Hisakazu Hirabayashi * Official Blogもし小説を書いていたら、今、小説が書けたら

もし小説を書いていたら、今、小説が書けたら

今、長文の原稿を書いている。

もちろん、小説ではない。
でも、小説を書きたい。
いつか、書いてみたい。

もう、何年前のことだろう。
とても、ありがたいことに、私に「小説を書かないか?」と薦めてくれた、というか、わざわざスカウトに来てくださった編集者の方がいた。

大手出版社の所属する彼は、私にまず、文芸編集者の序列について尋ねた。
「文芸の世界ではどういう編集者が、一番認められていると思いますか?」

私は答えた。
「ヒット作を出した編集者!」
彼は首を縦にふらない。

「他社のベストセラー作家を引き抜いた編集者!」
やはり、違うみたいだ。

彼は言った。
「新人を発掘して、その人にベストセラーを書いてもらった編集者が最も認められます」

わーお。

すごい口説き文句だ。
面はゆい気持ちがしたが、その新人として、私に白羽の矢が向かっていたのだ。
自分では意識したことはないが、私の文体はエッセイ向きでも、論文向きでもなく、小説向きなのだと言う。
あるいは、私の気分よくさせるために、そんなことを言ったのかもしれない。

そして、彼が発掘した新人作家の例として、難しい漢字を使って分厚い本を書く、誰もが知っている小説家の名前を挙げた。あんな長編は書けない。ビビった。

「でも、私はフィクションは苦手で……」と言おうとしたら、サッと話をさえぎり、ストーリや登場人物設定は編集者がやります。できるかぎりのお手伝いをします。とにかくすごい迫力で押してくる。

思わず、その気になる私。
だが、彼は間髪を入れずにこう言う。

ただし、条件があります。
もし、小説を書くなら、今書いているエッセイもコラムも、全部執筆をやめてください。講演もしないでください。自分の考えを外に出すのをやめて、体内に書きたくて書きたくてたまらない状態になってください。発散するエネルギーがたまらないと、小説は書けないという。

参った。
この条件は飲むことができなかった。
他の出版社やクライアントの方たちとの関係を考えると、できない。
決断すれば、できたのかもしれないが、小説だけを書くなんて、やはり自信がなかったのだろう。

素晴らしいお誘いをいただいたが、結局、お断りすることになってしまった。
人生に「もし」はないが、あの名編集者とともに小説を書いていたら、私は何を書いていたのだろう。

今?

ある学生がTwitterでつぶやいた

母「来年からは家計が厳しいから最後の誕生日プレゼント」としてもらった5千円だがときメモ4で消えてしまった、なんか申し訳ないな

だけで、ものすごい分量の情景と心情が浮かび、一編の小説が書けそうな気がする。

Comment

私も小説を書いていた時期がありました
小説を書きたいという気持ちは私も持っていたことがあります。
いや、今でもたまに思います。

でも、設定とか考えずにプロットも立てず、いきなり思いついたことを書くというだけで、きちんとしたものではなかったのですが…。
ネットにアップしても、あまりまわりに反応が無かったので、今は休止しています。
やっぱり、誰か見てくれる人がいて、感想を貰ったりというリアクションがないと、続けるのは難しいかもしれないと思っています。

と、いいつつも、今は「メイドイン俺」で作ったゲームの動画をアップロードしていますが。

平林さんが小説を書くなら、どんなものになっていたんでしょうね?
  • 2009/12/06 01:55
  • t-hikl
  • URL
  • Edit
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2009/12/06 04:43
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
  • 2012/10/16 15:19
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
株主優待
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。