Hisakazu Hirabayashi * Official Blog麻生総理記者会見の感想

麻生総理記者会見の感想

環境関連事業に力を入れて低酸素社会の実現。
医療・介護関連事業にも改革のメスを入れて、健康長寿社会の実現。
このふたつに加えて、観光・コンテンツ産業を、日本の成長分野として挙げ、未来の日本の「3本柱」とした。

私の専門である、コンテンツ産業については、賛同できる部分と、わからない部分と、賛同できかねる部分が混在している。そんな、4月9日に行われた、麻生総理大臣の記者会見だった。

日本のソフトパワーをいかす。
総論においては大賛成である。

また、コンテンツ産業の課題として、文化としての影響力はあるが、産業規模としては小さい。
この問題を的確に把握されているのは、よく調査されたか、しっかりとしたブレーンがいることが類推できる。

1度や2度、海外に行って日本のアニメ番組を観たくらいで、「日本のコンテンツ産業はすごい」と吹聴してしまうような、他の政治家とは違う、産業の良き理解者であることを感じさせてくれた。

以上は賛同できる部分である。

わからない部分は、その産業創出の方法として、人気クリエイターの脚本などのコンテンツ、作品のライセンスを一括購入。海外での作品化のための販路開拓などを行なう組織をつくるという構想である。

海外に交渉窓口を持たない個人や、小規模のプロダクションにとってみたら良い施策だ。

しかし、私は過去に国家によるコンテンツの買い上げは、かえってクリエイターをスポイルしてしまって、産業発展に寄与しなかった他国の事例を、たくさん見てきた。最悪の場合、癒着・不正の温床にもなる。そうならないために、審査基準の厳格化と透明化が必要という話になる。

ならば、厳格なルールがあればいいかと言うと、そのルールが、かえって妨げになる場合もある。

コンテンツ産業なんぞ、所詮、水ものであり、かつ、当たる、当たらないの予測は、論理的に説明しにくい。だからこそのコンテンツ・パワーだ。

ルールがなくてはいけない。
だが、ルールに縛られてはいけない……というジレンマがある。
ゆえに、この構想が正しいのかどうかはわからない。

そして、コンテンツ産業を2020年までに30兆円規模までに拡大する。
この分野で50万人規模の新規雇用を創出するというのは、賛同しかねる。

50万人規模の雇用創出ができるのか。
コンテンツ産業。
特にコンピュータを使って制作するコンテンツは、新規雇用を生みにくい。
なぜならば、コンピュータが進化すれば、企業はその進化を「開発の自動化」に使おうとするからだ。

つまり、コンピュータの進化は、人手のかからないコンテンツ開発手法を生み出してしまう……というパラドックスが存在する。

東京湾アクアラインをつくれば、総工費として約1兆4409億円かかり、数万人月の雇用が確実に創出される。土木事業は正比例で変数がない。だから、わかりやすい。

だが、コンテンツ産業は正比例の産業ではない。変数だらけの複雑な産業である。

もし、お時間があればYouTubeの映像と、ニコニコ動画の映像を見比べていただきたい。
皆さんはどんなことをお感じになられるのでしょうか?



Comment

ファン宣言!
読んでいて楽しかったです。ありがとうございます。
これは聞いた話なのですが、テレビ業界にしろ、ゲーム業界にしろ、アニメ業界にしろ、こきつかうだけこきつかって、ボロボロになってきたところで使い捨てする、ということが現実にあるらしいです。

「何もできん下っ端がエラソーなことを言うな!」と言われればグゥの音も出ないんですけど、人を育てるという意味と、やっぱり精神や体力は健全な方が良いものも作れると思うので、そこら辺に国がメスを入れて労働環境を整備するのだとしたら良い話だと思います。

ですが、税金ですし、お金がからんでくると、どうなるのかというのは私には正直分かりません。
国がお金を出す以上、中身にも口を出してくるかもしれませんし…

任天堂は政府がやるのはマズイって言ってるみたいですね。

韓国は国が総力上げて映画やゲームに投資してるみたいなこと聞いたのですが、うまくいってるのでしょうか?
  • 2009/04/20 17:52
  • t-hikl
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