Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2010年12月

今年、一番アクセス数が多かったエントリーは?

大晦日です。
今年一年間、当ブログを訪問いただき、どうもありがとうございました。

最後に2010年、最も閲覧者が多かったエントリーをご紹介します。
ニンテンドー3DSの発表や、東京ゲームショウのレポートのような「最新ニュース」ではありませんでした。

意外なことに、ゲーム業界が長らく抱える課題について触れたものでした。
「広報する側も、取材する側も」でした。

ここに記したことは、言ってみたら内輪話です。
ゲーム会社の広報の仕事をする人と、出版社の編集者や原稿を書く人の関心事かと思っていました。

Kotaku Japanからリンクされ、Togetterでもまとめられ、それがアクセス数激増につながったと思われます。

とはいえ、盛り上がり方は尋常ではなかった。
職業人だけではなく、エンドユーザー(読者=ゲームの購入者)も、ゲーム業界の情報の流れにモヤっとしたものを感じていることが伝わってきました。

(1)ゲームの開発内容は秘密事項。
(2)ある段階にタイトルのみを発表。
(3)段階的に情報公開。
(4)人気が出そうなソフトであれば特集。それでなければベタ記事。

こうした手順や慣行がゲーム業界にはあるわけですが……
それ以外の道って何?
今、できることって何?
考えました。その試みが以下の記事です。


自分をゲームにするクリエイター
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2284

あらゆるものが"ゲーム化"する未来を考える
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2453

電書ってなんだ? 米光一成氏の新しいチャレンジ
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2637

ヒット商品の発想を『甘熟トマト鍋』に学ぶ
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2753

情報の規制などとは関係ないところに身を置き、私なりに「おもしろき人間像」を表現しようと思いました。
来年も私は、いろいろなメディアを通じて、今までは非常識と思われたアングルから、ゲームを語っていくつもりです。すでに準備をしています。昨日もある提案のメールをサンフランシスコに送りました。

何か新しいことはできないかと、日々、もがいております。


今年一年間、ご愛読ありがとうございました。
皆様、良いお年をお迎えください。

あ、それから!
上でご紹介しました、後藤裕之氏の「しりとり食生活」。
現在も続いております!
その経過が写真つきで公開されています。
どうか皆様、彼にも熱い声援をお願いします。
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食品クリエイターのインタビュー

ヒット商品の発想を『甘熟トマト鍋』に学ぶ・平林久和「ゲームの未来を語る」第8回
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2753

が公開されました。

当然ながらゲームプランナーやゲームクリエイターがいるように、食品業界にも企画者がいます。

ヒットする商品もあれば、そうでない商品があります。

ヒット商品の企画者の発想法はどうなっているのか?
カゴメ株式会社の石岡大輔さんにインタビューさせていただきました。

このインタビューは変化球のようで変化球ではありません。
今年最後の直球を投げたつもりです。

ゲームよりも、はるかに制約がある「トマト」「野菜」を題材に、来る日も来る日も商品企画する人はどんなことを考えているのだろう? 読む方によって、響く場所は違うと思いますが、ゲーム開発やマーケティングの参考にしていただけると確信しております。

書き手の私がインタビューしていてタメになったこと。

・食品業界にもプラットフォームがあるのです。
・「誰にでも売れる」というマーケティングの発想をしていません。
・企画書の枚数が少ないです。
・意思決定のシステムが早いです。
・販売現場と密着しています。


などは、特に印象に残りました。
記事には書ききることができませんでしたが、食品の企画者も常にアイデアを模索しています。
白紙からものごとを考えるのではなく、固定発想をする。

インタビューをさせていただいた石岡さんの場合、時間さえあれば「ケチャップ」などと商品づくりに関係ありそうなキーワードをピックアップ。その前後に、実際に商品になるかならないかを考えずに、形容詞、動詞、利用シーンなどを結びつけて、ひとりブレーンストーミングをなさるそうです。

「篩」いにかかって、来年は「融」と予測してみた


公私にわたり忙しかった。
オジサンの訓話ではないけれど、心を亡くすから忙しい。
心を亡くしていた。
そんな年末だった。


ところで忙しいだが、他人に使う言葉でないことを、Twitter上で、どなたかの発言で知った。
「お忙しいところ恐れ入ります」は丁寧なようで、失礼にあたる。
「ご多用のなか恐れ入ります」が正しい用法だそうだ。
小さいことのようだけど、大きな学びとなった。


