Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2011年09月

ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー

CEDEC2011で講演された大圖衛玄(おおずもりはる)先生は、私が顧問をさせていただいている片柳学園・日本工学院八王子専門学校の先生です。ゲーム業界黎明期からの凄腕プログラマーで、同校、ご着任以来の仲良しです。

その大圖先生がおつくりになったスライド。
パワーポイントによるプレゼンテーションを共有する、slideshare内Technology部門のMost Popularで2011年9月19日現在、堂々の1位です。

テーマは「ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー」。
専門用語が並んで、何やら難しいことを私は書いていて、スライドも難しいのではないか?
‥‥と思われるかもしれませんが、スライドを一枚一枚めくると笑えます!

そして「ソースコードの品質向上のための効果的で効率的なコードレビュー」とはそういうことだったのか。
と、わかりやすく説明されていて、じつに秀逸。

ゲーム開発にたずさわっている方は、ニヤニヤとしたり、耳が痛かったり、共感を覚えたりするのではないでしょうか。
必見。
ご紹介します。

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東京ゲームショウ 2011、最終日の様子

2011年9月18日、ゲーム業界の最大のイベント、東京ゲームショウ 2011に行ってきました。
今年の東京ゲームショウを総括した文章は、改めて書きます。
本日はフォトレポートをお届けいたします。

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●朝の高速道路の出口から渋滞、来場者多そうだ。

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●遠くから来ている人もいる。長野県のナンバープレートも目立った、ような気がする。


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●駐車場は満車。午後には駐車場そのものに入りきれないクルマが待っていた。


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●ダフ屋は、「札」=昔、チケットとして使われていた「札屋」の隠語。これは東京ゲームショウと関係ない。ただ言ってみたかっただけ。


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●看護室。熱中症なのか。2歳くらいの男の子が運ばれていた。そう、表示は英語・中国語・韓国語がデフォルト。

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●日曜日のプレスルームは閑散としている。東京ゲームショウの速報は、木曜の午前につくられているんだ。


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●控え室。袋使ってね。「を」の助詞を省き「ね」がつくところがカワイイ文章。


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●今年の報道で最もよく使われたカメラポジション。GREEとPlayStation Vitaを対比できる場所。この記事など。

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●GREEはゲームだけではなく、Openfeintを傘下に収めたことをデモンストレーションしている。


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●私が好きなR・TYPEが遊べるのはうれしい‥‥のだが


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●自機を画面上に置いた指で操作するのは、厳しい。


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●インターネットの力で世界をよくするぜ! はGREEブースのスローガン。


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●『モンスタハンター3G』は遊べない。


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●PlayStation Vitaも行列打ち止め。


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●とにかく混雑する会場。


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●キャンセル待ちならば、遊べる。

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●一番人が多いのは、PlayStation Vitaのブース。


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●私の友人でもある香港からの留学生がFPSのプレイヤーの脳波を解析した研究発表。


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●コスプレもFPSを題材にした軍団多し。


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●これが噂のレベル5の開放スペース

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●そして、疲れた人たちが休憩している。


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●『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』のキャラクターに似たお姉さん。オーディションは大変だっただろう。

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●カプコンの物販ブースも行列。


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●コスパ2次元で販売していたが、このTシャツは着ないな、オレ。


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●これは主催者がつくったブース。ちなみに場内のいたるところに募金箱もあった。


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●みんなが書いたカードをスキャンして、そこに付いたタグを場内のディスプレイで見ることができる。メディアアート。


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●書いたカードは壁に張り出される。


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●「いいこと言うなぁ」と思った。

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●この技術を開発した、産業技術総合研究所・濱崎雅弘・博士(情報学)。赤ちゃんを抱っこしながら技術説明をしてくれた。ありがとうございました。


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●このコーナーではチャリティグッズも売っている。


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●i-Phoneを振動させることができるデバイス。アメリカで2日前に発売された。


