Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2011年11月

半ズボンをはいていた小学生、今も友人(再掲)

珍しく、いや、はじめてかな?
一度書いたブログを再掲します。
以下の記事は2008年11月07日に書きました。


今日は変わった友人を紹介します。
私が社会人になったのは1985年。

まったく予想もしなかったテレビゲームの創刊編集部に配属され、雑誌は翌86年に創刊。
当時は、小学生の間では「ファミコンブーム」の真っ盛りでした。

どこの出版社でもそうでしたが、ゲーム雑誌編集部では攻略法の問い合わせ電話がひっきりなしに鳴っていました。

雑誌の最終ページに、どんなに「ゲームソフトの攻略法についてはお教えできません」と書いてあっても、ゲームキッズたちは、そんなことお構いなしです。

一日中鳴り響く電話のなかで、声を聞いただけで礼儀正しさが伝わり、妙に大人びた考えを持っていそうな少年がいました。この少年の「編集部に遊びに行ってもいいですか?」という申し出だけが、許可されることになりました。

少年は東京の江東区に住む小学校4年生でした。
小学生ながら、純粋な記事とタイアップ記事を即座に見分けてしまうような明敏な頭脳の持ち主で、ゲームソフトの批評も鋭く、メディアビジネスについてこんなに知識が豊富な小学生がいるのか、と周囲のオトナたちを驚かせていました。私もそのひとり。

聞けば、お父様がコピーライターとして広告の世界では活躍なさっている方で、その影響か、かくも早熟な少年が育ったのでありましょう。

読者としての感想も言ってくれるのですが、これがまたいちいち的確でした。少年は専門誌のあるべき姿を「心臓」という比喩を使って説明しました。ゲーム業界は「身体の全体」。専門誌はその一部である「身体の部位」、どうせその部位の一部ならば「心臓」、つまり止まると全体が死ぬような存在でなくてはいけないと言うのです。けだし正論、そして巧みな比喩力!

若干10歳の少年の助言は重く私にのしかかり、その思考のために、多くの時間をさいたものでした。その結果、「心臓」になるためには、対象物への「愛」と「命を削る覚悟」が必要なのだ、という、ずいぶんと構えの大きな見解へと行きつくのであります。

やっと学生生活と別れを告げ、社会人になったのに半ズボンをはいた年頃の友人ができるとは、これまた予想もしなかった「運命」でした。その後も少年とは交友関係が続きました。それはまさに編集者と読者、社会人と小学生というよりは交友と呼ぶにふさわしい関係です。私は少年を子供と思ったことは一度たりともありません。いわゆる、「タメ」の感覚です。

のちに彼は、頭が良くて多感な少年らしく悩める青春時代を過ごすことになります。
学校に行かなくなったり、学校を辞めたり、あるいは学校に再入学したり……学校をめぐるさまざまな問題に直面するようになります。

これは想像なのですが、十分に世間を知ってしまった少年の知性に、世の中の世間知らずの先生方は、ついていけなかったのでしょう。そして少年は、果たしてそんな先生たちに教わる意味があるのか、と疑問に思ったのでしょう。

紆余曲折があったものの大学を卒業。少年はいつしか社会人となり、某大手メーカーの社員になりました。その後、そのメーカーも退職して、現在は教員免許を持ち、高校教師の経験もある著述業という、ふたつの職業についています。メディアビジネスと教育。どこか私の関心と職業分野に、通じるところがあります。

はじめて会ったとき、小学4年生だった少年は、もう30歳を過ぎて父親になっています。
そのから、近著の献本を頂戴しましたのでご紹介させていただきます。
長くつき合ってくれて、ありがとう。
本を送ってくれてありがとう。





その彼、生井俊氏が12月に新著を出します。
『高校生でもプロ意識が生まれる ディズニーランド 3つの教育コンセプト』(こう書房)
彼は生家が東京ディズニーランドの近くで、子ども時代からよく観察をしていたんですね。
私が編集していた雑誌を観察するのと同じように。
生半可な知識ではなく、人生とともに歩んできた彼、生井俊氏のディズニーランドに関する著作は、豊富な情報と筆者自身の愛情が込められています。

書名の「高校生でも」は、彼が実際に高校教師をしており、生徒たちの指導に日々苦楽があったからこそ書名であり、よくありがちで、人をバカにしたような「サルでもわかる」みたいな釣り文句ではありません。

私、今でも彼のことは尊敬できる年下の友人なので紹介させていただきます。
と、堅苦しいこと書いたけど、イクイ、ウチの事務所に遊びに来い!