ゲーム業界の重大ニュースというのを考えた。
10個か20個はサッと思いつくが、どうもそれを書く気になれない。
ひとつひとつの断片情報に、順位をつけて並べて何になろう。
天の邪鬼な性格だから、そんなことをするよりも、大きな潮流を読み解くことのほうが、思考していて楽しい。


今年のゲーム業界を漢字一文字であらわすと「篩」だ。
「ふるいにかける」の篩い。
そして、篩いにかかったものが来年は「融」する。
融合、融和の「融」。
今までの枠を飛び越えて、タテ・ヨコ・ナナメに結びつくだろうと予想する。


東京都青少年健全育成条例改正案は、ブロガーやTwitterユーザーにとっては格好の話題となった。大手出版社も強行姿勢を貫いていた。私は公の場で、一切このことについては触れないようにしていた。年の瀬なので、最後に一言。


東京都内のあらゆる駐車場に、都条例によりアイドリングをしてはいけないと書いてある。だが、アイドリングをして捕まった人を見たことも聞いたこともない。児童ポルノを賛成するわけがない。石原慎太郎という表現者が、こういう条例をつくろうとすることに、何か文句を言えと言われれば、いろいろなことがいえる。私にとっては黙っていることが、無言の発言のつもりだった。


毎年、思うことだが、げにおもしろきは人間である。
私は少なくとも2名の人間に裏切られた1年だった。
その責は私にもある。
裏切られたと同時に、私は裏切りもした、と反省している。


最近、友人の事業がうまく行っていないと聞いた。
早晩、大きな問題が起きるだろう。
今までチヤホヤしていた人が去っていく光景が見えるようだ。
その時に何か力をお貸しすることはできないか、心の中で準備をしている。


ところで、ゲーム業界を愚弄しているとしか思えない行動をとった、元友人→今知人がいるが、その落とし前はきっちりとつけてもらいたい。別に私が殴りこまなくても、自然に淘汰されるだろう。なんたって、「篩」の年だから。静観する。


10年前、私は私らしく生きているとは思っていなかった。
具体的に言うと、自分が創業し、筆頭株主で、経営をしている株式会社インターラクトという会社なんぞは、潰れてなくなっていると思っていた。


約10年前の私はゲーム業界の悲観論者だった。
そのへんの事情はこの記事の前半に書いてある。
だから、この10年間の自分の目標は「生き残ること」だった。


生き残れば、やがて、創業時に夢見た時代がやってくる。
ところで、「ゲームの未来を語る」だが、明日、今年の最終回がアップされる予定。
たぶん、現在、ブログを読んでくださっている皆さんが、予想もしないような方をインタビューさせていただいた。楽しみにしていただいている方は、どうかお楽しみに。


2010年を、もうすぐ無事に終えることができそうで、気分がいい。
生き残れて良かった。
陽はまた昇る次の10年がやってくると信じている。


裏切りも、音信不通も、新しい出会いも、すべてあるがままを受け入れている。
今日はこれから、30年間つきあってきた親友と会う。
彼には宇宙ほどの借りがあるし、貸しもある。
そんなことをいちいち気にもせずに、会えるから親友だ。


そういえば、『ブラウザ三国志』が大変なことになっている。
私が所属する同盟の中に、敵対する同盟の内通者がいて、戦争となり、敗戦を繰り返している。私の城も、いずれ敵から攻められるから、同盟から離反したほうが得だが、最後まで戦おうと思う。


『ブラウザ三国志』の中で私が生き残れるかどうかは、今年の年末年始が山場だろう。
人間、毎日生きていると、いろいろなことがある。そんな結びしか、思いつかない。
では、また明日、お会いしましょう。

無題

日本のゲームは、海外に負けているという底の浅い言説は、受け入れがたいけれど、オトナが大マジメになって、ビデオゲームをメディアアートの題材にしようとする着想と、実際につくってしまうエネルギーは、残念ながら負けていると思う。

何が起因するのだろう?

ゲームへの畏敬の念の差?
遊び心の差?
ゲームを俯瞰する視点の差?
アートを受け入れる環境の差?
気持ちの余裕の差?

特にオチはない。
誰かを説得しようともしていない。
この映像を観たら、なんだか、喉に骨が引っかかったような気がしてならないんだ。

電子書籍を電書と呼ぶ深いわけ

電書ってなんだ? 米光一成氏の新しいチャレンジ・平林久和「ゲームの未来を語る」第7回
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2637

公開されました。
今年を漢字一文字で表すと「暑」です。
では、二文字で表すと「黒船」ではないでしょうか?