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●今年はビジネス・ソリューションのコーナーが充実していた。


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●ソーシャルアプリの出展本数の多さを報じた記事が多かったが、今年はクラウドサーバーの展示も多かった。目に見える本数ではなく、大きなトレンドはやはりクラウド化なのだ。

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●東京ゲームショウにNTTデータとNECが出展したのははじめてではないかな?(写真は本日撮影)

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●CRIミドルウェアがPlayStation VitaとUnityに対応とか。目立たないところに情報は埋もれている。

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●GAME-Dancing Your Heart.‥‥英語がわかり日本語を話すフランス人が「ちょっとヘンですね」と言っていた。看板のデザイン、「ゲームで日本を元気に」が断然イイ!

カルチョビット評、きっこのブログ風

9月13日の深夜の出来事でした。
私が、ブログでmixiの『カルチョビット』のコミュニティに入っていると書いたことがきっかけで、過去に書いた同ソフトの評をTwitterで連投いたしました。その文体や語彙選びは、当時の「きっこのブログ」をマネたものです。

『カルチョビット』は2006年5月に発売されたソフトです。
それ以前から同事件を頻繁に取り上げ、内部事情にあまりにも詳しいことから、「きっこ」というのは実在しない人物で政治部記者が変名で書いているのではないか? という憶測も飛びかったくらいに注目を浴びてました。

で、どうしたことか『カルチョビット』というゲームボーイ・アドバンスの一本のソフトのことを「きっこのブログ風」で書いていたのですね。

まとめました。
‥‥というか、これを原文にしてツイートをしておりました。


カルチョビット評、きっこのブログ風


5月18日の木曜日の夜にビックカメラ・渋谷東口店で『カルチョビット』を買って以来、起きている時間は、ほとんどと言ってよいくらい、このゲームをやりまくっている。その感想などをブログに書こうか、と無意識に遊んでいると、なぜか頭の中で紡がれていく文章が、ライブドア事件の内幕などに異様に詳しくて、巷ではなにかと話題の「きっこのブログ」の文体になってしまった。なぜなんだろう? きっと、この数日間に多くのことを感じすぎて、それはコンパクトにまとまったレビューなどではなく、つらつらつらつらと夥しい分量の長文にしなさい、と、これまた自分の脳のどこかが無意識に命令をしているんではないかと思った。‥‥そんなワケで、これから綴る文章は異様に長い。

ドラクエの堀井さん、マリオの宮本さん……というような作品+作者の呼び方は、呼んでいるほうは敬意を払っているつもりでも、呼ばれているほうはあまり心地よくないのだ、ということを若い頃にゼビウスの遠藤さんから教わった。このお教えはじつにタメになり、こういう呼び方をするのは極力さけてきたけれど、今日は文体がいつもと違うので許してもらって、ダビスタの薗部さんと呼ばせてもらう。その、ダビスタの薗部さんがつくっているというワケで、『カルチョビット』にはずっとまえから注目をしていた。野球がテーマ、『ベストプレープロ野球』、競馬がテーマ、『ダービースタリオン』ときて、「次にやるならサッカー」という話は、もう何年もまえに薗部さんから直接聞いていた。それもカッチョいいグラフィックに頼るのではなく、「記号みたいなキャラクターにしてみる」と挑戦的なことを言っていたのも覚えている。あの、記憶の中になるソフトが今、手のひらの中なのだ。

にしても『ベストプレープロ野球』がはじめて世に出たのは80年代で、『ダービースタリオン』がはじめて世に出たのは90年代で、21世紀になって『カルチョビット』と、薗部さんの寡作ぶりには、なんとも頭が下がります、と思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

