Hisakazu Hirabayashi * Official Blog批判の死角に入った「当選確実なう」

批判の死角に入った「当選確実なう」

  • Day:2009.09.03 00:18
  • Cat:政治
ゲーム業界は動いている。
任天堂は「インターネットチャンネル」を無償化。
マイクロソフトはXbox 360 Media Briefing 2009を開催して、「Xbox 360 エリート」を29,800円へと値下げすることを発表した。
そして、新型プレイステーション3がいよいよ、今日発売される。

これらのトピックスを書くよう、リクエストをいただく。
大変、心苦しいがゲーム業界の動向を書いてしまうと、今週4日に行われるセミナーのネタバレになってしまい、主催者と来場者の皆さまに対して、失敬なことになるので、まだ書くことはできない。ご容赦願いたい。

また、私が書きたいと思っているのは、他メディアも扱っているトピックスではなく、他メディアが書かない「何か」なので、その「何か」を書く熱情がわいてきたら書くことにしたい。

ただし、今朝は新型プレイステーション3発売の取材に行く。そこで「何か」と遭遇すれば、書くかもしれない。以上で弁明を終わりにします。

……というわけで、今日は私が計画していたことを書かせていただきたい。
一昨日から続いている、選挙とTwitter3部作(と勝手に命名)の最終回である。




05年に行われた衆議院選挙で当選した、杉村太蔵元議員は「早く料亭に行きたい」「BMWに乗りたい」などとマスコミ取材に対してコメントして、批判された。世論は怒り、確か武部勤幹事長(当時)が、厳重注意をするようなこともあったと記憶している。

この過去を教訓にしたのか、

二の舞い回避? 民主、比例候補に取材対応指南

民主党が投開票日前、衆院選の比例選の単独候補に対し、当選後のマスコミ対応に関するマニュアルを文書で送っていたことが明らかになった。

文書では、「党の政策に反する主張はしない」「横柄な印象は与えない」「取材内容は記録しておく」――などと助言し、取材に真摯(しんし)な対応を取るよう呼びかけている。

2005年の衆院選後には、小泉チルドレンの杉村太蔵・自民党元衆院議員の言動が批判を浴びた。文書を受け取った民主党の新人議員は「第2の杉村氏を出さないためだろうか。ここまで指導されなくてはならないなんて」と語った。

 (2009年9月1日00時37分 読売新聞)より

民主党は上記のような対策をしていたらしい。

だが、当時の私は、杉村太蔵氏の発言に、そんなに怒りを感じなかった。
こういっては失礼だが、まさにチルドレンで、子どもが窓ガラスを割ってしまっても許すような……。

「子どもだからしかたないな」。
「自分も子ども時代は、いろんな悪さもしたよな」。
そんな寛容的な目で、氏の失言を見ていたような記憶がある。

だが、看過できないのは、今回の衆議院選挙・北海道8区で当選した、民主党・逢坂誠二衆議院議員である。

氏は開票日当日に、Twitterで当選確実なう、とつぶやいた。

s_ohsaka.jpg

これは、失言以上の問題。
政界用語でいうところの「政治家としての資質が問われる」発言かと思う。

私が氏の選挙区に住んでいて、氏に投票した有権者だとしたら、不愉快であることきわまりない。8月30日は、選挙ごっこをやっている日ではないのだ。おのれの当選確実を、軽々しく語るべきではない。

政治家が選挙に当選したら、「有権者の皆さま、どうもありがとうございました」と言う日だろう。「国民が主役」と訴える党に所属するなら、なおのことだ。

杉村太蔵氏は、まさにチルドレンだ。多少の失言は許す。

だが、逢坂誠二氏は、94年にニセコ町長選に出馬し当選。
3期町長をつとめた。衆議院議員も2期目の当選である。
チルドレンではない。立派なオトナの政治家である。

それほど人物が当選確実なうは、軽薄すぎる、品性に欠ける、見ている方向が違う、奢り、驕り、傲り……どの漢字を使ってもいいが、おごりが透けてしまうのだ。もちろん、敗者へのいたわりなどあろうはずもない。小選挙区制における対立候補は、敵であるが、その敵に投票をした有権者は、「国民の生活が第一」に属す国民だ、ということに想像力が及ぶなら、とてもではないが、その国民の神経を逆なでする当選確実なうは書かないであろう。