大河ドラマ『龍馬伝』で何度となく登場したセリフ。
電子書籍をビジネスチャンスと思った人たち。
電子書籍の登場によって、既得権が奪われるのではないか? と思った人たちはアマゾンのキンドル、アップルのiPad、Googleブックスの登場を、年頭から「黒船」と比喩をしたものです。

各業種が入り乱れた電子書籍戦線。
大企業が慌てふためき、合従連衡が組まれるなかで、飄々と「楽しいからやった」と言いのけるのが、米光一成氏が発足させた電書部です。

ところで電子書籍って何?
なぜ、電書と呼ぶの?

そこには「黒船」論とは、まったく異なるゲーム感覚があったのです。
お読みください。

就職活動セミナー

  • Day:2010.12.07 19:02
  • Cat:働く
昨日のことでした。
キャンパス内で、電車の中で、「面接マニュアル」的な本を持っている大学生を何人も見かけました。

2011年春卒業予定で、まだ内定をとっていない人がいます。
加えて2012年卒業予定の人も就職活動をはじめました。
ですから、今は相当数の「新卒就活人口」に達していると推定できます。

その人たちをターゲットにしているのでしょうか。
書籍だけではなく、イベント、セミナー、ネット上の記事でも、就職活動を扱った記事が目立ちます。
最近は、就活コンサルタントという仕事も大流行だそうですね。

だけど……

就職指導する大学→焦る大学生→マニュアルに頼る→企業のニーズとマッチングしない→再び就職指導する大学→さらに焦る大学生→またまたマニュアルに頼る……のループをぐるぐる回っているような気がしてなりません。

私は、かつてこんな記事を書いた人間です。
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=2385

記事にもあるように……
ダメでしょ。
マニュアルを読んでも。
というのが私の持論です。

じつはこの記事をきっかけに、面談をご希望されている学生さんが、何名かいらっしゃいます。
ひとりひとり、予定を決めてお会いする方法もあるのですが、いっそのことセミナー形式にするのはどうか? と思いついたのです。

テーマ●「マニュアル就活のおかげであなたは損をしているのですよ」(仮称)

開催場所は東京、渋谷区恵比寿か代官山。
参加費無料。
交通費自己負担。
参加資格、2011年春、または2012年卒業予定の大学生、大学院生、短大生、専門学校生。
志望業種問わず。
開催曜日は土日祝日。


と言ったら、人は集まってくれるでしょうか。

何?
この釣りっぽい話と思われるかもしれませんが、私にもメリットがあります。
ひとりひとりとお会いするよりも、まとめてお話しをしたほうが、時間が節約できる。
たくさんの方が集まっていただくことによって、私も情報収集できる。

そしてですね、細かくは話しませんが、就職セミナーって、こんなことをやって高いお金を学生さんから奪っているの? という嫌な光景を見てしまって、心のなかで義憤めいたものが、ふつふつと湧いてきているところなんです。

いつ、やるか?
そもそも、やるのかやらないのか?
……さえ決めていませんが、お問いかけをしてみました。

ご関心をお持ちの方は、上記メールフォームから「参加希望」と書いてお気軽にお送りください。リクエストや悩み事がありましたらあわせてお書きください。

パナソニックのゲーム機?


パナソニック、ゲーム機再参入(毎日)

パナソニック ゲーム再参入へ(読売)

と、報道されているが、「再参入」は表現が強すぎる気がする。
アメリカのベンチャー企業で製品開発され、パナソニックが販売を承認したのではないか。
あまりいい比喩ではないが、実子ではなく養子の感じがする。

パナソニックのイメージCM。



パナソニック・クラウド・エンタテインメント・カンパニーが来年発売するという携帯ゲーム端末「ジャングル」は、イメージがかなり異なる。

「ジャングル」には、パナソニックの遺伝子が引き継がれている気配は感じられない。
しかし、私は松下電器産業(当時)が94年に発売した3DOよりも、成功確率が高い端末だろうと予測している。

当時は、サードパーティを口説き落とし、良質なパッケージソフトをそろえることが、ゲーム機ビジネスに参入するうえでの絶対条件だったが、今は違う。まさに、クラウド上にあるソフトをダウンロードできる携帯ゲーム機ならば3DO以上の需要があるだろう。



株主優待