何かについて考えていることを考えずに
- Day:2009.08.24 00:00
- Cat:教育
この特別展示の背景には、深遠なコンセプトがひそんでいることを、私は感じた。
そのコンセプトとは……私の言葉で解説させていただくと分化への反逆にあるのではないかと思う。
分化とは?
「遊び」は「遊び」。
「学び」は「学び」。
と、分けてしまうこと。
人々はいつの間にか、「遊び」と「学び」を分けてしまっている。
しかし、人間の成長メカニズムの本質はどうか?
子どもは学びながら遊び、遊びながら学んでいる。
「いない・いない・ばあ」は、赤ちゃんならば誰でもする遊びだが、あの遊びは「実存」ということの1歳児の学びなのかもしれない。
パスカルの原理=一定の容器内部に流体を満たしてある面に圧力をかけたとき、重力の影響が無ければ、つまり液面から同じ深さの地点同士ならばそれらの点には等しい圧力が加わる。こんな難しそうな原理であっても、「シャボン玉」という遊びをすれば、子どもは容易に体感して学んでいる。
本来ならば、「遊び」と「学び」は一体化したもので、分離して考えるべきものではない、というのがこの展示の背景にあるものだろう。
……というようなコンセプトを持ちながら、プレイフル・ラーニングとは何か? ということについて、人を食ったようなマンガ(?)で解説されている。

だが、いっぽうで今回の展示のターゲットである子どもたちではなく、引率する父兄や教育関係者に向けたメッセージは、上のマンガとは打って変わって凶暴なまでに強い。
会場内に行ってみるとおわかりになると思うが、この異なるテイストのふたつのメッセージが、わずか数メートルの至近距離に並んでいる。

何かについて考えていることを考えずに、
考えていることについて、考えることはできない。
……この言葉がグルングルン回りながら、私の講義も今日からはじまる。