私は氏を弁護することもできる。
現行の公職選挙法は、旧態依然としている。
衆議院解散時に、政府は「Twitterを選挙運動で利用することについて、公職選挙法に違反する」との答弁書を決定した。この制度への反発が、当然ながら政治的主張として当選確実なうには含まれていることだろう。

さらに氏は、ニセコ町長時代から情報公開につとめ、ITの政治活用について熱心な活動をされてきた。党首討論の様子をTwitterで伝えるなどのアイデアマンでもある。

何を隠そう、私は過去にこんなことを書いたこともあり、現行の公職選挙法に異論を唱えたい、という点においては、氏と同じ意見の持ち主かもしれない。だとすれば、なおのこと、有益・有用なITツールの使い方をすべきだ。当選確実なうでは、ますます政治とITツールの距離は開いてしまう。

たとえば、

旧来の時代に合わない公職選挙法により、選挙運動期間中にTwitterを使えませんでしたが、投票が締め切られ、やっと使える時がやってきました。当選させていただいたあかつきには、若者の政治参画を促す意味でも、ITの政治活用につとめてまいります。ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

で、ピッタリ140字。
これくらいのことは、言えるだろう。

Twitterで、いつもこんな堅苦しい文章を書いてくれとは言わない。
だが、当選の瞬間くらいは、品位あるオトナの発言をしてほしい。

これは……たぶん党役員たちは、打ち合わせしていたのだろう。
テレビ局が出口調査をもとに、どんなに民主党圧勝を報道しても、小沢一郎代表代行をはじめ、鳩山由起夫代表も、「あくまでも出口調査の結果については予測であって、コメントできない」と正論を述べ続けていた。

当たり前である。当選と落選はテレビ局の予測ではなく、選挙管理委員会が実施した開票結果が決めるのだから。にもかかわらず、当選確実なうは午後8時に投稿されているので、党の方針ならびに開票結果を軽んじた、勇み足発言でもある。

さらに言おう。
この当選確実なうは、新与党・民主党が残した最初の大失言だと思うが、誰もこのことを批判しない。

有権者もよくわからない。
大手マスコミもよくわからない。

もっと憶測をたくましくすれば、「早く料亭に行きたい」はテレビ業界用語でいうところの絵になるし、わかりやすいし、視聴率もとれる。

だが、Twitterの当選確実なうは、絵にならないし、わかりにくいし、視聴率につながらない。

IT mediaなど、ネットニュースの一部が報じたが、ただ「つぶやいた議員がいる」という報道だけで批判はしていない。
党本部が注意したという話も聞いたこともない。

もちろん、新聞は取り上げもしない。
ゆえに、当選確実なうは、批判の死角にすっぽりとはまり込んだ、由々しき問題発言であると、私は私のホームグラウンドで、つぶやかないで、叫びたいのだ!

氏のTwitterを見てみると、今はこんなことがつぶやかれている。

氏はつぶやきが好きかと思ったが、じつは冗舌なお方のようで、参考までに過去の国会質問と今選挙での街頭演説の様子を、ここに紹介させていただく。


*長い動画ですが、ぜひ4:50までご覧ください。


*この演説は「当選確実なう」以前に行われました。

Comment

ちなみにですが
選挙後のあいさつ行為の制限(公職選挙法第178条)
選挙がすんだら、自分を支持してくれた選挙人に対して、お礼のあいさつぐらいしたいものですが、公職選挙法では、これらのあいさつ行為にも制限が加えられていますので注意しなければなりません。
誰であっても、選挙後は、選挙人に対して、当選または落選に関してのあいさつをする目的で、次の行為をすることはできません。
選挙後とは、投票日当日の投票所が閉ざされた時刻以降のすべてをいいます。
×選挙人に対して、戸別訪問をすること。
×文書図画を頒布したり、掲示すること。
×新聞紙、雑誌を利用(広告)すること。
×放送設備を利用して放送すること。
×当選祝賀会その他の集会を開催すること。
×自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したりして、「気勢を張る行為」をすること。
×当選したお礼として、当選人の氏名、政党・政治団体の名称を言い歩くこと。