ディズニーランドのスタッフは「サービスマインド」に溢れていて「仕事へのモチベーション」も高い、というのは以前からいわれていました。
そして東日本大震災の発生。そのときスタッフは誰ひとりパニックを起こさず、すぐに冷静かつハッキリと安全確保のための指示を出し、帰宅困難となったお客様を安心させるために一晩中パフォーマンスなどをしていました。
こうして彼らには「役割をまっとうする強い責任感がある」「すべきことを自分で考え実行する力がある」という評価も加わりました。
ディズニーランドのスタッフの9割は高校生や大学生を中心としたアルバイト。なのにどうして彼らにはそこまで責任感と行動力があるのでしょうか。
その秘密は現場の教育スタイルにありました。
細かい作業マニュアルよりもコンセプトを教える。その考え方に基づいた行動を徹底させ、OJTとロールプレイの繰り返しで心と体に刻み込む。
そうした日々の教育の意味や効果を主にスタッフの視点から紐解いてもらいました。

(Amazon内容紹介より抜粋)

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世の中には簡単な問題が満ちあふれている

世の中には難題が満ちあふれているわけではありません。
簡単な問題が満ちあふれているのです。
今ここに、10人中9人は正しく判断できる問題があるとします。
その簡単な問題を数字で表すと9/10、または0.9となります。
この数字は、正解を導ける確率が90%であると解釈することもできます。

++

じつに、簡単な問題。ですが、つづけて正解を導くことは難しいことです。
2回続けて正解するとなると、0.9の問題は0.81の問題となります。
正解確率は81%に下がりました。
もう少し計算を続けてみましょう。
1日に1回を7日間、1週間、簡単な問題の正解を続けることは0.4782969。
47%、つまり2回に1回も成功できないことを意味します。
簡単な問題は、正解を出し続けることにより難題に変化するのです。

++

1週間ではなく1ヶ月。30日の場合は0.9の30乗を計算します。
すると答えは0.0423911582752162となり全正解の確率は4%に激減します。
2ヶ月。60日の場合は0.9の60乗=0.00179701029991443です。
恐るべきことに正解の確率は0.1%になります。

++

あるビジネスマンが年間250日働いたとします。1日に1回、10人中9人は正しく判断できる簡単な問題を判断するとします。その場合、全正解の確率は何%になるでしょう?
0.9の250乗ですので、答えは0.0000000000003636029181。
その確率はなんと0.00000000003%になります。

++

世の中には難題が満ちあふれているわけではありません。
簡単な問題が満ちあふれているのです。
簡単な問題は、正解を出し続けることにより難題に変化しているのです。

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立川談志、談。「いま、考えればどうってことなかったんだ」

立川談志師匠が亡くなった。
私にとっては好きな落語家の域を越えて、尊敬する人だった。

1991年に独立して、講演の仕事をするようになって、人前でどうやったらうまく話せるようになるのか? 試行錯誤したけど、行きついた先は、立川談志の落語だった。

CDを買って、家でもクルマの中でも、立川談志師匠の声を耳に入れておけば、自然と話すリズムが身につくのではないか? と、考えた。英会話の学習教材のようだった。

生き方も格好が良かった。
参議院議員になったり、落語協会を脱退したり、落語家の枠をはみ出た人だったけど、印象深いのは訴訟にまでなった、高座を中断した話。

「寝ている客がいるねえ、今日は」と客を起こそうとしたが、起きない。そののち「やってられないよ」と楽屋に戻ってしまった。

話しをしていて、寝ている人がいる人がいると、内心おどおどしてテンション下がっていく(←この言葉はじめて使った)、私とは大違い。

賛否はあろうけど、プロとしての誇りを感じた。

90年代中頃、立川談志の独演会を聴きに行ったことがある。
話の枕が「マルチメディア」だった。

「近頃は、マルチメディア、マルチメディアって騒いでいるけど、ありゃなんだよ。便利になんの? 便利になったところで、もう十分便利だよ。世の中、これ以上、便利になってどうする(キリッ)」。

