも多い。
でも、気象庁って、なんか別格で、皆がコツコツとまじめに働いているような気がする。
気のせいかもしれないけど。

消えた年金記録の社保庁と、1時間ごとに「気温」「降水量」「風向」「風速」「日照時間」「湿度」「気圧」を発表してくれる気象庁は、一緒にするべきではないように思う。

いや、待て。気象庁は霞ヶ関にない。
なぜか、竹橋にある。
住所でいうと千代田区霞ヶ関ではなく、大手町だ。
だから、霞ヶ関解体されても安泰なのか。
気象庁は。でも気象庁は、国土交通省の外局だ。

そんなことが問題ではない。
問題なのは、この看板だ。

keisatsu.jpg

マンションの理事会で、はずすように訴えたが却下された。
美観をそこなうこと、はなはだしい。

私の住んでいるマンションは、9年間で1件の盗難事件も起きていない。
24時間、ガードマンさんが見回ってくれている。
本当は、外来語であるガードマンに「さん」をつけてはいけないが、つい、「さん」をつけたくなるくらいに、深夜も寝ずに見回ってくれている。

なので、わざわざこの看板をつけなくてもいいだろう。
ただ、ひとりごとを述べているようだが、この警察官立寄所の問題は、今週、私がブログで語ることの伏線になるかもしれない。

話は唐突に飛ぶが、投げ銭システムのエントリーで「管理人のみ閲覧できます」にコメントをいただいた、MさんとMさん(イニシャルが偶然同じ)、昔のことをよく覚えていてくださって、どうもありがとうございます。

Mさん、お手紙のこと、もちろん覚えていますとも。
それからMさん、私の最大の励みになるようなコメントをいただきました。
おふたりとも、本当にありがとうございます。
メールでお返事ができないので、この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

話せば消えてなくなる言葉でも、10年近くにわたって覚えていてくださり、身が引きしまる思いがします。

恒例になってきた、月曜日の出講の関連リンクです。
以前にも紹介しましたが、
「奇想の王国 だまし絵展」
「ゴーギャン展」
それと、
「フランス絵画の19世紀」

の話をします。
話の行きがかり上、警察官立寄所の問題でエキサイトするかもしれません。
あと、横浜美術館の文章力も気になっていて、

アカデミズムなくして
フランス絵画の19世紀なし


……って、小泉純一郎・元首相のレトリックと同じ。とてもダサい。
この話もするかもしれません。

でも、

あいてをよくみて
いっしょうけんめい
うなづきながら
えがおで
おわりまできいてください!

「きく」と「はなす」の基本を小学1年生は知っている

  • Day:2009.06.28 00:00
  • Cat:教育
我が家の近隣の公立小学校。
1年生の教室に貼ってあるポスターだ。

あいうえお
かきくけこ

を頭文字にして、わかやすく、全部ひらがなで「きく」と「はなす」の基本が書いてある。じつに、良い教えではないか。

ただ、残念なのが、この場所が小学1年生の教室だということだ。

ここに書いてある2枚が、進学するにつれて忘れられていくのは、試験に出ないからだろうか。
昨日のつづきだが、本当ならば、高校にも、専門学校にも、大学にも貼ってほしい。
高等教育では高度な学問、たとえば芸術系の大学で「著作権法」が履修科目になっていることは、当然のことかと思うが、プロフェッショナルの現場で求められるのは、この2枚の紙に書いてある能力だ。

学校だけではない。
「ウチの会社は待遇が悪い」を連呼する説明会をやる会社。
「ただ今、ほかの電話に出ておりますが……(沈黙)」の会社。
客の問い合わせに「プッ」と鼻で笑ってしまうメガバンクにも、貼っておいてほしいと思う。

kiku_20090627170212.jpg

hanasu.jpg

叱れない上司たち

  • Day:2009.06.27 00:17
  • Cat:働く
マイケル・ジャクソンの訃報があったので途切れたが、「人間は動物だからマナーやエチケットが必要なのだ」には、賛同してくださるご意見をいただいた。そして、続くエントリーの会社説明会のつたなさにも、同様の意見をいただいた。

