Hisakazu Hirabayashi * Official Blog2012年12月

Huluはいい!

hulu_icon.jpg


Yahoo!ニュース「個人」に原稿を書きました。
タイトルは直球すぎるでしょうか。

Huluはいい!
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20121228-00022855/

ブログでは本稿の補足説明をします。

「ああ、自由」を強く感じるのは、トイレの中だ。

これは実体験にもとづきます。
Huluの企業スローガンは「Anywhere, Anytime」とスカシタことを言っているわけですが、そこにはトイレも含まれる。そしてこの瞬間は、いかにも広告で描きがちな、オシャレなカフェで、通勤電車内で‥‥よりもはるかに現実味があるメリットだと思うのであります。

老いているので、すべて見た頃には最初のストーリーを忘れているから、もう一度見直す。

私、「老い」をからかうような描写は大嫌いなのですが、これも実話です。
我が母のことなので、躊躇なく書いてしまいました。
母は戦時中の生まれで、子ども頃は食糧難を体験し、「昔は白米が食べられなかった」が口グセですが、今は午後のひとときに、PS3かApple TVで『刑事コロンボ』を観る幸福な日々を過ごしています。

すでにHuluの加入者であったとしても、意外と知られていないアカウントホールド。

私の周囲には、当然のごとくHulu利用者がたくさんいます。
この機能を知らない人に複数名出会ったので書きました。
詳細は[ヘルプ]→[アカウントと設定]→[アカウントホールド]にて。

そして、相手がアップルでも、マイクロソフトでも、ソニーでも、任天堂でも、これら企業が発売するハードをHulu再生装置にしてしまう交渉力。

ゲーム機を例に挙げると、PS3、Xbox360、Wii Uにアプリを供給しているHuluの全方位外交能力はすごい。また細かな話ですが、PCの主要ブラウザのすべてで見られるのもいいことです。

驚異のマルチデバイス対応型シームレス動画コンテンツ管理システムだ。

ここは頭を使って書きました。Huluの解釈を拡張すると、巨大なシステムなのではないか、との考えにいたりました。この思考にたどり着いたのがうれしくて、わざと長ったらしい文章にしてしまうのは、私の悪いクセです。

日本の放送局、番組制作会社、映画会社が束なれば、Huluと同じことができた。だが、束なる発想もないまま、今を迎えてしまった。

厳密に言うとこれはウソです。発想ぐらいはありました。でも、みんなできないだろうって最初から諦めていた姿を私は横から見ていました。余計なことを補足すると、テレビ局の社員で、インターネットの仕事をするのは主流から外された的な風土があって、動画配信を真剣にやろうというムードはなかったように思えます。

放送局を横断的につないだサービスとして、2012年4月、NOTTV(ノッティーヴィー)が開局したが、こちらは視聴できる端末が少なすぎてお話にならない。日本初スマホ向け放送局のコンセプトも意味不明。

NOTTVを思いっきりDisってしまいました。どうして「お話にならない」のか。なぜ「コンセプトも意味不明」なのか。明らかに説明不足です。結論を急ぎ過ぎた、おかしな文章です。でも、特に説明しなくてもいいんじゃない? 記事を読んでいる人は、同じことを考えていることを想定して甘えてしまいました。NOTTVを愛している人がいたらごめんなさい。

初代iPadと日本語対応したアマゾン・キンドルが発売された2010年、「電子書籍元年」と叫ばれた。時代がかった「黒船来襲」という比喩が頻繁に使われた。

ちょっとマスコミ批判です。電子書籍のときは大騒ぎでした。カタチがはっきりとしていたからでしょうね。HuluはiPadやキンドルのようなカタチではなくて、意味です。その衝撃は電子書籍並みに大きいと思うのですが、危機感煽り屋さんたちも、Hulu日本上陸のときは、ノーマークだったように思えます。もし、きっちりとマークしていて、Huluは黒船だ! と言っていた方がいらしたら、それはそれで慧眼なので、これまたごめんなさいと謝っておきます。

アップルとアマゾン。端末と巨大なオンラインストアを持つ2社が、著者と直接契約をして版元を「中抜き」することを出版業界は警戒した。その警戒体制は今も続く。

超具体的に言いますと、『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(著/クリス・アンダーソン)が紙の本だと1995円、キンドル版ならば半額くらいにしてほしいなーと思っているのに、1714円で売られている、という話です。

