Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2010年08月

出版業界について知りたい君へ

君のお父様には、いつもお世話になっています。
そのご縁でお会いすることができますね。

明日は涼しい長野から、暑い東京に来てくれるんですね。
ありがとう。
ゆっくり話をしよう。

出版業界に興味があるんだって。
将来、雑誌をつくりたいのかな?
本をつくりたいのかな?
それとも、莫然とした興味があるだけなのかな?
理由は、なんでもいいんだよ。
とにかく、将来、働くことに希望を持っていることは素晴らしいことだ。

オジサンは、「私」って自分のことを呼ぶよ。
このブログでも、明日、お会いしたときもね。
オジサンは、自分のことをオジサンっていうのが好きではないんだ。
堅苦しいかもしれないけど、「私」で許してね。

私は学校を出てすぐ、出版社に勤めた。
隔週刊誌の編集を5年以上やって、単行本も数えきれないくらい担当した。
会社をやめて独立してからも、雑誌や本に原稿を書く仕事をしている。

だから、雑誌や本はどうやってつくるのか、よく知っているよ。
企画して、執筆して、デザインして、印刷して、製本して‥‥
この大きな流れを、いくらでも細かくして説明できるよ。

雑誌や本の総ページ数が、16の倍数が多い謎も教えてあげよう。
紙が一枚あれば、説明できるんだ。

ギョーカイ用語も知りたい?
ノド
オビ
トビラ
ソデ
コシマキ
ツカミホン
オクヅケ
カタカンノン
ツメ
普通の中学生が知らない言葉を知りたいのなら、いっぱい教えてあげられそうだ。

ビジネスのことを尋ねてくれてもいいよ。
本が完成してから、どうやって読者に届くのか。
出版業界特有の流通のしくみを解説してあげよう。

うーん。
それとも、優秀な君のことだから、今の流行の電子書籍のことを知りたいのかな。
新聞やテレビでも、よく取り上げられるし。
書店に行くと電子書籍関連の本がいっぱい並んでいるし。
それも大丈夫。
なんでも尋ねて。
私は電書部というグループの一員だから、かなり情報は持っているつもりだ。

勝手に予想をすると、こんなことが質問されるのかな?
とにかく緊張しないで、なんでも尋ねてね。

でもね、私はお父さんから聞いていると思うけど、天の邪鬼なんだ。
漢字で書くと恐いから、ひらがなにしよう、あまのじゃく!

おまのじゃくの私はね。
普通に尋ねられて答えるよりも、本当は君に質問を投げかけたいんだ。
私が先生で君が生徒ではなく、一緒に考えたい。
これは難しい問題だから、私も答えがよくわからない。
むしろね、中学生である君の意見を聴かせてもらって、参考にさせてもらいたいんだ。

それは何か?

「公にするって何?」っていうことなんだ。

出版。
君は英語が得意とお父さんから聞いているから、英語の話をするね。
出版することを、英語ではpublishっていうよね。
出版社は、publishing companyやpublisherという。

publishのもとは何かというと、もうわかるよね。
public。
一般的には 「公の」「公共の」と訳され、その反対語はprivateだ。

個人が考えたことを公にするからpublish。
世間の全員は知らないけど、自分だけ知っていることを公にするからpublish。
公にするって、すごく責任重大なことなんだ。
世の中を動かすことでもあるからね。

人間の心のなかには、公にしたいことと公にしたくないことがある。
また、社会の規則で、公にしていいことと公にしてはいけないことがある。

自分のことをpublishするにしても、他人のことをpublishするにしても、その線引きが本当に難しいのが出版っていうヤツなんだ。

だから、本当は公にしなくてはいけないのに、それが封じ込められているとしたら、それは不幸な社会だよね。本当は公にしなくてもいいのに、そんなことばかりpublishされていたら、ただの情報過多だよね。

「正しい公のしかた」

このことについて考えることが、出版について勉強する君、それに私にとっても一番大切なことだと思うんだ。難しいかもしれないけど、こんな話をしたいです。明日を楽しみにしています。

最後に、長沢岳夫さんという有名なコピーライターが書いた、私の好きな文章を書いておきます。

少年の入り口、夏。少年の出口、夏。

私はこういう言葉を公にしたくて、出版社で働くことになったのでした。
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誰でも作れる電子書籍が発売

電子書籍部(電書部)という組織があります。
「部」というだけのことがあって、部活なんです。
もとは、ゲームデザイナーの米光一成さんから、文章の書き方や発想のしかたを学んでいる方たちが集まった会でした。

私はこの組織の存在を知った瞬間に「良いな」と思って仲間に入れてもらうことにしました。
良いと思った理由。

1.電子書籍に希望を持った人たちが集まっているから
2.会社ではなく「部」なのでお金儲けでギスギスした集まりではないから
3.「部」を名乗ることは、暗に電子書籍市場が爆発的に大きくなることを想定していないから
4.上記3の予測はきっと正しいから
5.しかし、いつ、どのようにかは不明だが、電子書籍が普及する時代はやってくるから
6.その模様眺めをするのではなく、実際に制作をして対面販売をするのは勇気があるから
7.やってみることによってわかることがたくさんありそうだから