大きな話から入ると、日本の教育システムは、学校もそう、企業もそう、働くことを学ぶという体制ができていない。

ほんの一例だけど、就職前の学生は「挨拶」の勉強が必要なのだが、大学や専門学校のカリキュラムに「挨拶」という科目はない。というか、文部科学省・都道府県がそれを認めない。

高等教育機関では、高等教育を行うことが原則的な規則となっている。
「ごあいさつ」のようなことは、幼稚園の日常生活や、小学校の「どうとく」の時間で学ぶものであって、それを習熟した者が高等教育機関へと進学するもの、というタテマエがあるからだ。

……というように、働くことを学ぶことができない国家的な制度矛盾については、いくらでも語りたいが、それは別の機会で触れることがあるだろう。

大きな話ではなく、身近な話。
会社のなかで上司は何をやっているんだろう? と疑問に思うことがある。

部下を叱れない上司が増えている。
部下の行動に無関心な上司が増えている。
上司だ、という意識が欠けている上司が増えている。
上司になって責任を負わされるよりも、気楽な部下をやっていたい者も増えている。


昨日、とある用件があって、日本中の誰もが知っているような超有名企業に電話した。
「私、株式会社インターラクト、平林と申します。○○部長はいらっしゃいますでしょうか?」と言ったら電話口の担当者はこう言った。

「ただ今、ほかの電話に出ておりますが……(沈黙)」

え?
それはない!

「恐れ入ります、ただ今、ほかの電話に出ております。折り返しお電話を差し上げるよう申し伝えます」だろう。

このことを、近くにいる上司は指導しただろうか、きっとしていない。

火急の用件があり、イタリアの銀行に送金する必要が生じた。
イタリアへの銀行振り込みを、私は今までの人生で、一度もしたことがない。
そこで、某メガバンクに問い合わせをした。

「送金すると何日かかりますか?」とたずねると、「たいてい2~3日です」と言われた。
「念のためおうかがいしますが、その日数は営業日ですね?」と訊いたら、私の耳元に「プッ」と笑い声が聞こえて、気のせいかもしれないが、ちょっと小馬鹿にした感じで「そうです」と答えられた。

その様子を聞いて、近くにいる上司は何か言っただろうか?

「お客さまからのお問い合せには、笑わないで答えなさい。それから『そうです』ではなく『左様でございます』と返事をしなさい」。

そう言って、もらいたいものだ。
でも、言っていないだろう。

正しいビジネスマナーを教える指導者は、口うるさい嫌われる上司になってしまっているのではないだろうか。

ああ、マイケル(τ_τ)



今朝起きたら……だった。
よくまとまった報道だったのでご紹介する。
スリラーが発売された年、邦楽は何をやっていたかというと、こんな曲が売れていた。

1 待つわ / あみん 
2 セーラー服と機関銃 / 薬師丸ひろ子 
3 心の色 / 中村雅俊 
4 北酒場 / 細川たかし 
5 ハイティーン・ブギ / 近藤真彦 
6 渚のバルコニー / 松田聖子 
7 ウエディング・ベル / シュガー 
8 哀愁のカサブランカ / 郷ひろみ 
9 赤いスイートピー / 松田聖子 
10 君に薔薇薔薇...という感じ / 田原俊彦
11 シルエット・ロマンス / 大橋純子 
12 色つきの女でいてくれよ / ザ・タイガース
13 すみれSeptember Love / 一風堂 
14 ぶりっこRock'n Roll / 紅麗威甦 
15 赤道小町ドキッ / 山下久美子 
16 原宿キッス / 田原俊彦 
17 約束 / 渡辺徹 
18 完全無欠のロックンローラー / アラジン 
19 NAI・NAI 16 / シブがき隊 
20 けんかをやめて / 河合奈保子 
21 YES - YES - YES / オフコース 
22 夏のヒロイン / 河合奈保子 
23 浮気な、パレットキャット / ハウンド・ドッグ
24 A面で恋をして / ナイアガラ・トライアングル 
25 涙をふいて / 三好鉄生 
26 ダンスはうまく踊れない / 高樹澪 
27 夜よ泣かないで / 松山千春 
28 ハロー・グッバイ / 柏原よしえ 
29 夢の途中 / 来生たかお 
30 ふたりの大阪 / 都はるみ・宮崎雅