‥‥そんなワケで『カルチョビット』をやりまくっているうちにわかったことがあって、それはこのゲームの凄さは「見る」と「やる」のバランスの凄さにある、ということ。仕事の合間でも、家庭で料理をしている間でも、ひとり寂しく食事の途中であったとしても、「やる」べきことを、チョビット指示を出しておけば、ゲームボーイ・アドバンスが勝手に試合を進めてくれたりする。時間に余裕があるならば、試合をじっくり「見る」に越したことはない。そのほうが選手とチームの状態がよくわかる。きめ細かな選手起用ができる。こんな風に、自分の時間の都合にあわせて、好きなように遊べるのが『カルチョビット』なのだった。今、PCに向かってこうやって文章を書いている最中でも、我がタイガー阪神(登録したチーム名)はNリーグディビジョン2のリーグ戦第9節を戦っている最中だ。

……と読んでみても、イマイチ何が凄いのか、わからないでしょう、たぶん。さあ、ここからやっと本題のつもりで、言いたいことを言いはじめるのだけど、『カルチョビット』はよくできたゲームデザイン、なんかよりもはるかに凄い、よくできたゲームライフデザインなのだと言っておく。よーするに、他の凡百のゲームとは違って、クリエイターがやりたいことや技術の制約……などを振りかざすのではなく、遊び手の「生活」という視点から考えられたゲームであるということなのだ。この着眼点、それをまんまと表現してしまったパワーに、『カルチョビット』の斬新さを感じている。

ゲームデザインすることは難しいが、ある意味、簡単だ。ゲームをデザインすればいいのだから。でも、それを実際に手にとって、遊びまくってもらうためには、遊び手の日々の生活ってやつを十分に考えてゲームデザインをしなくてはいけない。現代人というやつは、たいていが「忙しい、忙しい」と口に出して言わないまでも、忙しい日々を送っている。オトナもコドモも、だ。そういう人たちに遊んでもらおうと思ったら、今までゲーム業界でそれが成功への絶対条件と信じられてきた足し算的発想は、きっぱりとやめなきゃいけない、と『カルチョビット』は、そんなこと、どこにも書いてないけど、メッセージしている。

ゲームデザインがステキなゲームはいっぱいある。だけど、これらゲームの問題点は、そのステキなゲームデザインに遊び手があわせようとすると、トンデモナイ生活がはじまってしまう、なんてことが、往々にして起きてしまう点だ。2日間徹夜とか、そのうち学校や会社を休むとか。人はゲームをしたい気持ちと、生活を壊したくない気持ちと「どっちが強いか」と聞かれたら、当然、生活を壊したくない気持ちが強い。なので、自然な流れとして、どんなにステキなゲームデザインが目の前にあったとしても、「もう、あんまりゲームしない」という心理になりがちになる。

そこのところがわかっていないゲームの開発者は、「これでもか」という勢いで足し算をする。ライバル製品よりも、ここが凄いと足し算、シリーズ作品ならば前作よりもここが凄いと足し算。とにかく、足し算。仕様の追加、システムのバージョンアップ、データの拡充、ニューキャラクターの登場、新たなゲーム性……こんな調子で、世の中のゲームは足し算であふれかえってしまうのだ。

薗部さんはきっと、この足し算のオンパレードとなる最近のゲームデザインをアルマジロ行為と考えたのでしょう。

サッカー。
監督。
チーム育成。

この3つをお題にしてプレイヤーが楽しむためには、何を引き算すればいいのか? 引いて引いて引きまくって、出した答えが勝手に言い切ってしまうが、『カルチョビット』なのである。

こんなにプレイヤーの生活に密着した『カルチョビット』。ゲームデザインとは、ただゲームをデザインするだけではなく、それを遊ぶ人の生活をもデザインしてあげる姿勢が必要なのだよーと、じつは、訴えかけているように思える『カルチョビット』。極端なことを言うと、もし世の中のゲームがすべてのゲームが『カルチョビット』の思想でつくられていたなら、97年以降、ゲームソフトの売上は落ちてきて、人様から「ゲーム離れ」などと呼ばれるようになってしまったが、そんなことは起きてなかったと思うし、ということはニンテンドーDSもWiiも、ユーザー離れを食いとめる新ハードがわざわざ開発されなくてもよかったのではないかとも思う。まあ、これは極論であることを承知で言っているが。

