Hisakazu Hirabayashi * Official Blog会社が社員に教えていないから、だろう

会社が社員に教えていないから、だろう

  • Day:2009.06.25 20:49
  • Cat:働く
前回のエントリーのつづきです。

結論を先に書くと、企業説明会の説明担当者は、企業の説明をするのではなく、学生たちに愚痴を言ったようなのだ。その結果、話を聞いた学生3名は、誰もその会社に行きたくなくなった。期待はずれだった、と言うのだ。

……「それだけ?」と言われたらそれだけの話だ。

だが、まず大いに問題があると思ったのは説明担当者のメンタルセットだ。
メンタルセット=働く人間としての心の向きが、歪んでいると思った。

説明者は「ウチの会社は待遇が悪い」を連呼。
「残業代なし、徹夜するのは当たり前で会社に泊まり込むこともしばしば。(月給をもらっているが)時給換算すると600円にもならない」などと、ただ、待遇の悪さだけを訴えたのだという。

夢や希望のかけらもない。
どういう人と働きたいか、というメッセージもない。
いったい、なんのための説明会なんだろう。
本人は何を目的に悲惨な話だけをしたのだろう。
そんな話をして、誰かが幸福になるのだろうか。

上司は会社の説明役として、どうして彼を指名したのだろう。
また、上司は彼と、どういう方針でどんな内容を話すか、きちんと打ち合わせをしていたのだろうか。私が決めつけてはいけないが、決めつける。

きっと、自社の超過勤務という恥を、何にも考えないで、話しただけなのだろう。
それが、あまりにも情けない。オトナが学生にするべきことか。
ただ、無為な時間を過ごしただけではないか。

私、私のまわりの人事関係者の間では、「夢見る夢子ちゃん」という隠語がある。

これは……自分はクリエイターになれる。
会社に入ったら好きなことがやり放題で、大活躍できる。
そんな、現実ではありえない、「夢」ばかりを見ている学生のことを指す。
夢見る夢子ちゃんは重い義務のことを考えないで、権利ばかりを主張する傾向もある。

こういう「夢見る夢子ちゃん」には、社会の厳しさ、会社の厳しさをきちんと説明しなくてはいけない。
世の中は、あなたを中心に動いているわけではない。
幻想を持ってはいけない。現実を知ってくださいと、オトナははっきりと言うべきだ。

でも、厳しい現実の裏には、数パーセントかもしれない。
1年365日のうちのたった1日かもしれない。
「働く」という行為には、わずかでも喜びがともなうことも同時に、オトナは伝えなくてはいけないだろう。

楽もあるし、苦もある。
その自明の理が、前提として存在する。

では、そのどこでもかわらぬ自明の理が、我が業界、我が企業、我が職種では、どのように作動しているのかを説明することが、会社説明会の目的である。このようなメンタルセットをして、担当者は学生のまえに座るべきだった。

小説家、遠藤周作は「どうして小説を書くのか?」とインタビューされたとき、「楽苦しいから」と答えたという。たのくるしいと読む。楽苦しいとは、楽しくて苦しいを合体させた氏のユーモラスな造語だ。

働くことは……どんな仕事内容であっても、たいていが楽苦しい。
その会社の楽苦しさの説明をしてほしかった。

ビジネスマナーを学んで、椅子の座り方まで練習したのに、わざわざそんな説明会に行った学生3名がかわいそうであった。

と、同時に、会社が社員に何も教えていないことが丸わかりの愚痴こぼし担当者は、もっとかわいそうだと思った。

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