Hisakazu Hirabayashi * Official Blog「千の風になって」の詩の原作者は“不詳”ではないのだ

「千の風になって」の詩の原作者は“不詳”ではないのだ

  • Day:2008.09.19 00:01
  • Cat:言葉
私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって
あの大きな空を 吹きわたっています



秋川雅史氏が唱い、芥川賞作家の新井満氏が翻訳。
「千の風になって」の冒頭の歌詞です。

新井満氏のご友人の奥様がガンで早世され、文集をつくられた際に、ある方が翻訳詩として「千の風」を紹介。それを新井満氏が作詞なさり、お仲間だけのCDがつくられた……などの大ヒット作になるまえのエピソードは、よく紹介されていたような気がします。

素晴らしい、人と人のお気持ちです。
素晴らしい、人と人のつながりです。

「ヒットコンテンツはどうすれば生まれるのか?」

などということを考えたり、書いたり、話したりして生計を立てている自分は、身の縮むほど恥ずかしい思いがします。




そこで黙って反省でもしていればいいものを、ひとこと言いたくなるのが、私の悪い癖です。

私のうがった見方かもしれません。
無宗教の人が多い国、日本らしく、この歌詞を、「ほらね、どうせ、お墓や墓碑の中に死者はいないんだから……」と解釈され、この曲は、まるで“無宗教の賛歌”のようにヒットしたような気もするんです。

無宗教であったとしても、死への尊厳を、我が国の人々が軽んずることはあろうはずはありません。
さらに火葬という文化もありますから、空中の風になる……という表現に納得感も生まれて。

つまり、この曲は日本流にアレンジされた名曲となのではないでしょうか。

もうひとつ、気になることがあります。
原作詞者は不詳となっていますが、どうやら、メアリー・フライ(Mary Frye)という、アメリカ人女性がお書きになられたようです。彼女は、この歌詞の作者として、ラジオのインタビューに答えた記録も残っています。

1930年代のこと。

メアリー女史には、マーガレットという(ドイツ系ユダヤ人)の友人がいました。
A・ヒットラー率いるナチスが政権を取ったさなか、マーガレットはドイツから出国ができましたが、彼女の母は老齢の上、ご病気で出国できず。結局、祖国(と呼ぶべきかどうか)、のちにドイツでお亡くなりになりました。

その報に触れた、遠い異国・アメリカに住むマーガレットは、毎日、毎日泣き暮らしていたといいます。

ある日、メアリー女史はマーガレットと一緒に買い物にいきました。
帰り道、メアリー女史の買ったものを見て、マーガレットは急に泣き出しました。
「それ、私の母が好きだったの」と。

そしてマーガレットは、「何が一番悲しいかって、私は母の墓標の前に立ってさよならを告げる事も出来ないのよ」と言い、自室にひきこもったそうです。

その時にメアリー女史は、そばにあったペンで一気に詩を書き上げました。
「これ、私が書いた詩なの。私の思う“人の生と死のあり方”なの。あなたのためになるかどうか分からないけど」。マーガレットの心は救われました。

インタビューのテープの中で、メアリー女史は言います。
この詩が人々の共有財産であるため、彼女は一切の報酬も受けとっていません。

「この詩は私だけのものじゃないの、皆のものよ。今でもそう思うの。これは、愛や安らぎについて書いたのよ、もし私がお金を受け取ったりしたら、意味がなくなるわ」。

というようなバックグラウンドストーリーもあり……解説するのも野暮ですね。
「千の風になって」は、間違っても無宗教を崇めた詩ではなく、母の墓標の前に立つことさえできない友に捧ぐ、国境と、民族を越えた、慰めの言葉。言葉の塊。

第2次世界大戦。
ナチス支配下のドイツ。
ユダヤ人迫害など……語るに長くて、想うに深い歴史が、この奥には横たわっています。

突然、私のことになりますが、明日は叔父の納骨式に参席の予定です。
墓石の前に立てることを、ありがたく思うことにします。

以下は……
1932年にメアリーが書いたオリジナルバージョンとされているもの。

Do not stand at my grave and weep,
I am not there, I do not sleep.
I am a thousand winds that blow.
I am the diamond glint on snow.
I am the sunlight on ripened grain.
I am the gentle autumn rain.
When you wake in the morning hush,
I am the swift, uplifting rush
Of quiet birds in circling flight.
I am the soft starlight at night.
Do not stand at my grave and weep.
I am not there, I do not sleep.
Do not stand at my grave and cry.
I am not there, I did not die!



リーマン離婚
の話題でショックを受けた独身男性のみなさん。
この世に愛はあるのです!

*本エントリーは以下のサイトを参考とさせていただきました。
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/prof/1000winds.html
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,60-1344731,00.html
http://www.cantusquercus.com/9611text.htm
http://www.twin.ne.jp/~m_nacht/index.html


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Comment

御礼
映像を見ると、いきなり作詞者が「不詳」となるのが、なんとも切ないですね。

この記事にかかわらず、平林様の着眼点、洞察力、ご見識に敬服しております。

私も小さいながら会社経営にたずさわっています。考え方のヒントをいつも頂戴しております。
  • 2008/09/19 11:59
  • 匿名にて失礼します
  • URL
通りすがりの物です。
ダン・ミルマンの著書「聖なる旅」に千の風になっての歌詞が載っています。
もちろん秋川さんのほうがぜんぜん後ですので、作者不詳というのは著作権違反ですよね?
  • 2011/11/05 13:54
  • 通行人
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  • 2013/05/31 06:16
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  • 2013/06/04 21:30
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  • 2013/06/04 23:12
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