Hisakazu Hirabayashi * Official Blog我がこととしてとらえて、訴える力

我がこととしてとらえて、訴える力

9月3日の朝、某経済誌編集部の方と9:30に渋谷駅で、待ち合わせをした。
新型プレイステーション3が発売される日。
その模様の取材だった。

渋谷駅周辺には、プレイステーション3を扱う店舗がいくつかある。
ビックカメラ渋谷東口店と、渋谷ハチ公口店。
ヤマダ電機が経営するLABI渋谷。そしてTSUTAYA渋谷店だ。

これら店舗を手分けして、誘客の貼り紙や行列の様子や、客層をウォッチし、その様子を写真でおさえていたのだ。

一番、賑やかで行列が長かったのは、TSUTAYA渋谷店だった。
『428 ~封鎖された渋谷で~』の同時発売イベントをやっており、店内ではなく、店外に特設販売スペースをもうけていた。

ナレーターのお姉さんは一生懸命に仕事をしていた。
『428 ~封鎖された渋谷で~』についてと、プレイステーション3について書かれた、原稿を必死に読んでいた。

いろいろな製品案内があったが、「ファンノイズを低減し静粛性をより高めました。本体の外観については、プレイステーション3の特徴である曲面を生かしたフォルムを継承しつつ……」というような声が耳に届いた。

大事なことをうろ覚えで書くのは、大変失礼なことだが、大筋において、ソニー・コンピュータエンタテインメントが発表した、ニュースリリースを土台にした原稿であることは間違いない。

この瞬間、私の意識は、スッーとどこかに飛んでいった。

渋谷ハチ公前。
朝の通勤時間。
ここは、都市のシンボルともいえる。

その場、その空気の中で、プレイステーション3は「社会に溶け込めない存在」になっているようで寂くなったのだ。

私の子ども時代の友人、S君は「ひとりぼっち」のことを、なぜか「ひとりぽっち」と発音した。「ひとりぼっち」よりも、「ひとりぽっち」のほうが、本当に孤独な感じがした。S君はいじめられっ子ではないが、クラスに友だちがいなくて、そんな余計なことを思い出して、胸がキュンと締めつけられるような感覚がした。

9月3日。
渋谷ハチ公前。
プレイステーション3君という、その名を聞いてから早5年、発売されてから3年が経とうとしている僕の友だちが、クラスのみんなに溶け込めないで困っているように思えた。

朝から一生懸命働いているのに、ごめんなさい。
よく事情も知らないのに、ごめんなさい。

その理由は、お姉さんがプレイステーション3君を世の中に溶け込ませようと、我がこととしてとらえて、訴えていなかったからだろうと思った。書き言葉を読んでしまうと、意志はなかなか伝わりにくい。

で、意識は虚空をさまよった私は、なんだかんだ言っても、ジャパネットたかたの社長は、すごいよな。製品を、我がこととしてとらえて、訴えるようにして売っている。

なんてことを思い、もし、ジャパネットたかたの社長だったら、プレイステーション3をどんな口上で売るのかをシミュレーションする、という脳内の余計なお世話を書きとめたのが、昨日のエントリーだったというわけだ。

まったく、異なるアプローチだが、秋葉原に行ってみると、やはりプレイステーション3を我がこととしてとらえて訴えている人がいた。

0903_2.jpg    0903_3.jpg

プレイステーション3で、ブルーレイを観よう。
画像がきれいなだけじゃなくて、音もすごいんだ。
と自分の言葉で訴えている。

再び渋谷に戻るが、ここにもいた。
ビックカメラ渋谷東口店の店員さんは、まるで選挙の辻立ちのように、東急東横線と田園都市線の出口に立ち、お客様を店舗に誘導するように、ハンディマイクを持って訴えていた。

0903_1.jpg

繰り返しなるが、書き言葉を読んではダメだ。
生身の人間が訴えないとダメだ。

学生時代に、私はコピーライターもどきのアルバイトをしていて、師匠にこっぴどく怒られたことがある。

「若さは苦さ」と書いて、私は良い文章を書いたつもりでいた。
「若」と「苦」は字面が似ていて、目の錯覚にもなるしかけが、うまくつくれた気でいた。

しかし、そのコピーはラジオでも使うものだった。
「ラジオで読んだら、何にもおもしろくないじゃないか」と言われ、ものの見事にボツになった。
その時に書き言葉と話し言葉の違いについて、学習できた。

ああ、話は迷走しているが、プレイステーション3君は、自分の話し言葉で訴えてくれる友だちを大事にして、社会に溶け込んでほしいのである。

さて、週末、誰がどんなことを訴えるのだろうか?

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