前に突っ込んだ選手の引退
- Day:2009.12.12 00:00
- Cat:スポーツ
監督やコーチは守備練習のとき、何と言っているだろうか?
リトルリーグ、中学、高校、大学、社会人、プロ野球……。
レベルは違っても、すべてのチームが共通している。
「ボールを恐がるな!」
「前に突っ込め!」
そうなのだ。
野球というスポーツは、ボールを恐がり、後ろに下がる人にはむいていない。
ボールを恐がらず、前に突っ込むのが名選手だ。
阪神タイガースの赤星憲広外野手がそうだった。
ところが赤星選手は、名選手であるがゆえに引退を早めた。直接の原因は9月12日の対横浜戦だった。ダイビングキャッチを試みた際、発症した中心性脊髄(せきずい)損傷。ヘルニアなどよりも、はるかに症状は重く「今度やってしまったら最悪、命にかかわる可能性もある。100%のプレーができないならプロとして身を引くべきと考えた」と10日に突如引退を表明した。
新人王受賞、盗塁王、5回。ゴールデングラブ賞、6回。
2003年、チーム18年ぶりの優勝は赤星選手のライトオーバーのサヨナラヒットだった。
「ハンディキャップのある人でも球場に来て野球を観戦してほしい」との思いから、そのシーズンで記録した盗塁数と同じ数の車椅子を毎年寄付していた。
各スポーツ新聞は、9年間の選手生活を終えた、と報じている。
でも、私は来年、「好きなプロ野球選手は誰ですか?」と訊かれたら、赤星選手と答えてしまいそうだ。