極論ついでに言うと、日本中、いや、世界中で『カルチョビット』が爆発的大ヒットになって、もう信じられないくらいにバカ売れして、世の中全体が引き算ブームになったらオモシロイことが起きると思う。ゲームソフトの広告を見ると、最新作はあれとこれを無くしました! と、どこを引いたが、たくさん書いてあったりして。それもまた、良い世の中だったりして。


考えてみれば、アートやデザインの世界では、「一切の無駄を省いた」というのは常套句として使われる。じつは今日、西洋美術史の授業でヨハネス・フェルメールをとりあげていて、その参考映像として「美の巨人」たちのDVDを観たのだけど、代表作「牛乳を注ぐ女」をナレーターの小林薫は何回も「一切の無駄を省いた」と語っていた。デザインの分野では無印良品は「一切の無駄を省いた」の好例。ところがゲームソフトの世界では、「省く」という表現は好まれない。なんだか、退化や安っぽさを連想させてしまうからだ。しいていえば、シンプルシリーズというのがあるが、惜しいことに、1500円とか2000円とか、その省いたことによる効果が作品性ではなく、安い価格、という商品性に結びついて語られてしまっているので、アートやデザインとその見える景色は違ってくる。

話をクルリンパと戻す。‥‥そんなワケで、『カルチョビット』をこういう文脈で語り出すと、サカつくというゲームを引き合いに出さないわけにはいけない。サカつくはサッカーのシミュレーションゲームという分野を切りひらいた偉大なゲームだ。でも、これは典型的な足し算を重ねてきたゲームシリーズで、それはステキなゲームデザインかもしれないが、プレイヤーのゲームライフをデザインしているわけではない。好きな人にはたまらないかもしれないが、忙しい人にとっては、やるべきことが多いのだ。このゲームの原点は、『カルチョビット』と同じく世界一のサッカークラブをつくることである。これが目的。でも、そのゲームデザインに浸っていくうちに、エディット選手の眉毛をどれにするかに迷わなくはいけなかったり、選手の疲労をやわらげるためにサウナという施設があるのだが、そのサウナのレベルをLv1からLv2に格上げするかについて迷わなくてはいけなかったりする。サッカーをやっていたのに、「なぜ、今、自分は眉毛やサウナについて迷っているのか?」という、深淵な問題にぶつかってしまう。

もひとつ、サカつくを進めていくうちに、よーく壁にぶち当たってしまうのが、チーム内の人間関係のトラブル。チームに不満を持つ選手……というのが必ず出てくる。その不満の原因が年俸である場合や、試合に起用してもらえない……というのは、比較的、解決しやすい。年俸はあげればいいし、起用しなかった選手は起用すればいいのだから。一番困ってしまうのは、ある選手が他の選手の言動に不満を持ってしまうケースだ。チーム内の不協和音はよくないので、オーナーとして、よーく話を聞こうと思って、不満マークがついた選手に会ってみると、「あいつとは同じチームにいたくない」的なことを聞かせてくれるのだけど、肝心なその相手の名前を言ってくれない。なので、その不満の対象となる人物を、チーム連携を示す線を見るコマンドがあって、その線がなかなかできてこないことを頼りに探り当てるのだけど、この組み合わせを探し出すのが、なんともやっかいだ。パリティビットではなくスマイルビットの皆さん、誤解をしてほしくないのだけど、あたしは大のサカつくファン。全作、持ってます。なので、サカつくの良いところを強調できなくて、ホント、申し訳ないんだけど、何が言いたいかというと、薗部さんとそのブレーンたちは、サッカー・シミュレーションゲームの先賢、サカつくに学んでないわけはなくて、『カルチョビット』独特のシステムである、特訓のメニューを組み合わせてつくるスペシャルメニューは、おそらくチーム内の不満の組み合わせ探し、というプレイヤーの行為を、ネガティブ潰しではなく、ポジティブ効果にするためには、何があるのか、という発想からきているのではないかという、感想を述べてみたい。