8も、9も書けそうですが、このような理由から私は電書部の皆さんとともに、すでに2冊の電書を執筆・制作するようになったのです。もし、「おもしろそうな部活」ではなく、オトナの世界の言葉で語られていたら私は仲間にならなかったでしょうね。

たとえば「このたび電子書籍専門のベンチャー企業をつくりました。出資しませんか?」とか。
たとえば「これは電子書籍を普及させるためのNPO法人です」とか。
たとえば「われわれはソーシャル・アントレプレナーとして活動してます」とか。

他の電子書籍ブームとともにできた組織とは、明らかに一線を画した佇(たたず)まいがあるのです。
電書部には。

さて。
宣伝です。
本日、本が発売されました。

誰でも作れる電子書籍 今すぐできる制作から販売まで誰でも作れる電子書籍 今すぐできる制作から販売まで
(2010/08/24)
米光一成小沢高広

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今、書店に行くと電子書籍の本はズラーっと並んでいますが「解説」だけでは終わらない、生々しい「実体験」が綴られているのは、この本だけでしょう。

電子書籍があるなら電子読書も&いろいろ

思ったこと日記。

電子書籍(e-book)がこれだけ大騒ぎされるなら、電子読書(e-reading)の話題がもっと出てきてもいいと思う。iPadでページをめくるのも、そろそろ慣れっこにって、心と指先が次の革新を求めている。私が勝手に呼んでいる電子読書とは、電子だからこそできる楽しい、もしくは有益な読書法のこと。

私が考えた、今は秘密にしておきたい電子読書法で、中島敦と太宰治の作品を分析したら「ああ、名作ってこういう構造になっているのか?」という驚きがあった。

英語では文章を理解する目安として、学校教育年数(小学3年生レベルとか、大学1年生レベルとか)を数値化する、つまり数字が低いほうが読みやすいと判断する方法がある。この指数の名前が、なんだか風情があって「霧の指数」=Fog indexという。この概念は、うまくアレンジすると電子読書に活用できそう。

私はネットスラングが総じて好きではないけど、ネ申で神にするのは、かなり抵抗あるな。私はお盆に墓参りに行き、クリマスは教会に行き、正月は神社に初詣行くような人なのだけど。

そういうネットスラングがチャットやメールで飛び交うが『ブラウザ三国志』で私が属している同盟の人たちは、みんないい人たちだ。抜群のチームワークで戦い、上級者が初心者にやさしく教えてあげる文化がある。

民主党。昨日の軽井沢の会合、自分の反対勢力の会合をうけて、菅総理大臣のインタビューに対してのコメントがすごかった。「鳩山さんとは、いろいろな面でいろいろなことを相談していきたい」。この「いろいろ」は、なんの説明にもなっていない。苦し紛れであることだけが伝わった。

もし「いろいろ攻撃」が文章表現界で許されるならば、日本中のブロガーが、日記と称して「いろいろあった一日だった」とだけエントリーするのが、アリになってしまう。眞鍋かをりはいろいろあった、と芸能誌。読売ジャイアンツの連敗はいろいろなことがあったからだ、とスポーツ報知。

「いろいろあった」で思い出すのは清水義範の『国語入試問題必勝法』。この本は大笑いできる大好きな本だ。


国語入試問題必勝法 (講談社文庫)国語入試問題必勝法 (講談社文庫)
(1990/10/08)
清水 義範

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未来のすすめ

  • Day:2010.08.19 13:24
  • Cat:言葉
最近、賢い人と話をしていると「未来」という言葉が、よく出てくる気がしていたのです。

未来。
将来じゃなくて未来。

気になって辞書で調べました。
やはり、時間的な順番は決まっていて、現在→将来→未来のようです。

[用法]将来・[用法]未来――「将来(未来)への夢」「明るい将来(未来)」のように、現在よりあとのことについていう場合には共通して用いられる。◇「私は将来、弁護士になりたい」に「未来」は使わない。また、「二〇〇年後の未来を空想する」に「将来」は使いにくい。10年後ぐらいならば「将来」と言うほうが普通。「未来」は「将来」よりも非現実的な遠い先という感じが強い。◇「近い将来」とは言うが、「近い未来」とはあまり言わない。

「デジタル大辞泉」より(一部抜粋)

時間の順序はわかりました。
では、そこに付着する意味はというと、将来はネガティブで、未来はポジティブな感じがするのですね。
辞書には、そんなことはどこにも書いてませんが。

そこで、やってみました。
例のやつ。

Googleの入力アシスト機能を使った、用語+スペースです。
将来のあとにスペース入れたら、トップに表示されたのは「不安」でした。
検索結果はこんな感じになりました。
未来のあとにスペース入れたら、トップに表示されたのは「英語」でした。
検索結果はこんな感じ になりました。
英語の未来形の話が多いですね。

