頑張れ、Wiiの間
- Day:2009.05.08 00:00
- Cat:メディア
私は「この映像配信サービスが、Wiiのさらなる普及の起爆剤になるのか?」と何度となく質問をされたが、「いいえ」と答えてきた。
遊ぶ目的で購入したゲーム機での動画配信は、付加的なユーザーへのサービスや、将来への実験にはなっても、まだWiiを持っていない消費者の「欲しい動機にはならない」と考えるからだ。だが、こんなのは、言っていて恥ずかしくなるような当たり前の意見だ。絵に描いたような公式コメントである。
私情を述べさせてもらえれば、「Wiiの間」には頑張ってもらいたい、という思いでいっぱいなのである。「Wiiの間」は、既存のテレビ番組とも、YouTubeをはじめとするインターネットの動画配信とも違う、トンデモないクリエイティブが生まれる、チャンスの場でもある。その場を、任天堂という巨大なパトロン(patron)が用意してくれた、と考えれば期待はふくらむ。
「Wiiの間」のサービスに際して、岩田社長はビデオで会見を行っている。
同映像の11分55秒~12分23秒の部分を、よく聴いていただきたい。
岩田社長は「地球上には~」からはじまる、番組づくりの基本思想を述べている。
総時間にして約25分のビデオ会見のなかで、岩田社長が最も訴えたい部分は、この箇所にあると私は感じた。他の場面の平易な言葉づかいのシナリオとは違う、「自分の言葉」の匂いがする。この箇所で触れている内容は深くて難解だ。だが、私はちょっと胸が熱くなった。今どき、こんなポリシーを持った放送会社のトップがいようか?
というわけで、Wiiの普及台数の予測はさておき、「Wiiの間」には頑張ってほしいのである。
そのためには、既製のコード(CODE)を取り払うことが不可欠だと思う。
放送業界の人は、放送してはいけないタブーをたくさん抱え込んでいる。
そして、任天堂は……悲しいかな任天堂なので、任天堂らしい番組をつくらなくてはいけない、というプレッシャーを、暗黙のうちに放送業界の人に与えているとしたら、非常に平凡な番組しか生まれてこないだろう。
そこで私は問いたい。
まさにお茶の間で、映像を使って見るのにふさわしい、両親は話しにくく、専門知識も必要な真実。
それは、岩田社長はビデオで会見、11分55秒~12分23秒の部分にも適合する番組として、こんな企画書があったとする。
「特集◆赤ちゃんはどうして産まれるの?」
この企画が一蹴されたら、「Wiiの間」の未来は暗い。
これこそ、「Wiiの間」にふさわしいと認められたら、未来は明るい。
冗談を言っているのではない。
マジメな話だ。
「Wiiの間」の将来はどうなるのか?
私は「性教育」というテーマを試金石にして、これからを注目することにしている。