Hisakazu Hirabayashi * Official Blogゲームソフト配信、四半世紀の物語(2)

ゲームソフト配信、四半世紀の物語(2)

任天堂の壮大な構想、「ディスクシステム」が失敗しても、家庭用ゲーム機メーカーにとって、ソフトを配信供給することは、果てることのない夢であった。

デジタル信号であるソフトウェア。
工場で製造してパッケージにし、倉庫に入れて、トラックで運ぶのは、原理的には非効率である。

パッケージのビジネスのほうが儲かる、通信技術が追いつかない……などの問題が常に横たわっていたが、どの企業も「いつかはやってくる現実」と予測した。

わかりやすく、今、目の前にある例を挙げると、iTunes Storeを構築してiPodを売る、iPodが売れると、iTunes Storeも繁盛する。

この構造はビジネスモデルとして美しいし、ユーザーに利便性があるし、メーカーも(一気に立ち上がったと仮定すれば)効率よく儲けることができるのである。

任天堂のライバルだったセガは、メガドライブというハードで同様の試みをした。
ネーミングにちょっとセンスがなかったが「ゲーム図書館」というのをつくり、実証実験も行った。

現実には何もしなかったが、PCエンジンというハードも構想として、オンライン配信を発表したことがある。

しかし、これらはことごとく失敗に終わるのである。
だが、「このハードならば成功するかも?」と思わせたのは、プレイステーション2だった。

発売時期は2000年3月である。
過去のハードとは違って、通信インフラは劇的に進歩している。

ソニー・コンピュータエンタテインメントも本腰を入れていて、99年のプレイステーション2発表段階で、電子流通の意味であるe-distribution(イー・ディストリビューション)を実現されると、当時の久多良木健社長は表明していた。

であるからして、プレイステーション2にソフトを差し込まないと、どうなるか?
従来の家庭用ゲーム機であれば、「ソフトが入っていません」とエラーメッセージが表示されたものだ。

しかし、プレイステーション2は違った。
ブラウザの文字が表示される。

すなわち、パッケージソフトが挿入されているかどうかが問題ではなく、ソフトが必要ならばブラウザを通じて、ネットワーク上のコンテンツで遊んだり、まさにe-distributionを活用してソフトをダウンロードしたりすることを念頭に置いて、あらかじめ設計されていたのである。

繰り返すが、時は2000年以降、21世紀の時代である。
ブロードバンドの時代である。
発売後の3日間で100万台も売れるほどのブランド力を誇ったプレイステーション2である。

にもかかわらず、ソフトウェアをまるごと配信するサービス、e-distributionは画餅に帰した。

1985年。
任天堂が描いた夢。

もはや、夢でもないだろう。
PCのマーケットでは、当たり前のようにダウンロードソフト、シェアウェアが流通している。
そんな、当たり前に起きても良さそうなことが、起きないのである。

家庭用ゲーム機において、ゲームソフトを入手するということはパッケージソフトを購入するというパターンから、抜け出すことができない。

(つづく)

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