Hisakazu Hirabayashi * Official Blogゲーム業界版・不都合な真実(3)

ゲーム業界版・不都合な真実(3)

一昨日、昨日と書いた「ゲーム業界版・不都合な真実」は、パンドラの箱を空けてしまったようです。ブログを更新したあとのTwitterでの意見交換は延々と続き、知人からは深夜に直接電話がかかってきました。メールでもこんなことを書いて大丈夫か? と心配してくださる方もいらっしゃいました。

と、ちょっとした騒ぎになるほどのエントリーだったわけですが、救われることに、私がここに記したことは暴露話と受けとる方は皆無に等しく、一昨日に書きましたように私が新著を書くようになった根本的な問題意識として、ご理解をしていただきました。そのうえでの白熱した議論が、早朝まで続いたのであります。

また、これはつけ加えるべきことかと思うのですが、「ゲーム業界版・不都合な真実」。
そんなことは聞いたこともない。
まったく知らなかった。
……というご意見はゼロでした。

それどころかご自身の病歴や、職場における事例を情報提供というかたちで、わざわざお教えくださる方が20名以上いらっしゃいました。

さて、そんなTwitter上での議論で、多くの方が関心を持たれていたことは「他の業界と比べてゲーム業界は心の病が多いのか?」ということでした。

結論を申し上げると、わかりません。
そこがまさに不都合な真実で、実態調査をするという行為からして、避けられてきた気がしてならないのです。

たとえば、私はこんな経験をしたことがあります。
あるビジネス雑誌から、ゲーム業界特集を組みたい、との取材のお申し込みを受けます。
「日本のゲーム開発力がアメリカをはじめ、諸外国に比べて劣ってきている要因は何か?」というインタビュー。

そのなかで、根本的な要因として、働く人の意欲が低下している。他国の開発者が将来に夢を見ているのに対して、日本では夢の時代は終わっている感がある。むしろ、ゲーム業界の将来不安にさいなまれている。その諸例をあげても、心の病のことは削除されます。掲載されません。

同じことは研究会、学会、勉強会での議事録などでも経験したことであります。こう申し上げることは、逆に私の偏見かもしれませんが、このような会合では昨日掲載したグラフは見なかったことにして、また上のインタビューとは異なって「世界で評価される日本のゲーム産業」を実態調査するのが目的であると思われ、当然ながら開発者……もっと広く言えばゲーム産業従事者の心の病のことなど、やはり掲載されません。

その点、といってはなんですが、IT業界では封印されることはなく、我が業界の問題意識として調査されたことがあります。

たとえば日経BP社が運営するITproは、
アンケートで分かった「心の病」の悲惨な実態
第1回 うつ病の増加は,IT業界から始まった
ITmediaも、
ストレスにさらされる業界、「IT・通信」がトップに

といった特集を組んでいます。
いずれも「今」を示したものではありませんが、無視できないデータといえるでしょう。

他のデータとしては、厚生労働省によって3年ごと10月に全国の医療施設に対して行われている「患者調査」の結果が発表されています。

これでは情報が多すぎてわかりにくい場合は、社会事情データ図録という有用な統計をまとめたサイトがあり、病名を検索するとこのようなデータを見ることができます。

いったん、まとめます。
昨日の深夜、Twitter上で大いに議論された業界ごとの比較やデータについて。

まず、「ゲーム業界」というくくりのデータは、私が知る限りありません。
これは業界全体の問題として、研究すべきテーマかと思います。ですが、私見ではメディアも学会も「不都合な真実」として封印されてきた感があります。ただし、ゲーム業界に隣接するといってもよいIT業界の場合は、各種のデータが残されています。

昨日のグラフのつづきで、2000年代後半はどんなことが起きたのかを語り、それはキーワードだけ申し上げると、極度な作業の分業化、開発期間の長期化が起因するのではないか? という仮説を述べ、この「ゲーム業界版・不都合な真実」のシリーズは終えるつもりでした。でありましたが、Twitter上での議論で、お約束をしたという事情もあり、本エントリーでは、私が知るデータについてお伝えすることにいたしました。

(つづく)

Comment

御著作を引用させていただきました。
私、CNET japanで読者ブロガーをしています。エントリー「対話なき日本に未来はあるか」http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2010/02/28/entry_27037767/というタイトルで御著作の「なぜ、泣ける男は成功できるのか」の文章とリンク先の記事を引用させていただきました。お暇がありましたら、閲覧をお願いします。
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