ともあれ、今のご時世、将来には不安がくっついてしまったのです。
きっと。

だから、賢い人は言葉選びをする際に、無意識のうちに将来を避けて未来と言うのかなと思いました。

HONDAのCMで「未来から逆算して今を創るとハイブリッドは軽くなる」というコピーが使われています。

これをひな形に戯れ言を述べると「未来から逆算して将来を創ると不安は軽くなる」のではないでしょうか。

ご参考になりますかどうか、具体的な仕事術。
現在から将来のことを考えるとアイデアはなかなか浮かんできませんが、未来から逆算して将来を考えるとアイデアは浮かぶのです。私の場合。

東京に戻りました

  • Day:2010.08.17 14:29
  • Cat:私…
yoshihama.jpg
▲吉浜海岸の防波堤。

東京に戻りました。
同じ温度でも、海辺の町の斜面に立つ生家とは空気が違います。
道路の匂いも、太陽の光も。

先々週は北海道に行ってきました。
北海道と東京の気候が違うことは、覚悟していましたが、湯河原と東京間はカーナビ表示で、90Kmほどの距離ですから、心の準備ができていません。タイピングする指が、どう動いていいのか困っています。

今回の帰郷では夏らしいことができました。
・お盆の墓参り
・温泉
・海
・昼寝
・花火
・地元の魚を食すこと
・子どもと野球
・星を見ること

遊びの合間に、今年後半の大仕事の構想を練っていました。
・手書きのマインドマップ
・PCに打ち込んだテスト原稿
・ボイスレコーダーに録音した声のメモ

以上が生産できたもの、でしょうか。
いつもは、ダラリとしてしまう夏休みですが、ズボラな私のわりにはタイム・マネジメントが、うまくできたのではないでしょうか、と自画自賛。

田舎にいて、改めて感じたことがあります。
東京と比べて、デジタルの世界と比べて、いろいろなことが曖昧なんですね。

近所の学校に勝手に入って遊んでもいいし、好きな金額を払えば夏みかんを持って帰ることができる無人販売所もあります。

白・黒がはっきりとしていない。
オール・オア・ナッシングではない。
物事を、ゼロかイチかで決めない、緩やかなコミュニティがあるのです。

PCは持参していましたから、ネット上のニュースやTwitter経由の情報は、バンバンと脳に飛び込んできます。もちろん、テレビのニュースを見ていましたし、新聞も読んでいました。田舎の雰囲気と対比してしまうので、そのほとんどが、白か黒かがはっきりとした論調ものばかり、のように思えてしかたありませんでした。ま、それがニュースの役割なので当然といえば当然なのですが。

今年後半の大仕事とは、みんなが白・黒をはっきりさせているものを、きちんと整理をしなおして、別の角度から考え直そう、というものでしょうか。ザックリと申し上げると。

例を挙げれば、「ゲーム業界は衰退する」「電子書籍は流行する」「ソーシャル・アプリは儲かる」は、わかりやすさを優先するあまり、白黒をはっきりとさせてしまった論の典型で、本当にそうなの? と問い直す準備をしています。

湯河原に行きます

  • Day:2010.08.11 10:21
  • Cat:私…
私、本日夜から生家がある、神奈川県・湯河原町に行きます。
お盆の行事、夏期休暇とあわせて、原稿を書きます。

湯河原といえば、昔は文豪たちが訪れて執筆した地で、その地で時を過ごせるのは、しあわせなことです。家族や友人とすごす時間もあるでしょうが。起きている時間のおよそ半分を「仕事時間」にあてるつもりです。現在、湯河原に住んでいらっしゃる田口ランディさんが、こんなことをおっしゃっています。この言葉は、今の自分の支えであり、よきヒントを頂戴しました。私も訓練します。

どんなことを書いているのか、そのうちのひとつについては、8月下旬にお知らせする予定です。
リアルの私のことをご存知の方は、「一周回って意外」と思われるかもしれません。
なんでしょう?

ブログを読んでくださった皆さんも、良い夏休みを。

さーて。
行ってまいります。

暑中お見舞い申し上げます

  • Day:2010.08.05 17:32
  • Cat:私…
sky_20100805172313.jpg

夕方と言っていい刻。
17:30の太陽が、正午みたいなので、思わず仕事場からカメラを向けて撮影してしまいました。

たくさんの方から、暑中見舞いのお便りを頂戴しています。
私の誠に勝手なる習慣で、夏のご挨拶は省かせていただいております。
この場を借りて、お便りをくださった皆さまに御礼と、当方の非礼をお詫び申し上げます。それにしても、今年の夏。御見舞いをされ、身にしみてうれしき夏です。



太陽は罪な奴……とは、よく言ったもので、それから私、この質問と答えが好きなんです。
株主優待
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