Hisakazu Hirabayashi * Official Blog頑張れ、Wiiの間

頑張れ、Wiiの間

任天堂「Wiiの間」のサービスが5月1日から、はじまった。

私は「この映像配信サービスが、Wiiのさらなる普及の起爆剤になるのか?」と何度となく質問をされたが、「いいえ」と答えてきた。

遊ぶ目的で購入したゲーム機での動画配信は、付加的なユーザーへのサービスや、将来への実験にはなっても、まだWiiを持っていない消費者の「欲しい動機にはならない」と考えるからだ。だが、こんなのは、言っていて恥ずかしくなるような当たり前の意見だ。絵に描いたような公式コメントである。

私情を述べさせてもらえれば、「Wiiの間」には頑張ってもらいたい、という思いでいっぱいなのである。「Wiiの間」は、既存のテレビ番組とも、YouTubeをはじめとするインターネットの動画配信とも違う、トンデモないクリエイティブが生まれる、チャンスの場でもある。その場を、任天堂という巨大なパトロン(patron)が用意してくれた、と考えれば期待はふくらむ。

「Wiiの間」のサービスに際して、岩田社長はビデオで会見を行っている。

同映像の11分55秒~12分23秒の部分を、よく聴いていただきたい。
岩田社長は「地球上には~」からはじまる、番組づくりの基本思想を述べている。

総時間にして約25分のビデオ会見のなかで、岩田社長が最も訴えたい部分は、この箇所にあると私は感じた。他の場面の平易な言葉づかいのシナリオとは違う、「自分の言葉」の匂いがする。この箇所で触れている内容は深くて難解だ。だが、私はちょっと胸が熱くなった。今どき、こんなポリシーを持った放送会社のトップがいようか?

というわけで、Wiiの普及台数の予測はさておき、「Wiiの間」には頑張ってほしいのである。

そのためには、既製のコード(CODE)を取り払うことが不可欠だと思う。
放送業界の人は、放送してはいけないタブーをたくさん抱え込んでいる。
そして、任天堂は……悲しいかな任天堂なので、任天堂らしい番組をつくらなくてはいけない、というプレッシャーを、暗黙のうちに放送業界の人に与えているとしたら、非常に平凡な番組しか生まれてこないだろう。

そこで私は問いたい。

まさにお茶の間で、映像を使って見るのにふさわしい、両親は話しにくく、専門知識も必要な真実。
それは、岩田社長はビデオで会見、11分55秒~12分23秒の部分にも適合する番組として、こんな企画書があったとする。

「特集◆赤ちゃんはどうして産まれるの?」


この企画が一蹴されたら、「Wiiの間」の未来は暗い。
これこそ、「Wiiの間」にふさわしいと認められたら、未来は明るい。

冗談を言っているのではない。
マジメな話だ。
「Wiiの間」の将来はどうなるのか?
私は「性教育」というテーマを試金石にして、これからを注目することにしている。

Comment

任天堂オモシロそうなことやりますよね。
アイディアを売る会社って印象です。

私は動画サービスをあんまり利用した事はないんですが、TUTAYAとかに借りに行った方が安いので、オンラインの動画サービスって興味なかったんですよね。

でもこのWiiの間はやってみたい。

オリジナル番組だし、けっこうツボをついてくる番組が出てくる予感もありますしね。
  • 2009/05/08 10:44
  • t-hikl
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メディアとして成立するのか?
映像を作って、飯を食べさせていただいて居る身にとって、可能性はすごく感じるのですが、少し違うところに行ってしまっている気がします。
YOUTUBEの様な素人映像でもなく、テレビや映画の様なプロの映像でもない。それは何なのか?と問われると、企業対抗の野球の様な気がするのです。ノンプロ?でも、それを作成する人たちってどんな人なのでしょう?また、委託する会社は?なにかメディアとして成立するのか、微妙なのですが・・
  • 2009/05/08 12:01
  • 不良中年
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ノンプロ?
不良中年さんは、プロ野球の名選手です。
……というお仕事を私は存じ上げているので、Wiiの間が都市対抗野球のようなイメージを持つのが、よくわかります。
私自身、今のコンテンツラインナップをそのような印象で見ています。なので、プロだから扱えない正面突破か、あるいは異端の企画が必要だと思いました。今後の方向性を示すような。そのシンボルとして、あえて挙げてみたのが性教育だったんです。
t-hiklさんもコメントありがとうございます。
そうですかぁ。
比較対象がYouTubeではなく、スカパーやCATVだとすると安価でかつ未知の可能性に期待をかけるということですね。
作っている人はプロなのだけど
何度もすみません。
誤解を恐れずに言うと、作っている人はプロなのだけれど、現れているのものが、プロではなく、ノンプロのイメージ・・と言うことなのですね。全部を見てみての感想です。確かに企画とラインナップなのでしょうね。これで、失敗したからと言って、「動画の配信はSTBではなしだな・・」になってしまうのが、ちょっと怖いような気がします。
  • 2009/05/08 21:48
  • 不良中年
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電通が関わっているということで、広告として捉えた場合に、
任天堂の目指している番組が「地球上には~」で表されたもので、
電通の求めているものが「デパ地下グルメ」などのタイアップ番組だとすると、
双方の思惑が噛み合ず、広告業として成り立つのか?という疑問が残ります。

課金システムに移行して初めて、優れた番組が増えていくような気がしますが、
そうなるにはまだ時間がかかりそうですね。
  • 2009/05/09 16:19
  • Hatach
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