基本的に、法を遵守するのであれば、当選した事実のみをただ淡々と報告するというのは決して品位を欠いた行いとはいえないのはないでしょうか?
http://www.city.aso.kumamoto.jp/municipal/election/prohibition.html
  • 2009/09/03 10:33
  • URL
  • Edit
コメントをいただき、ありがとうございます
unknow様へ

お察し申し上げるに「はじめまして」ではないでしょうか。にもかかわらず、公職選挙法について、かように丁寧なご説明をいただき、ありがとうございました。私の知らないことをご教示いただけました。

私、この平林久和という馬鹿者は、短く言えばすむものを長々と話したり、長々と説明しなくてはいけないことを短くしてしまう悪癖があります。

今回のエントリー、私の思いが強くですきたきらいがあり、上記で申し上げますところの、「長々」になっております。

改めて、短く言います。
「敬語を使ってください」の1文でよかったのです。

unknow様から私は、本エントリーでいうところのオトナらしい品位あるコメントをいただいております。まず、「ちなみですが」にという表題をつけてくださった。これは私の主訴を尊重してくださったうえでのことと解釈いたしました。その他、お気づかいいただいていることが、文面からもわかります。

そんなことよりも、「です」「ます」を基調に敬語を使ってくださっています。そして、私もこうして敬語で返信コメントを書いているのであります。

合法か、非合法か。
この判断はつきやすいです。論理の世界ですので。
(もちろん法解釈の曖昧な部分もありますが)

しかし、品位、品格という感性は完全に感性と個人差の世界であり、一枚の絵を見て美しいと思う者もいれば、醜いと思う者もいます。

皿に残ったソースをパンにつけて「サマ」になる人もいれば、ただただ下品に見えてしまう人もいます。

人はその感性を科学しようとして、行動心理学や認知心理学などを発達させてきたわけですが、まだまだ解明できないことだらけであります。

そんな不確かな世界を生きるわれわれですが、言葉の品性のあるや、なしやは、主観をまじえず判断することができます。

敬語を使っているかどうか、です。
逢坂議員のつぶやきが「当選確実です」でしたら、私はこんなエントリーを書かない、つまり、危惧・不愉快等の感情が動かなかっただろうと思います。

されば、unknow様のおっしゃる「当選した事実のみをただ淡々と報告する」意味で合法であり、私にかかわらず、何人においても、その言葉づかいの品位など論じることさえなかったでありましょう。
私の独り言のようなコメントに大変丁寧にお返事いただき恐縮しております。
おっしゃる旨、大変よく理解できます。
実は私は選挙権獲得よりtwitter暦の方が長い若輩者なんです。
それを踏まえたうえで以下の私の考え方を読んでいただければと思います(あくまで私個人のまさにおっしゃるとおり感性の領域です)。

私は逢坂氏の今回の発言は氏が属するは特定のコミュニティー(twitter)構成員に向けてのモノであると捉えています。
コミュニティーにはコミュニティーなりのコミュニケーション慣習がありますからその慣習にのっとって行われた発言であれば批判や誹りを受ける謂れはありません。この文脈に則って、私は逢坂氏の発言に違和感も不快感も感じませんでした。

もちろんいまやtwitterはその影響力も大きく、クローズドなコミュニティーであるかどうかは再考せねばならないと思います。
ですが少なくとも現時点において『当選確実なう』発言は、そのコミュニティーのコミュニケーション慣習に則って行われた発言であるがゆえに価値があるものなのではないでしょうか?

TVでも新聞でも権威ある雑誌や機関紙でもないweb上のコミュニケーションツールで、彼がいつも行っているように、しかも国会議員としてコミュニケーションを行ったことに私は重要な意味を見出しています。
  • 2009/09/07 11:36
  • URL
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
株主優待
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。