‥‥そんなワケで、『カルチョビット』を正しく紹介しようとか、わかりやすく批評しようとか、そういうカッコイイ目的はいっさいなく、「きっこのブログ」よろしく、自分のために書いているのだが、結果的に激賞している。そこでフト、ここで述べているような意見を当の薗部さんに言ったら、彼はお酒を飲まないときは無口でシャイだから、「それはほめすぎだよ」と言ってうつむくかもしれない、と思った。そして、自分はこんなに凄いゲームをつくっておきながら「『ベストプレープロ野球』と『ダービースタリオン』の中間をやっただけ」などと言い訳(?)をするのではないだろうか。身も蓋もない話をすると、『カルチョビット』は『ベストプレープロ野球』よりも、「する」ことが多く、『ダービースタリオン』よりも「する」ことが少ない。そう言えなくもない。「だから、その中間をやってみただけ」という心にもない答えは、彼をよく知らない人ならば簡単にだませそうだ。でも、まさか、そんな単純な発想ではないでしょう。『カルチョビット』について、薗部さんにインタビューをしたい人がいたら、酒席を用意することをすすめる。

こうやって文章を書いているうちにタイガー阪神とは別のチーム、リッチモンドFCの選手たちも順調に成長しているので機嫌がいい。機嫌がいいので、『カルチョビット』の攻略法を書いてしまうと、特訓のメニューを組み合わせてつくる、スペシャルメニューをいち早く、たくさん発見することだ。選手の成長ぶりが、普通の練習とは格段に違ってくる。で、そのうち、いや、今すでにゲーム関連のWEBサイトに組み合わせが載ってしまっているかもしれないが、それを頼りにしないのなら、2チームを同時に育成することをすすめる。不思議なことに、チームが異なると発見できるスペシャルメニューは違っていて、結果的に2チームのほうが早く組み合わせを発見できる気がするので。あくまでも、そういう気がするだけのことだが。そして、トップロード成田というゲームに出てくるチームは、ナリタトップロードという(父サッカーボーイ 母フローラルマジック)競走馬をもじったのだろう。これは攻略法でもなんでもない。ただの雑感。

サッカー監督やってみませんか?
気軽に遊べるサッカーチーム育成シミュレーション!
戦術、試合、特訓を繰り返しながら、選手とともに世界一のサッカークラブを目指そう!

『カルチョビット』のパッケージの裏面には、こう書いてあり、テレビCMでも雑誌の記事でも、たいていこんな言葉によって説明されている。ゲームは非凡なのに、それを言葉にすると平凡きわまりない。こんな平凡な言葉を並べて、どうしてこのゲームの魅力と偉大さが伝わろう。ならば、どう書くと伝わるかを考えてみたが、その答えはなかなか見つからない。ようは、ゲームデザインのメタレベル、プレイヤーの生活をデザインしたゲーム……ということを言いたいのだが、こういう小難しい話は、なかなかうまく伝えられない。ここ数日間の『カルチョビット』体験は、ゲームを語る言葉というもの無力さを痛感した数日間でもあった。たとえ他の人はどうであったとしても、自分はその言葉の無力さに負けまいと思った。そのためには長く書くしかない、と頭脳が反応して、こんな長文をしたためる気持ちになったのかと思う、今日この頃なのだ。

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(注・社名・肩書き等は2006年5月当時のものです)

【速報コラム】SCEJ Press Conference

昨日は任天堂、本日はSCEです。
2011年9月14日、午後1時から行われた「SCEJ Press Conference」の感想を速報コラムとして執筆いたしました。