戦後昭和史より

会社が社員に教えていないから、だろう

  • Day:2009.06.25 20:49
  • Cat:働く
前回のエントリーのつづきです。

結論を先に書くと、企業説明会の説明担当者は、企業の説明をするのではなく、学生たちに愚痴を言ったようなのだ。その結果、話を聞いた学生3名は、誰もその会社に行きたくなくなった。期待はずれだった、と言うのだ。

……「それだけ?」と言われたらそれだけの話だ。

だが、まず大いに問題があると思ったのは説明担当者のメンタルセットだ。
メンタルセット=働く人間としての心の向きが、歪んでいると思った。

説明者は「ウチの会社は待遇が悪い」を連呼。
「残業代なし、徹夜するのは当たり前で会社に泊まり込むこともしばしば。(月給をもらっているが)時給換算すると600円にもならない」などと、ただ、待遇の悪さだけを訴えたのだという。

夢や希望のかけらもない。
どういう人と働きたいか、というメッセージもない。
いったい、なんのための説明会なんだろう。
本人は何を目的に悲惨な話だけをしたのだろう。
そんな話をして、誰かが幸福になるのだろうか。

上司は会社の説明役として、どうして彼を指名したのだろう。
また、上司は彼と、どういう方針でどんな内容を話すか、きちんと打ち合わせをしていたのだろうか。私が決めつけてはいけないが、決めつける。

きっと、自社の超過勤務という恥を、何にも考えないで、話しただけなのだろう。
それが、あまりにも情けない。オトナが学生にするべきことか。
ただ、無為な時間を過ごしただけではないか。

私、私のまわりの人事関係者の間では、「夢見る夢子ちゃん」という隠語がある。

これは……自分はクリエイターになれる。
会社に入ったら好きなことがやり放題で、大活躍できる。
そんな、現実ではありえない、「夢」ばかりを見ている学生のことを指す。
夢見る夢子ちゃんは重い義務のことを考えないで、権利ばかりを主張する傾向もある。

こういう「夢見る夢子ちゃん」には、社会の厳しさ、会社の厳しさをきちんと説明しなくてはいけない。
世の中は、あなたを中心に動いているわけではない。
幻想を持ってはいけない。現実を知ってくださいと、オトナははっきりと言うべきだ。

でも、厳しい現実の裏には、数パーセントかもしれない。
1年365日のうちのたった1日かもしれない。
「働く」という行為には、わずかでも喜びがともなうことも同時に、オトナは伝えなくてはいけないだろう。

楽もあるし、苦もある。
その自明の理が、前提として存在する。

では、そのどこでもかわらぬ自明の理が、我が業界、我が企業、我が職種では、どのように作動しているのかを説明することが、会社説明会の目的である。このようなメンタルセットをして、担当者は学生のまえに座るべきだった。

小説家、遠藤周作は「どうして小説を書くのか?」とインタビューされたとき、「楽苦しいから」と答えたという。たのくるしいと読む。楽苦しいとは、楽しくて苦しいを合体させた氏のユーモラスな造語だ。

働くことは……どんな仕事内容であっても、たいていが楽苦しい。
その会社の楽苦しさの説明をしてほしかった。

ビジネスマナーを学んで、椅子の座り方まで練習したのに、わざわざそんな説明会に行った学生3名がかわいそうであった。

と、同時に、会社が社員に何も教えていないことが丸わかりの愚痴こぼし担当者は、もっとかわいそうだと思った。
株主優待
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