このセリフ、今でも頭に残っている。


ある若者が立川談志一門に入りたいと訪ねる。
すると、立川談志師匠はこう言ったそうだ。

「落語家は、利口はなれない、馬鹿でもなれない。中途半端は、なおなれない」

とね。
こんな哲学的な問答について来られない若者は入門させない。
いや、想像するに顔も見たくなかったんだろうね。

このセリフも身にしみる。
落語家の部分を別の職業名にしても当てはまる。

2000年代になって、今でもだけど、i-Podに入れて何度も何度も聴いていたのが、コレ。



出だしでいきなりオチを言うところが凄いんだけど、途中に出てくるセリフがまた胸にガツンとくるんだ。


tdanshi.jpg

我が事に当てはめると、この雑誌に書きたいとか、書きたくないとか、いま、考えればどうってことなかったんだ。この講演をしたいとか、したくないとか、いま、考えればどうってことなかったんだ。

特にやりたかった仕事ができなかったとき。
自分の連載が中止になったとき。
企画が通らなかったとき。

何か釈然としないことがあったときは、このセリフをいつも思い出すようにしている。不思議と心のざわめきが収まる。

立川談志師匠には「ずっと生きていたいとか、生きたくないとか、天国から眺めてみりゃ、どうってことなかったんだ」と言ってほしい。

合掌。




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製品に差がない勤労感謝の日

遅い時間帯にコーヒーを飲んだせいか、もう午前5時だというのに眠くない。

なんとも間が抜けた話だけど月曜日のことを書こう。
月曜日にワールド・ビジネス・サテライトの取材を受けた。

グリーがディー・エヌ・エーを訴訟した件で。
自分が画面に映ったのは15秒あるかないか。

うー、これは説明不足だ、と思ってコーナー終了後、あわててTwitterにログインした。

興味をお持ちならば、私のツイートを追ってください。
ことの経緯、書いてます。

ようは、こんなことが言いたかった。
正確に言うと、質問されたので答えたのであった。

DeNAの球団買収、グリーのCMの多さ。今日発表されたEXILEもそう。ソーシャルゲームの会社は、なぜそんなに知名度を上げようとするのか? と、報道部の記者の方から質問をされた。

私は「製品に差がないから」と答えた。

本当は両社のサービスに差があることを、もちろん知っている。
グリーにはヤフーモバゲーがないし、Mobageにはクリノッペがいない。その他、SNSの設計思想やユーザーインターフェイスの違い、挙げたらキリがないほどあるけど、テレビ向きの話ではないでしょ。

母は「今晩、久和がテレビに出るんだって」と昭和6年生まれの伯母に電話していた。伯母に誕生日の寄せ書きの話をしても、チンプンカンプンになるに違いない。いや、絶対にわからない。白内障を患っていて、ゲームしないし。

なので細かな違い(←つくっている人には失礼だけど許してください)は、目をつぶることにして「製品に差がないから」と答えることにした。

サービスは違っても、キャリアは違っても、ユーザーが使っているモノ=製品は携帯電話が中心で、そこに大きな差異はない。

で、Twitterに

DeNAの球団買収、グリーのCMの多さ。今日発表されたEXILEもそう。ソーシャルゲームの会社は、なぜそんなに知名度を上げようとするのか? という質問に「製品に差がないから」と答えた。WiiとPS3には明らかな製品の差がある。でもソーシャルゲームに製品の差は‥‥ないに等しい。


と書き込んだ。
そうしたら、自分でもビックリしたことに公式RTが100を超えた。

私の見解が良いか、悪いか。
賛成の意味があるのか。異論があるのか。

Twitterの公式RTには、いろいろな思いがあるから、どうなのかわからないけど、声なき声がネットワークの裏側でつぶやかれている思いがした。

今日は勤労感謝の日ですね。
でも、昔は新嘗祭だったけど、戦後、GHQが天皇行事から切り離すために「勤労感謝の日」にしたんだ。

……こういう話もテレビ向きではないから、もうすぐはじまる今日のテレビ放送では「勤労感謝の日、勤労感謝の日」と言いつづけるんだろうな。

まあ、自分で答えていて、書いていて、ゾッとするんだけど「テレビ向き」という言葉があって、それで皆んなに伝わってしまうのって、ちょっと怖いね。

ソーシャルゲームの会社は、なぜ知名度を上げようとするのか?
この答えは、本当は話すと長くなるので「UST向き」。
今度はUSTで話をしよう。

まだ起きている人、おやすみなさい。
もう、目覚めた人、おはようございます。

昨日が終わる人と、今日が始まる人が、道ですれ違う東京の午前5時に記す。

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満員御礼と本音ベース

昨日のイベント「ヒッポン・エイジス~あの雑誌の誌面から振り返るテレビゲーム80's」は大盛況でした。お陰さまで大入り満員!