【速報コラム】SCEJ Press Conference・・・平林久和「ゲームの未来を語る」第22回
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=4346
http://www.inside-games.jp/article/2011/09/14/51547.html

仕事場にもどるやいなや、原稿書きに没頭しておりました。
まったく意識しませんでしたが、他紙・他サイトとは、まったく違うことを書いたようです。

私は本稿でPlayStation Vitaを未来から逆算して生まれたマシンと定義をし「次世代機」の考え方を否定しています。

注目したのは、企業ではNTTドコモ、ニワンゴ。
内蔵アプリケーションは、ブラウザです。

NTTドコモとニワンゴにスポットを当てようとカンファレンス開催中に構想を練っていました。偶然でしょうか。カンファレンスが終わってプレスキットをもらうと、2社のニュースリリースが入っておりました。

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NTTドコモのニュースリリース
ニワンゴのニュースリリース


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上記写真は本稿に記載されております。NTTドコモ、辻村清行・代表取締役副社長のプレゼンテーション時のスクリーン画像です。

【速報コラム】ニンテンドー3DSカンファレンス2011

本日、正午から行われた「ニンテンドー3DSカンファレンス2011」に行ってきました。
その感想を速報コラムと執筆しました。

【速報コラム】ニンテンドー3DSカンファレンス2011・・・平林久和「ゲームの未来を語る」第22回
http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=4341
http://www.inside-games.jp/article/2011/09/13/51517.html

記事本文にありますように、私の感想は「ニュースはなかった。それがニュースだ」であります。煽る文言、貶める文言だけがニュースではなく、ゲーム業界インサイダーにとって特にサプライズがある発表ではなかった、ということを淡々と述べております。

取材記者は、ニュースをつくりたがります。
取材に行ったら、それをなんとか記事にしたいという本能、あるいは義務感が生じてきます。

ですが、ニュースにならなかったら、書かなければいい。
捨てる勇気を持つことも、記者の仕事のうちのひとつです。

そのために、空きスペースが生まれてしまったら、別記事を入れます。
業界用語でストック記事といいます。

いつ掲載してもおかしくない長期トレンドについて。
普通なら記事になるかならないかのボーダライン上にあるような新製品情報。
これらをあらかじめ用意しておきます。

私がゲーム専門誌で取材記者をやっていた時代でも、常にストック記事を用意していました。

ですが、昨今の出版不況のなか、そんな悠長なことはやっていられない。
取材したら必ず記事にする。
ひどい場合は、内容をふくらましてでも記事にするケースもあります。

ニュースは人に何かを伝える手段です。
ニュースをつくることが目的になってはいけません。

そんな昨今のメディアの体質批判も込めて書きました。

本稿では話が散漫になることを避けるため、触れませんでしたが、任天堂はニンテンドー3DSの本体の更新を11月に行います。

発売時に実現できなかった3D動画の撮影機能の追加などです。(下写真参照)

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かつて、山内溥前社長は「任天堂は無理・無駄をしない」と公言されていました。
ゆえに任天堂本社も、国外の支社も曲面や三角形などを一切排した矩形の組み合わせのビルになっています。

本日の「ニンテンドー3DSカンファレンス2011」は、ニンテンドー3DSの大胆な値下げという異例の無理をしたあとのゆれ戻しのようなものを感じました。やらなくてはいけないことを粛々と進めていることが伝わりました。

明日、2011年9月14日はSCEJ Press Conferenceが行われます。
本日同様に取材後、速報コラムを執筆いたします。

追記・「ニンテンドー3DSカンファレンス」での発表タイトル数

ニンテンドー3DS33タイトル
Wii9タイトル
ニンテンドーDSiWare1タイトル
合計43タイトル



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▲地味にご紹介。私が所属しているmixiのコミュニティ

ドル換算しても通用する人材でありたい

9月11日は2001年に米国でテロがあった日です。あの夜のことを覚えています。
渋谷ハチ公の交差点にいる時に、打ち合わせを終えたばかりの仕事仲間から電話がかかってきました。

「ニューヨークで飛行機がビルに激突した」と。
はじめは観光用のプロペラ機が、どこかのビルに当たったのかと思いました。

家でテレビを見たらトンデモないことになっているではないですか!

