異業種渾然一体電子書籍市場参入現象到来
- Day:2010.06.10 11:41
- Cat:デジタル
90年代の初頭、ゲーム業界は異業種からの参入ラッシュが起きた。
任天堂が出している、スーパーファミコンはものすごく売れているらしい。
この市場に入ろうと、大手家電メーカーがいっせいにゲーム機の研究・開発をはじめたことがあった。
もう少し、細かく述べれば、80年代。ファミリーコンピュータ全盛期の時代にしてすでに、任天堂は巨大市場を事実上独占していた。けれども、当時は大手家電メーカーが参入するには障壁があった。テレビゲームには、「負」のイメージが強すぎたのだ。
ところが、90年代になると世間のイメージは、少し変わった。
この潮の流れの変化を感じとり、こぞって参入を企てたわけである。
松下電器、三洋電機、ビクター、パイオニア、そしてソニーなどの企業が、どこまで足を突っ込むか、その本気度(←当時の流行語)は個々によって違ったが、何らかのかたちで、家庭用ゲーム機市場に参入した。
あの頃の感覚を思い出す。
夢があった。
野心があった。
不安もあった。
「他社がやるからウチもやる」という、横並び意識もあった。
そこには、正も邪も、清も濁もゴチャゴチャに混ざっていた。
その相似形のようなものを見ているような気がする。
当時はハードウェアを開発するメーカーが参入者だったが、電子書籍の場合は、クリエイティブな仕事をしている人、出版社の人、新聞社の人、流通にかかわる人、印刷会社の人、金融決済にかかわる人、通信のビジネスにかかわる人……たちを巻き込んでいる。
この「異業種渾然一体電子書籍市場参入現象到来」は、どういうことなのか、今後どうなるのか、わからない。いや、分析癖が強い私は、先入観を持たないよう、あえてわからなくするよう、自制しているのかもしれない。
(どこかで聞いたセリフだが)一兵卒のモノ書きとなって、電子書籍をつくることを楽しみながら体験している現在。たとえば、<ruby>渾然一体/こんぜんいったい</ruby>とタグも含めて原稿を書いている。手間がかかるが、意味もなく楽しい。