9月11日は2001年に米国でテロがあった日です。あの夜のことを覚えています。
渋谷ハチ公の交差点にいる時に、打ち合わせを終えたばかりの仕事仲間から電話がかかってきました。
「ニューヨークで飛行機がビルに激突した」と。
はじめは観光用のプロペラ機が、どこかのビルに当たったのかと思いました。
家でテレビを見たらトンデモないことになっているではないですか!
ワールドトレードセンターに飛行機が激突する映像が流れ続けました。高校時代の同級生が同ビルで働いていたのですぐに電話をしました。「出社途中でなんとか助かった」と。ですが、口調は同朋の安否を気づかい、恐怖に怯えている様子でした。
あの夜に不思議に思ったことがあります。
同時多発テロと言われたくらいで、ニューヨークだけではなくペンタゴン(米・国防総省の本部庁舎)にも航空機が落ちたと報じられているのですが、その映像はなぜか映らない。たまたま撮影者がいなかったのかもしれませんが、何か意図的なものを感じました。
それから時が過ぎると、
あのテロは米国の自作自演ではないか。
激突した飛行機の映像はCGで作成したものである。
[参考映像1][参考映像2]
と言った説も流れはじめます。
ことの真偽はわかりません。
ただ、ひとつ事実として言えるのは、あのテロ行為をきっかけにアフガニスタン、イラクで戦争が起こり(=起こし)、アメリカの軍事費は巨額になったこと。ブッシュ政権時代、2003年に4500億ドル、2005年に5200億ドル、2007年に6200億ドル、任期中の最後の年、7100億ドルを超える軍事費を使っています。これは、クリントン政権時代の8年間の約2倍以上とも言われています。
下の写真は2005年に行ったE3(Electronic Entertainment Expo)のとき私が撮影した写真です。メインホールの正面は、米国陸軍が屋外出展をしていました。

『America's Army』というゲームの紹介をしています。
Wikipediaの記述によれば、(おそらく当時の円換算で)開発費22億円を投じたゲームです。米国陸軍の広報が目的ですから無料で遊べます。無料サンプルディスクを配るのはコスプレをしたアルバイトではなくて、本物の軍人たちです。
今でも『America's Army』は無料でダウンロードでき、YouTubeの特設チャンネルもあります。
話は転じます。
円高について、です。
私は国際経済・為替の専門家ではありませんが、現在の円高は円の価値が上がったのではなく、ドル安が招いた要因が大きいでしょう。
ドル安の原因は、米国の財政赤字、米国経済の先行き不透明感、そして米国政府の「ドル安」戦略。それに投資家・投機家心理が働いて、日本円が相対的な買いの対象となり、「みんなが買うから自分も買う」「みんなが買うから円高になる」「円高になるなら為替差益を狙って円投機」というスパイラル円高が起きているのではないでしょうか。
この米国の財政赤字。
ブッシュ政権時代の8年間で4兆3千億ドルを軍事費として支出したツケとなっていることは言うまでもありません。
なぜ、ドル安、円高などの話をするのかと言うと、先週行われたCEDEC2011と関係があります。
私は「ゲームのお仕事」業界研究フェア(ゲーム業界人事担当者対談 2011)のモデレーターをつとめさせていただいたのですが、その際に、あるご登壇者が重要な問題を投げかけてくださいました。
仮に日本での初任給を350万円とします。1ドル70円程度で換算すると、その額は約5万ドルになる。外国で5万ドルの賃金を出したら新卒でも中途でも、相当に優秀な人材が採用できる。
話はずいぶんと遠回りしましたが、9月11日、米国の軍事費、ドル安、円高は、日本ゲーム産業の雇用の変わり様へとつながっていきます。
自分の収入を一度、ドル換算してみる。
その価値が、世界で通用するかどうかを見直す時が来ています。
悲観論としてではなく、グローバルな視座から危機感を持ち、自分の価値を再評価してみる良い機会、という意味をこめてこの記事をエントリーいたしました。