Hisakazu Hirabayashi * Official Blog微妙な1週間のはじまり

微妙な1週間のはじまり

  • Day:2009.07.13 10:25
  • Cat:言葉
昨日の都議会選挙で、出口調査というものをはじめて経験した。
投票所で声をかけられた。
「NHKですけど、出口調査にご協力ください」。

まず、20代、30代、40代のような自分の年齢。
次に、投票した候補者名。
次に、支持政党。
次に、「石原都政」を支持するか。
次に、話は急に国政に飛んで「麻生内閣」を支持するか?
次に、衆院選があった場合、最も重視する政策は?
最後に、衆院選があった場合、どの党が与党になってほしいか?

確か、この順番だった。
どれも、答えなくてもいい質問だが、まったく隠すことなく正直に答えた。
尋ねる方の服装が、イイ感じで地味で、話し方も温和だったからだろう。
それと、投票後というのは、答える自分の心の中にも公民意識のようなものが高まっているからだろうか。

本当は「石原都政」は支持しないが、「石原渡世」は支持する、とか。
冗談を言いたくなるところだが、そんなことは言わない。
特に、衆院選があった場合……の国政がらみになると、アンケート項目と私の考えは違っているのだが、屁理屈をこねないで、素直に「その他」と答えた。

夜、8時45分にNHKの選挙速報がはじまる。
番組がはじまるやいなや、「民主党第一党に」と報道されていた。

以前なら、出口調査だけで本当にわかるのか? といぶかしんで番組を観ていたが、いざ、体験してみると、出口調査というのは、かなり信憑性が高いものであると思ったので、素直に観ていたら、本当にそうなった。

ところで、開票速報番組だが、「自民・公明で過半数割れは微妙な情勢」と連呼されていた。

私は「微妙」という言葉が無責任で嫌いだ。
報道関係者、ある分野プロフェッショナルが公の場で使ってはいけない言葉だと思っている。

私はこのことをものすごく意識していて、原稿でも講演でも、「微妙」(あるいは「ビミョー」)という語は、まず使わない。

「微妙な情勢」ではなく、「形勢は不明」「不確かな情勢」「流動的」「わからない」「判明していない」「両方の可能性がある」……言い替えはいくらでもできるだろう。

これは、昨日の開票速報番組に限らない。

聞き手「同点ですが真弓監督は藤川を投入しました。この起用策は?」
野球解説者「微妙ですねー」

聞き手「日銀は製造業の景気底打ち宣言をしましたが、本当でしょうか?」
経済学者「微妙ですねー」

聞き手「今、先手が飛車を打ちました。先手と後手、どちらが有利ですか?」
将棋解説者「微妙ですねー」

微妙というのは、判断がつきかねるということを説明しつつ、自分の立場を傷つけないリスクヘッジも行われ、しかも、それが、たった二文字で表現できるという、驚異的に便利な言葉だ。

この便利さに甘えてはいけないと思うのだ。

今週は政局の週だ。
いろいろなニュースキャスターや取材記者やコメンテーターが「微妙」を連発するだろう。
そして今週は、石川遼選手も出場するゴルフ、第138回・全英オープンも行われる。
解説者の青木功プロを、私は尊敬している。
だが、惜しむらくは青木プロ、この数年のうちに「微妙」が口癖におなりになってしまったようだ。

聞き手「どうですか、このラインはフックしますか? それともストレートですか?」
青木プロ「微妙ですねー」
……になりませんように。

麻生総理大臣は解散するのかしないのか?
それとも、名誉ある退任に追い込まれるのか?
民主党は内閣不信任案を出すのか出さないのか?
石川遼選手は全英オープンの予選を通過するのか?

さあ、メディアにおいて「微妙」が使われる頻度が高い、なんとも微妙な1週間のはじまりだ。

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