Hisakazu Hirabayashi * Official Blog待ち時間、うつむかないで観察する

待ち時間、うつむかないで観察する

  • Day:2009.09.26 00:21
  • Cat:教育
東京ゲームショウから帰ってきました。
一昨日、昨日とこのサイトを訪れた皆さんは、ビジネスマンの方が多いと推定できます。

9月26日の土曜日から一般公開日。
ということで、今日は将来、ゲーム業界で働くことを目指す、学生の皆さんに向けてのメッセージをします。

主催者ホームページの開催概要によれば、(※開始時間を最大30分前倒し)の予定だそうです。あまり煽るのはどうかと思いますが、早起きをして会場に行ってください。

会場についたら、まず、何をしたらいいか。
ゲームを遊びにきた、という意識を捨てましょう。
ゲームを学びにきた、という意識を持ってください。

専門学校や大学の先生は、遊ぶために皆さんを幕張に行くよう指示なさっているのではないのです。学校によっては、休日の登校扱いで、代休がある場合もあるのではないですか? それは授業の一貫だからです。

東京ゲームショウは混んでいます。
人気ゲームばかり選んでいると、数時間待ちを何度も繰り返して、一日で3本程度しかプレイできなかった、という話をよく聞きます。

それはそれでまったく構わないのですが、大切なのは待ち時間の過ごし方です。
待ち時間を待ち時間と考えて、携帯ゲームを遊んで「時間つぶし」をしてはダメです。
『ドラゴンクエストⅨ』のすれ違い通信くらいは、やってもいいです。
そう、堅苦しいことを言いません。
ただ、持参したゲームを遊んだり、携帯電話でメールを打ったり、うつむいたままはよくありません。

では、どうすればいいのか?
顔を上にあげ、何でもいいから注意深く見てください。
私はこの2日間、プロフェッショナルのクリエイターの方たちと場内を見回りましたが、その観察力の鋭さには、いつも感心させられます。

たとえば、ポスターの色。同じ黄色でも、オトナ向けの黄色か、子ども向けの黄色かを無意識のうちに嗅ぎ分けています。それが違う場合……オトナ向けのゲームなのに、子どもっぽい色をしているとわかったら、すぐに「平林さん、これは色選びが違っていますね、もったいない」などと言います。

場内には、あふれるばかりの映像が流れています。
来場者の足を止めて、きちんと観られる映像をつくっている会社と、素通りされてしまう会社があります。これは、出展されているゲームに関係なく、映像のつくり方によって差が出ます。

私が師と仰ぐ、映像の先生はまるで体内時計があるように、カットの秒数を体内時計ではかることができます。「あ、あの映像は6秒でつないでいるから、観ていて気持ちいい」などと言います。

プログラマーは絶対と言ってよいほど、他の人がつくったゲームを観たら、どのようなプログラムを書いているのかを脳内で計算します。これはもう、染みついた習性のようなものです。プロフェッショナルですから、たいていのプログラムの構造はわかる。でも、「このゲーム、どうやってつくったのだろう?」とわからない作品に出くわすこともあります。すると、その前でジッと立ち、わかるまで観ているのです。好きなゲーム、嫌いなゲームは関係ありません。わからないゲームが、観るべきゲームになるのです。

待ち時間に流れている映像でも、メニュー画面が映れば、そこにはどんなコマンドが用意され、どんな配列になっているかを観てください。何かの意味があるから、配列が決まっているのです。

シナリオが画面下に流れるのを観たら、その文字は縦に何行、横に何文字かをすぐに数えましょう。数えると何か得をするのか? と問われれると困ります。何の得もないでしょう。でも、優秀なプロフェッショナルたちは、こういうものは、数えるのが当たり前だと思っています。

ゲームの映像、すなわちコンピュータ・グラフィックスには、実写にはない映像効果(エフェクト)が付くものです。数を数えるのが飽きたら、エフェクトのみに神経を集中して観ていれば、長い待ち時間など、あっという間に過ぎていきます。

それでも時間があれば、書体(フォント)ばかりを観ましょう、まだ時間があればカメラアングル、これはエフェクトと関連してきますが、映像内のキャラクターの重さをどのように表現しているか……とにかく、待ち時間は待ち時間ではなく、観て学べるものは無数にあるのです。

こんな観察をしていると、どうなるかというと、うつむいて持参したゲームを遊んでいるのとはまったく違う、充実した脳の疲れを感じることになるでしょう。脳がクタクタになるまで、観て、聴いて、観察してください。

それから、例年、人の少ないコーナーがあって、それはゲームスクールのコーナーです。
ここには絶対に立ち寄って、他校の人たちがどんなゲームをつくったのか、よくプレイして観察してください。皆さん、充実した一日を。

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