Hisakazu Hirabayashi * Official BlogニンテンドーDSi LLはテーブルの上に置いて使う

ニンテンドーDSi LLはテーブルの上に置いて使う

「正直者はバカを見る」という俗言がある。
いっぽうで、「正直は最大の戦略である」という論法もある。

世の中の商業メディアの大半は、「正直者はバカを見る」の考え方にもとづいて、つくられているようだ。有名な例では、クルマのカタログだろうか。クルマは車高が低いほうが、カッコよく見えるので、人が乗る室内や、トランクに砂袋などの重い物を乗せて撮影している。

私の知人に、ファッション雑誌業界の人間は多いのだが、あの業界も正直ではない。今、店頭に並んでいる「冬のコート特集」は、たいてい真夏に撮影している。屋外ロケの場合、カメラマンは灼熱の太陽を感じさせてはダメで、いかにも寒そうな光量で撮影するのが、プロの技となる。季節だけではなく、サイズもごまかす。モデルさんのウエストよりも、スカートが小さかったら、後ろのホックをはずして撮影する。逆に大きかったら、余った部分を洗濯バサミで止める。正面から見れば、その姿はわからない。

『おくりびと』。第81回アカデミー賞・外国語映画賞を受賞した名作も、商業映画特有のウソをつく。滝田洋二郎が監督は、インタビューで、あの映画は「山形ロケでは春に一気に撮影した」と言っていたと記憶している。なぜかといえば、春の桜は人間が咲かすことはできない。だが、その他の冬のシーンで雪を降らすことは、人工降雪機があればできる。したがって、あの映画の寒々とした雪降るシーンは、満開の桜咲く季節に撮影されていたのである。

商業メディアばかりではなく、報道だってあやしい。
元・ニュース番組のディレクターに教えてもらった。台風中継。各ロケ地に派遣されたキャスターは、「この地では大変なことになっている」ことを伝えるのが、暗黙の了解になっている。ところが、台風が静まってしまった場所は困る。「もう落ち着きました」では盛り上がらない。そんな場合は、カメラが回った瞬間に、風上からコンビニで調達したレジ袋を飛ばし、いかにも突風が吹いているように見せるのだそうだ。

「正直は最大の戦略である」は、ドモホルンリンクルの再春館製薬の企業CM「かつて売上至上主義に走った結果、寄せられた返品の山」がパッと思いつくが、このCMのすべてが正直かどうかはわからない。どこかに、見る者には気づかない砂袋や洗濯バサミがあるのかもしれない。

そして、これも気になる。「正直は最大の戦略である」という戦略をとったのか、ニンテンドーDSi LLの紹介映像は、とんでもなく正直なナレーションからはじまる。

「ニンテンドーDSi LLはテーブルの上に置いて使う、ちょっと大きなDSです」。携帯ゲーム機が携帯することを自己否定する。こんなに正直でいいのだろうか? それともテーブルの上に置いて使う携帯ゲーム機という、かつてないマーケットをつくってしまうのか? すごい賭けである。

公式サイトの映像は下記URLから右下の「DSi LL紹介映像」でご覧になれます
http://www.nintendo.co.jp/ds/dsiLL/

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