ワールドトレードセンターに飛行機が激突する映像が流れ続けました。高校時代の同級生が同ビルで働いていたのですぐに電話をしました。「出社途中でなんとか助かった」と。ですが、口調は同朋の安否を気づかい、恐怖に怯えている様子でした。

あの夜に不思議に思ったことがあります。

同時多発テロと言われたくらいで、ニューヨークだけではなくペンタゴン(米・国防総省の本部庁舎)にも航空機が落ちたと報じられているのですが、その映像はなぜか映らない。たまたま撮影者がいなかったのかもしれませんが、何か意図的なものを感じました。

それから時が過ぎると、

あのテロは米国の自作自演ではないか。
激突した飛行機の映像はCGで作成したものである。

[参考映像1][参考映像2]

と言った説も流れはじめます。
ことの真偽はわかりません。

ただ、ひとつ事実として言えるのは、あのテロ行為をきっかけにアフガニスタン、イラクで戦争が起こり(=起こし)、アメリカの軍事費は巨額になったこと。ブッシュ政権時代、2003年に4500億ドル、2005年に5200億ドル、2007年に6200億ドル、任期中の最後の年、7100億ドルを超える軍事費を使っています。これは、クリントン政権時代の8年間の約2倍以上とも言われています。

下の写真は2005年に行ったE3(Electronic Entertainment Expo)のとき私が撮影した写真です。メインホールの正面は、米国陸軍が屋外出展をしていました。

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『America's Army』というゲームの紹介をしています。
Wikipediaの記述によれば、(おそらく当時の円換算で)開発費22億円を投じたゲームです。米国陸軍の広報が目的ですから無料で遊べます。無料サンプルディスクを配るのはコスプレをしたアルバイトではなくて、本物の軍人たちです。

今でも『America's Army』は無料でダウンロードでき、YouTubeの特設チャンネルもあります。

話は転じます。
円高について、です。

私は国際経済・為替の専門家ではありませんが、現在の円高は円の価値が上がったのではなく、ドル安が招いた要因が大きいでしょう。

ドル安の原因は、米国の財政赤字、米国経済の先行き不透明感、そして米国政府の「ドル安」戦略。それに投資家・投機家心理が働いて、日本円が相対的な買いの対象となり、「みんなが買うから自分も買う」「みんなが買うから円高になる」「円高になるなら為替差益を狙って円投機」というスパイラル円高が起きているのではないでしょうか。

この米国の財政赤字。
ブッシュ政権時代の8年間で4兆3千億ドルを軍事費として支出したツケとなっていることは言うまでもありません。

なぜ、ドル安、円高などの話をするのかと言うと、先週行われたCEDEC2011と関係があります。

私は「ゲームのお仕事」業界研究フェア(ゲーム業界人事担当者対談 2011)のモデレーターをつとめさせていただいたのですが、その際に、あるご登壇者が重要な問題を投げかけてくださいました。

仮に日本での初任給を350万円とします。1ドル70円程度で換算すると、その額は約5万ドルになる。外国で5万ドルの賃金を出したら新卒でも中途でも、相当に優秀な人材が採用できる。


話はずいぶんと遠回りしましたが、9月11日、米国の軍事費、ドル安、円高は、日本ゲーム産業の雇用の変わり様へとつながっていきます。

自分の収入を一度、ドル換算してみる。
その価値が、世界で通用するかどうかを見直す時が来ています。
悲観論としてではなく、グローバルな視座から危機感を持ち、自分の価値を再評価してみる良い機会、という意味をこめてこの記事をエントリーいたしました。
株主優待