2013年の年の瀬、「Huluはノーマークの黒船だった」と、レンタルビデオ、放送(特に有料放送)など、映像にかかわる業界関係者が嘆く姿が目に浮かぶ。

ずいぶんと陰気臭いオチになりました。ヘタな希望を書いてもうそ臭いので、悩んだ末、この歯切れの悪い結びのままにしました。Huluを使っていると、これ、レンタルをしていたらいくらになるのだろう? てなことを考えて、レンタルビデオ店というよりは、月額固定費用を払うポスレンですね。ポスレン解約、それと括弧内でわざわざ(特に有料放送)と書いたのですが、CATV、BS・CSのやはりサブスクリプション型の放送はHuluと市場でガチでぶつかると思うのであります。これは今年のE3で知ったことなのですが、インターネットで番組視聴をするので、CATVを解約する人のことを、「コードカッター」と呼びます。

本稿を書き上げ、勢いのままブログも書いたら砕けた文体になってしまいましたが、今年のエントリーはこれで最後になるかと思います。
皆さま、良いお年をお迎えください。

アイコン
posted by Hisakazu Hirabayashi

Twitterはコチラ。Facebookはコチラ。メールフォームはコチラです
スポンサーサイト

『隣り合わせの灰と青春』・電子書籍で復刊!

ダンジョンRPGといえば聞こえはいい。
今から30年以上も昔のこと。
コンピュータは悲しいくらいに力不足だった。
ゲームの背景に、絵柄を描くことすらできない。
何もできない。
コンピュータが何もできないということは、そこを真っ黒にするしかない。
『スペースウォー!』『スペースインベーダー』。
黎明期のゲームに、スペース(SPACE)がついた題名が多いのは、殺風景な黒い背景を宇宙の色に見立てたからだ。
黒の見立ては、もうひとつあった。
黒、そこは洞窟内の暗闇である、という設定もなかなか好都合であった。
ダンジョンRPG・『ウィザードリィ』がその代表作だ。

1980年代の終わりの頃、アメリカ生まれのPCゲーム『ウィザードリィ』がファミコンで遊べるようになった。これは原作をしのぐほどの傑作で、ゲーム専門誌の編集者だった私は、ただ紹介記事をつくるだけでは物足りなかった。

『ウィザードリィ』をプレイしていると誰もが感じる想像の広がり。
活字の力で、さらに想像を膨らますことを仕掛けたい、という熱情に駆られた。
いわゆるノベライズであるが、もっとスケールの大きな。具体的に言うならば、ゲーム枠外のことを、ゲームの枠内のルールに準拠して、作者が創作をしていることを目指した。

誰が書いてくれるだろう? 
迷いのなかで出会ったのが、のちに筆名・ベニー松山となる、19歳の青年だった。
彼は他誌に『ウィザードリィ』のことを書いていた。
一読しただけで文才があることが伝わってきた。
彼に書いてほしかった。男が男を口説いた。
『ウィザードリィ』の小説を書いてもらえないか? と話を持ちだしたのは、私が23歳か24歳の頃だった。

書き手との打ち合わせを重ね、編集部内のページ取り、連載のデザインフォーマットとイメージビジュアルの作成などなど。これらの段取りを経て、いよいよ連載開始となった。

締切日の深夜、ファクシミリが編集部に届いた。
横書き用の200字詰め原稿用紙だった。

 そこは、漆黒の世界であった。
 一筋の光とて存在しない、冷えきった地の底の世界。


この2行を読んだだけで、私の躰は震えた。
ただの真っ黒い画面を迷宮にしたてた『ウィザードリィ』の作者も作者だが、その黒をどう文字で表現するか。もう一度書くが、

 そこは、漆黒の世界であった。
 一筋の光とて存在しない、冷えきった地の底の世界。


完璧な黒の描写だった。人の手が書いたものではなく、神が「答え」を授けてくれたような気さえした。書き出しで圧倒された私は、じつは処女作である彼の小説に引きこまれていった。
デスクに座ることなく、ファクシミリの受信機の前で連載初回の原稿を一気に読んだ。
原稿用紙から、才能という名の蒸気が湧き出ているようだった。

私は、中学生の頃から、いつか小説を書きたいと思っていた。
この思いは、ハタチを過ぎても変わらなかった。いかにも浅知恵の学生にありがちな短絡思考で、学校を卒業したら出版社で働けば小説家になれるのか。その程度の志望動機で社会人になった。

だが、その夢を打ちのめしたのは、ベニー松山『隣り合わせの灰と青春』、連載初回の原稿だ。文章の構成力、語彙力、リズム感、何をとっても私は負けている。

悔しくなかった。自分の才能のちっぽけさが、呆れて笑えるような気がした。そして、それは不思議と快の感情であった。気持ちよくて気持ちよくてしかたないほどの敗北をして、私の人生設計は、組み直しをしなくてはいけないことになる。

