Hisakazu Hirabayashi * Official Blog東京ゲームショウ2009、私の雑感(5)

東京ゲームショウ2009、私の雑感(5)

任天堂を「仁義に欠く」と勝手な批判をしておきながら、勝手にかばうと、想像するに、この陰に外圧(ガイアツ)あり、ではないかと考えることもできる。任天堂の企業哲学として、他社が値下げしたら我が社も値下げする、という論法はない。

だが、値下げ要因はあった。
前回のエントリーで「噂はあった」と書いたが、9月になってからウォルマート、トイザらスがWiiを値下げする広告を作成している……との話は、日本にいる業界関係者にも広まっていた。そしてこのことは、販売店が意図なく広告をつくったのではなく、噂を既成事実化して、メーカー=任天堂に値下げを要請している可能性があることも示唆している。

日本では、メーカーのことを川の流れにたとえて川上、販売店を川下と呼ぶ慣行がある。
価格(メーカー希望小売価格)を決めるのは、メーカーの権利だ。販売店はそれを仕入れるかどうかの決定権はあるが、製品の値段に口出しするようなことはしない。

だが、Every Day, Low Priceを掲げ、世界最大の売上げ40兆円を誇るウォルマートの力は恐ろしく強い。○○マートというと、日本のスーパーマーケットを連想するが、家電製品も多数販売しており、フォーマット戦争の命運を握る流通とも言われる。

最近では、まさにSONYが提唱し、プレイステーション3が採用したブルーレイ・ディスク(Blu-ray Disc)。

ウォルマートがブルーレイ支持を表明したことにより普及した。そのいっぽうで、ウォルマートが販売に積極的でなかったため、東芝などが推進していたHD DVDは撤退に追い込まれた、という“伝説”もあるほどだ。ウォルマートの販売方針ひとつで、メーカーの勝敗が決まることもあるのだ。

現在、任天堂という企業の海外売上比率は8割にも及ぶ。
京都の任天堂の企業哲学がどうであろうと、アメリカのNintendoはウォルマートをはじめとする強い流通の意向に従わないわけにはいかなかったのかもしれない。

以上、そんな理由が考えられるかも、というひとつの希望的観測である。

(つづく)

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