Hisakazu Hirabayashi * Official Blog心の犠牲のうえに成り立つ産業

心の犠牲のうえに成り立つ産業



ヒラバヤシさん、よくわかりました。では、あなたが言うところの「任天堂業界」ではない「ゲーム業界」はどうなのでしょう。ソフト会社の業績は、まあまあのようですが。




ライヤー博士、数年前にわれわれが予見したように、既存のテレビゲームは、もはや日本国内市場で損益分岐点を超えて儲けることは難しく、アメリカ、ヨーロッパ、その他地域の海外市場をマーケットにしなくては成立しません。

また、たとえばXbox360とPLAYSTATION3のようなマルチ・プラットフォームでソフトウェアを開発しないと、これまた開発予算オーバーとなります。

海外市場の獲得とマルチ・プラットフォーム。その両者の併用ができる企業のみが、好業績を残しています。つまり……複数の販売エリア、複数ハードの市場を開拓しないとやっていかれない状況です。いや、これはネガティブな言い方ですね、複数の販売エリア、複数ハードの市場を開拓できたので、現在のソフト会社の経営は成り立っているのです。

それ以上に深刻な問題は、そこで働く社員のモチベーション、メンタルヘルスの問題です。

かつて、私は「経営者が六本木でキャビアを食べ、シャンパンを飲んでいるときに、クリエイターは徹夜仕事をし、寝袋にくるまっている」と申し上げたことがありました。

ゲームソフト産業は、多くの若者の睡眠不足と過剰労働のうえに成り立っていたのです。

それでも、彼らには希望がありました。完成されたソフトは確実に発売され、売れて、いくばくかの報酬に結びついたからです。

でも、今は違います。
ゲームとは何で、私は何者で、この会社はどこに向かうのか?
自己確認できずに、働く若者が激増しているのです。
私はキャリア開発、人材育成に目覚めたのは、心を犠牲にしてまで働く若者たち――その惨状をまざまざと見たからです。

はっきり申し上げましょう。
昔のゲームソフトは、若者たちの睡眠不足のうえに成立していました。
今のゲームソフトは、若者たちの鬱状態のうえに成立しています。

下の絵はローマ時代のガレー船です。
乗組員たちはオールを漕ぎますが、今どこにいて、この先どこに向かっているのか、外界が見えない。今、ゲームソフト会社で働く社員の多くは、こんな船の乗組員に似た心境にあるのではないでしょうか。

romangalley.jpg


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Comment

やっと
世の中の統計や雑誌やお偉いさんは、史上最高の伸びとか言ってますが、まったく実感がありません。30歳で15万円の給料の社員などいっぱいいるし、それとメンタルの問題ですね。うちの会社は40人くらいの会社ですが、メンタルな病気(たぶん鬱病)で会社をやめている人間があとをたちません。大手なら休職という道もあるのでしょうが、ウチみたいに小さい会社だと、自然といずらくなって退職することが多いです。知り合いの大手の会社でも似たような状況だと聞きます。誰かそのことを言わないかな、と思っていたのですが、やっと平林さんが言ってくれた。言ってくれてありがとうですが、もっと早く言ってほしかった。ゲーム業界手遅れっす。
  • 2008/08/27 16:19
  • ゲーム制作会社
  • URL
続けます
かなりの反響をいただきました。この話題は続けます。
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