私は、ひとりの大学生をベニー松山にしてしまった。他人の人生を変えてしまった。
だが、彼もまた、私の人生を変えた男なのである。
お互いに人生を変えてしまったコンビなのかと思う、今日、この日。
『隣り合わせの灰と青春』が電子書籍となって復刊された日です。

tonariawase.jpg


bccksについて
http://bccks.jp/about/bccks

『隣り合わせの灰と青春』
http://bccks.jp/bcck/109170/info

迷宮書店
http://bccks.jp/store/dungeon

アイコン
posted by Hisakazu Hirabayashi

Twitterはコチラ。Facebookはコチラ。メールフォームはコチラです

新連載で書きました、Wii Uについて

新連載がはじまりました。
Yahoo!ニュースは、今年の9月から従来からあった「トピックス」「写真」「 地域」「企業トレンド」等に加えて「個人」を公開しました。

個人のトップページには基本編集方針が書かれています。

Yahoo!ニュースにByline(記名)で情報発信する個人の書き手「オーサー(Author)」が加わりました。専門的な知識を元にした考察、多様な視点や主張が加わることで、ニュースをより多角的に理解できます。


各分野のオーサーがすでに執筆をしていますが、このたびエンタテインメント分野が加わり、私が寄稿することになりました。タイトルは「ゲーム思考」としました。

ゲームを、ただ遊ぶだけではなく立ち止まって思考をする。
世の中の森羅万象をゲーム的に思考してみる。
2つの意味を込めてつけたタイトルであります。

第1回は12月8日、先週土曜日に発売されたWii Uの所感を述べております。

ホームサーバーの可能性を秘めて発売された任天堂・Wii U
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hirabayashihisakazu/20121214-00022727/

少し先走った‥‥また、私「個人」の思い入れが強く出た見解かもしれません。ですがWii Uを、単なるWiiの後継機とみなしてしまうのはもったいない。
時流、文字通りに時の流れにあったマシンであり、見方を変えれば、Wii Uは、自らそう名乗ってはいないけれども、ホームサーバーの役割を果たすのではないか、と思考しました。

本文ではそこまでは触れなかったので、補足します。
インターネットは技術と生活環境の変化によって、また大きな節目を迎えています。

世界に張りめぐらされたインターネットの端末としてPCやゲーム機がある、というのは当たり前のことになりました。次に起きる変化のひとつとして、インターネットの家庭内二次活用に注目しています。

端末1がインターネットから情報を受け取る。その端末1は家庭内のサーバー機能を持ち、携帯型の端末2でコンテンツを利用することができる。そして、今のWii Uにはこの仕様はありませんが、端末1はスマートフォンなどの端末3によって、外出先から遠隔操作ができる。

主になる家庭用サーバーは端末1
家の中で自由に閲覧操作する端末2
外出先から端末1を操作する端末3

これら3つのデバイスを使う、三角形な情報生活が次の当たり前となる、との私見を持っております。

本稿ではWii Uについて書きましたが、ソニー・コンピュータエンタテインメントのnasneは非常にはっきりとした端末1ですね。名前からして、NAS(Network Attached Storage)ですから。次回は、12月20日に予定されているPSVITAのアップデートによる、nasneとPSVITAと連携について書くかもしれません。

こんな予告をしていると、私はホームサーバー至上主義者のようですが、違います。新しいゲーム機が登場したら、意味を発見したい人であります。それがたまたまこの時期は、ホームサーバーであったというだけのことです。

新ハードが発売されるたびに、サードパーティは何社、タイトルラインナップは何タイトル。わかりやすい数の報道は、私よりも調べものが上手な人が、熱心に書いてくれているので、私はほかのことを書いているまでのことです。

アイコン
posted by Hisakazu Hirabayashi

Twitterはコチラ。Facebookはコチラ。メールフォームはコチラです

パズドラ選挙の告示日に

  • Day:2012.12.04 10:23
  • Cat:政治
総選挙の告示日となった。
今回の選挙、各政党の主張がトンチンカンで、かなりフラストレーションが溜まっている。
年末、仕事は山積みだけど、一度吐き出さないと、かえって効率が悪くなりそうなのでブログを書くことにした。

■原発ごっこが気持ち悪い

そもそも「原発」は、今回の総選挙の争点なのだろうか。
「原発」はすでにある。
「原発」には危険がともなう。
矛盾を解決するのが政治の仕事だ。
今、ここにある現実に直面しないで、「原発」という言葉のアレルギーを利用するのは、有権者の人気取りをしているかのようだ。浅知恵が透けて見えてしまう。
選挙をめぐる論争が「原発」のくだりにさしかかってくると、すりガラスを爪でこすった音を聞くような、気持ち悪さを感じる。そんな音を立てなくてもいいのにと思う。