どうも私は自分のことを話しすぎたようで、Twitterでは「平林無双」と呼ばれていたみたいです(苦笑)。

1986年に創刊した雑誌です。
その雑誌に思い出を持ち続けてくれているファンが、大阪から、名古屋からわざわざ来てくださいました。

イベント準備のための資料作成や、会場受付も当時の読者の方が手伝ってくださったんですよ。

匿名でお花を贈ってくださった方がいらっしゃいました。
出演者、ゲスト一同に差し入れを持ってきてくださった方もいました。
私も紅茶、手づくりの石鹸をいただきました。

来場者の皆さん、サポートしていただいた読者の皆さん、ゲスト出演してくださった皆さん、どうもありがとうございました。

以上、親しき仲にも礼儀あり、ということで。
もう少し、本音ベース(←この言葉はじめて使った)でお話をしますとね。

title.jpg

楽屋話と打ち上げが、かけがえのない一時(ひととき)でした。
出演者とゲスト。
当事者なのですが、記憶に残っていることは、まだら模様。
皆と語り合うことによって、思い出のジグソーパズルが埋まっていくようでした。
それが言い知れぬ快感。

私が言った何気ない言葉を、恩と感じてくれていて「今でも心がけています」と感謝されたり。
逆に私は無自覚に「人に痛みを与えていたんだな」と悔いる、悔しい思いをしたこともあったりして。

それらはすべて過去のことではなく、正面から受け止め、これからの「借り」は「借り」として返し、感謝してくれた年下の者には、もっと「貸し」を与えていきたいと。

そんな気持ちが込み上げてきましたね。
ちょっといい人、ぶってますが、かなりマジで。

今回のイベントは、いわば当時の読者の皆さんに「舞台裏」を夢を壊さないように語る場でもありました。

宴も終わって打ち上げ。

私も「舞台裏」を出演者やゲストに語らずにいられなかった。
25年間つきあってきた仲間でも、私が秘していたこともあって。
それをぶちまけて。
皆んなが真剣に聴いてくれたのもうれしかった。

編集部在籍中に、じつは3回ほど辞めるかもしれない機会があったこと、などですね。
当時は、そんなそぶりも見せずに働いていたから、「今だから言えるけどさー」の話をしてしまいました。
その他、もろもろも、ですね。


下ネタもバカ話もいっぱいしたけど、鈴木みそ氏(@MisoSuzuki)と成澤大輔氏(@Abingdoni_Nari)と、人類の歴史を辿る名著「銃・病原菌・鉄」や、原発とゲームについて熱く語り合いましたよ。

本当に青臭いけど、青春時代に戻ったような夜でした。
下の写真は、本当に青臭かった頃の私。

hirab.jpg




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ひねくれ者のお詫び

  • Day:2011.11.18 04:42
  • Cat:言葉
昨日。

ところで出世欲という言葉はあるけど、能力を上げたい……の欲ってなんだろう?

なんて問いかけをしたら、おもにFacebook上でのことですが、皆さまにお知恵をしぼっていただきました。

向上心。
向上浴
野心。
全能感。
大志……等々。

賢明なるご示唆をいただきました。
どうもありがとうございます。

ところで「ふざけるな!」という話ですが、私はご存知のように天の邪鬼でございまして。
出世欲に対抗するほど、ピタっと来る言葉はない。

われわれはそういう社会、言語文化圏に生きているのだ、ということを逆説的に表現したかったのであります。

どんなに考えても解はないでしょう。
「解がない」が、きっと「解」です。

私は問いかけの形式を使って「出世欲」はあったとしても、その基盤となる個の能力を高めたいが欲求を示す語がない言語文化圏にいる。

……ということを自覚せねばならない、と述べたかったのであります。
能力があると出世の妨げになること、なきにしもあらず。

メジャーどころでは「出る杭は打たれる」
マイナーですが「大木は風に折らる」「誉れは毀りの基」「高釘必ず打たるる」「喬木は風に折らる」「高木は風に嫉まる」

そんな言葉はいくらでもあるんですがね。

で、困るに困って、坂口安吾大先生は思わず「大きな魂は大きく悩む」とツイートしたのでしょうね。
当時、Twitterはなかったですが。

お騒がせしました。
お知恵をいただいた方に、ひねくれ者が、お詫び申し上げております。

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