Hisakazu Hirabayashi * Official Blogつかみどころのないマーケット

つかみどころのないマーケット

昨日のつづきです。
「08年度ゲーム市場規模:前年比1200億円減」の報道をうけて、インタビューの一部抜粋です。





質問者…「ということは、日本のゲームソフト市場は縮小傾向にあるということですか」
私…「『はい』。ただし、限定的な範囲においてです」

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質問者…「限定的というと?」
私…「今回の総市場規模は、(1)家庭用ゲーム機を対象とした(2)日本国内市場の(3)パッケージソフトウェア……を対象としています。それ以外の巨大なマーケット、把握不可能な、つかみどころのないマーケットが含まれていません。」

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質問者…「『それ以外の巨大なマーケット』というのは海外市場のことですか?」
私…「その通りです。08年3月期決算で、カプコン(32%)、バンダイ・ナムコ(27%)、コーエー(26%)、セガサミー(24%)。この数値は、年々高まる傾向にあります。それと、任天堂ソフトの海外での売上です。任天堂の売上はここ数年、海外市場が占める割合が、8割前後を推移しています。その中には、巨大な海外でのソフトの売上があるのですが、それがこの統計には含まれていません。また、ゲームソフト会社が運営する携帯電話用ゲームの月額課金代金、有料アプリのダウンロード代金も含まれていません」

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質問者…「『つかみどころのないマーケット』というのは?」
私…「たとえば、インターネット・カフェで12時間続けて、オンライン・ゲームをやっているゲーム・プレイヤーがいます。その人の払った対価は、明らかにゲームソフトのために金銭を消費しているわけですが、この数値は含まれません。あるいはディー・エヌ・エー社が運営する『モバゲーTOWN』は、現在1300万人超の会員がいます。そのうちの有料会員の支払った対価、あるいは、同ポータルサイトが集める広告収入の多くは、ゲームソフトがもたらしたものですが、そのどこまでをゲームソフト市場として計上するのか、その線引きがはっきりしていません。また私は、GREEが提供する携帯電話用ゲームのクオリティを、大変、高く評価しています。私の場合、ゲームのために有料会員となっています。ですが、ゲームを楽しむのが目的で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に払った月額課金は、当然、ゲームソフト市場の一部として換算されません」

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質問者…「これらが『つかみどころのないマーケット』というわけですね?」
私…「はい。すなわち、われわれが長年、『ソフト』と呼んできたパッケージソフトは、『ハードなソフト』でした。古くは、ロムカートリッジ、CD-ROM、DVD-ROM……といった“モノ”でした。このマーケットの衰退は明らかで、その替わりに『ソフトのソフト』とでも呼ぶべき、実像が見えにくい、カタチのないマーケットが現存します。したがって、私はこれら『ソフトのソフト』を定量化できない時代がやってきている点が、これまた論点のすり替えのような話で恐縮ですが、現在を象徴するニュースなのだと考えます。『つかみどころのないマーケット』が出現し、それが急成長をしている真っ最中なのです。繰り返しますが、今、起きていることは『ソフトのソフト』化現象です。そこにフォーカスを当てると、産業動向や、企業の将来性や、働く人のビジョンも、また違ったものに見えてくるのではないでしょうか」

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