プロデューサーは生産のリーダーである
- Day:2009.07.22 10:14
- Cat:働く
……について記述をする際に、その職業の作業項目を並べてしまったのは、18年前の私の不覚であった。
そして、今、なお続く、作業項目を列挙した説明は、プロデューサーの定義を鮮明にさせてくれないだけではなく、かえって、誤解を生むことになってはいないか。私にとって身近なコンテンツ・ビジネスの世界では、「プロデューサーの人材育成が課題」と言われて久しいが、かえって育成の妨げになっていないか。ときに、私は疑問に思うことがある。
たとえば、作業項目からプロデューサーを理解すると、当然ながら、予算と納期を管理するのが仕事、という職業価値観が生まれる。そこで、駆け出しのプロデューサーはエクセルを立ち上げて、予算書とスケジュール表を作成し、日々、その入力作業に追われていく……という景色を見ることは、けっして珍しくない。
これが、プロデューサーの仕事ではない。
進行管理をするプロダクツ・マネージャーの仕事の一部だ。
プロデューサーはProduceする人なので、生産する人だ。
この原則をおさえておかなくてはいけない。
で、生産のためにどんな仕事をするかというと、何のためにその生産を行うのかという指針を示し、人心を掌握し士気を高め、目的を妨害する者あればそれと戦い、大局も見れば、細部も見逃さない。勝機と判断すれば攻め、内部腐敗が起きればそれを排除する。プロジェクト内外の情報収集をし、判断をし、指示をし、行動する……
すなわち、およそリーダーと呼ばれる仕事を全人格的に務め尽くすことが、プロデューサーの仕事なのだ。
したがって、同じ羅列をするにしても作業項目ではなく、リーダーたる者の資質を並べてみることは、これがすべてではないし、正解なんかではないけれども、意味のあることかもしれない。
戦国武将みたいではあるが、
武
勇
智
相撲の横綱みたいではあるが、
心
技
体
宗教家みたいではあるが、
愛
徳
慈
このような資質を発揮することが、プロデューサーの仕事だ。
……という、作業説明とは別の問いかけが、今までおろそかであったように思う。
(つづく)