Hisakazu Hirabayashi * Official Blog「業者」と呼ばれてうれしいですか?

「業者」と呼ばれてうれしいですか?

  • Day:2009.08.27 00:13
  • Cat:働く
Twitterで、なぜhttp://www.asahi.com/national/update/0825/TKY200908250384.htmlだけをメモしていたかと言うと、業者という言葉が、私は嫌いでならないからだ。

大きい組織に属する人が、小さな組織に属する人を見下した感じ。
高度な作業している人が、単純労働をしている人を見下した感じ。
そういう感じがしてしまう。

虫酸が走るというか、うーん、そうだ! お里が知れるという形容がピタリとはまる。それまで、流暢に敬語で話していたのに、「承知いたしました。それは業者に発注しておきますので……」なんて会話で締められると、ああ、やっちゃった、聞きたくなかった、という思いがする。

たった業者のひとことで、その人への印象は一気に悪くなる。
私が些細な言葉づかいに、過敏すぎるほどに過敏であることは認めるが。

かつて私は、非常勤取締役に就いていた会社で「業者の方は右手のドアに回ってください」と貼り紙をした社員がいたので、注意をさせてもらったことがある。「業者はやめて、お取引先の方に書き換えなさい」と。

書き換えたからといって、業績が伸びることはないのだが、その会社の品位を下げることを防げたと思っている。また、素直に指示に従ってくれた社員は、その後、言葉づかいが丁寧になってくれたのも、無形の収穫だと思えてうれしかった。

今回の気象庁と、ソフトウェアを開発した明星電気の問題とは別次元で、私は訴えたい。
業者というのは、そこで働く人の蔑視であり、働くことの尊厳を傷つける用語ではないかと。

感情的・感覚的なことを書いているようだが、論理的にもおかしい。

非常に理屈っぽい書き方をすると、発注=受注の関係は、支払う金銭と、享受する財やサービスが、等価であると双方がみなした際に発生する、上下のない交換行為のための関係である。

だが、発注者が優位的な立場にあると思い込むことが多く、罪の意識も疑問視もすることなく、業者、業者が常用されている会社は数知れない。また、業者は業者で業者扱いされることの抵抗感をなくしてしまっている。

ところで、この記事における業者だが、本文には気象庁の職員のコメントとして業者の文字は、一切載っていない。だとすると、朝日新聞の記者、または整理部が、つけた見出しなのだろうか?

それはそれで、言葉のプロフェッショナル集団として、いかがなものかと思うが、推論を重ねてもしかたないので、このへんでやめておく。

「業者」と呼ばれてうれしいですか?
「業者」と呼んで恥ずかしくないですか?
と問いかけたい。

Comment

発注=受注の関係
度々すみません、今回はどうしても気になる内容だったので
コメントさせてもらいます。

===== =====
発注=受注の関係は、支払う金銭と、享受する財やサービスが、
等価であると双方がみなした際に発生する、
上下のない交換行為のための関係である。
===== =====

国外ではどうか知りませんが、日本国内では実際には
「お金を支払う側が上、お金を受け取る側が下」
という意識が隅々にまで行き渡ってしまっています。
代金を支払う顧客が上で、代金を受け取る企業が下。
給与を支払う企業が上で、給与を受け取る従業員が下。
私は「虫酸が走る」とまでは言いませんが、
色々な仕事(立場)を経験しているだけに
やはり強い違和感は感じます。

ここからは脱線話、というか、いわゆるオタク話ですが…
先日、夏の『コミックマーケット』に参加しましたが、
あちらの世界では同人誌を
作った側が売った時に「ありがとうございました」と挨拶すれば、
読む側が買った時に「こちらこそ、ありがとうございました」
と挨拶を返す状況なのを改めて思い返しました。
中には立ち読みするだけで
「すいません、本の中を拝見してもよろしいでしょうか?」
と丁寧に尋ねる御仁も見かけましたし。
もちろん、全部がそうというわけでもありませんし、
商売の世界とはまた別の話ではありますが、
あの世界を知ってしまうと色々と考えてしまいます。
richardさん、コメント、ありがとうございます
大変興味深い指摘をありがとうございます。

>国外ではどうか知りませんが
>あちらの世界

これが不思議なことに共通していると思うのです。
国外でも、私の経験だけでモノを言わせていただくと、フランスは顕著のような気がします。

高級時計であれ、パンひとつであれ、買ったお客様が店を出るときに、「ありがとう」と言います。

その雰囲気はコミケに近いかもしれません。
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