かくいう私は、原発のド素人だがド素人なりに考えがある。
原子力発電所を企業が経営するのはおかしい。国営化すればいいのに、と思う。
原子力発電所国営化説に賛成だ。
仮に防波堤を建てていれば福島第一原発の事故は防げた、という記事を読んだことがあるが、建てなかったのは、東京電力が企業だからだ。

原発事故は起きないことを前提にして電力会社は営まれている。いつ起きるかわからない「万が一」のために、コストをかけても企業の経営者は誉められない。だが、任期中に利益を上げれば必ず誉められる。

原子力発電所が企業の所有物であること。この仕組みがリスクなのだ。
次に来る地震を人間は止められないが、仕組みは変えることができる。
原発は争点であってほしくない。各党の合意事項であってほしい。
原発は企業が持っていると危険度は高まる。即時廃止は現実問題としてできないが、国有化ならば半年でできる、という政治家の主張が聞きたい。

■税と公共事業以外の経済の話を

「原発」と同じで、「税」にも有権者は敏感だ。
そこで消費税増税廃止を唱える政治家が出てくるわけだが、ほかに着手することがあるかと思う。
議員定数削減、公務員給与のカット、国も身を切ってから国民に負担を求めるのが筋、という正論があるが、この正論が通用しないのは、過去10年の政治を見ていれば無理だとわかる。
今、経済政策で喫緊の課題は企業の内部留保だと思う。

不景気は肩コリと同じでお金という血の巡りが悪いことだとすれば、企業の内部留保のコリがひどい。
資本金10億円以上の企業が保有する2010年度末の内部留保は266兆円もある。
企業が先行き不安で、設備投資も控えて、雇用にも費用を使わない。
ひそかに貯めこみ、大半は金融機関経由で国債等の安全低利資産で運用している。
こんなことをしていて、景気がよくなるはずがない。

増税して財政規律を保つべきだ。
いや、国債発行して公共事業を増やそう。
何年も変わらない議論がまだ続いている。

旧態依然として論争だ。消費マインドならぬ、企業の投資マインドの極端な冷え込み。言い換えると、何かを生産することへの意欲を失い、生き残ることだけの企業にアメとムチを立法するのが国会議員の仕事だ。

■選挙は正直者コンテストではない

そもそも今回の総選挙。野田首相が「嘘つきになりたくない」と言って衆議院解散になったようなものだが、およそすべての組織のリーダーは、ついていい嘘、言ってはいけない嘘を見分けること、嘘をつくならばうまい嘘をつくけること。コレ、重要な資質だと思う。このことはマキャベリの『君主論』のあちこちに書いてある。

ナポレオンもリンカーンも、リーダーがつくべき嘘の勘どころを知っている。
名をなした政治家は、生涯で必ず絶妙な嘘をついている、という視点で政治史を読み返してみると、嘘のすべてが時の国家・国民にとっての悪ではないことがわかる。

私腹を肥やすなどの不正行為は言語道断だが、ただの正直者は宗教者になるべきであって、政治家には不適格だ‥‥と暴論か正論かわからないが、私が考えるところを述べてみる。

■第三極から連想すること

硬い話を延々と書いたので、最後にゲームの話をする。
今回の選挙では、多数の政党が入り乱れることになった。すでに政党が生まれては消滅して、新政党をつくっている。この景色、何に似ているかというと、『パズル&ドラゴンズ』のパワーアップ合成を見ているみたいだ。集めてレベル上げさせよう!‥‥的な。属性が違っても、強引にレベル上げをさせている政党もある。

選挙前の数合わせゲームは、もうひと通り終わって告示日を迎えた。
総選挙が終われば、今度はどの党とどの党が連立するかのゲームが始まる。
その際には、進化合成をしてほしい。単に数を集めて過半数をとるではない、組み合わせによって質が変化するような。

選挙、政治のことを考えると失望感が心に広がってしまうけれども、嘆いてもしかたない。
今、与えられた環境で、与えられた権限を行使するしかない。

パズドラ


この文章の冒頭ではフラストレーションが貯まっていると書いたけど、今回の総選挙を「パズドラ選挙」と考えると投票所に行く気になってきた。本当は今、『ドラゴンコインズ』があまりにもよくできていて、熱中しているのはこちらのほうなのだけど、まだメジャーではないから、「パズドラ選挙」と呼んでみた。

この場では書きたいことは、なんとなく書けた。さあ、仕事開始。

アイコン
posted by Hisakazu Hirabayashi

Twitterはコチラ。Facebookはコチラ。メールフォームはコチラです
株主優待
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。