ニンテンドー3DS、能動的な操作を行わなくても通信
- Day:2010.06.17 12:31
- Cat:ゲーム
かような状況で、今年のE3を取材していないわけですが、思うところ、書かせていただきます。
最も注目されたトピックスはニンテンドー3DS。
評判は良いようです。
メガネなどの装置を使わない裸眼立体視の実現に、驚きと期待の声があがっています。
私はニンテンドー3DSを見ていないのですが、(シャープ製の)裸眼立体視ディスプレイを見たことがあります。その時の感覚は飛び出す3Dではなく、奥行きがある3Dでした。ニンテンドー3DSもそういう印象を与えているようです。ニンテンドー3DSをレビューする記事は各所で書かれていますが、「大迫力の立体感」とお祭り騒ぎしているような記事をあまり見かけません。それよりも冷静な「没入感」という独特な言い回しに、懸命な多くの記者の方の思考は、たどりついているようです。
飛び出す3Dではなく、奥行きがある3D。
この仮説が正しいとするならば、ニンテンドー3DS発売初期の対応ソフトウェアは、主人公が前方に進んで行くものが多くなることが予想できるのですが、どうでしょう?
世界ではじめての裸眼立体視できる携帯ゲーム機。映像のことに話題が集中するのは当然のことですが、私が注目したのは、ニンテンドー3DSの進化した無線通信の機能です。
本体概要に書かれています。
「ユーザーが能動的な操作を行わなくても、スリープ時に自動でニンテンドー3DS同士でデータを交換したり、インターネットからデータを受信する機能をシステムでサポート」と。これは、ひょっとするとニンテンドー3DSを所有して楽しいと思える肝(きも)の部分になるかもしれません。現行機・ニンテンドーDSのすれ違い通信とは違って、プレイ中のソフトに関係なくハードウェアそのものが、Wi-Fiアクセスポイントや別のニンテンドー3DSを探します。この通信によって、新しいステージなどのデータが「ユーザーが知らないうちにダウンロード」されるのです。
ニンテンドー3DSを持ち運んで雑踏を歩く。帰りの途の電車のシートに腰かけたら、どんなデータが入っているのか、ニンテンドー3DSを開く。気持ちは宝箱を開けるドキドキ感にも似ている。この通信方式は、ニンテンドー3DSを携帯する強い動機になるだろうと想像します。(システムについては、プレゼンテーション映像の後半で岩田社長により詳しく説明されています)
ユーザー視点から見れば、「宝箱を開けるドキドキ感がいつも」という楽しさを手に入れることになりますが、ビジネスの視点から見ると、これはまったく新しい通信プラットフォームの出現といえるかもしれません。気の早い話ですが、ニンテンドー3DSが1000万台売れたとします。これは日本中に1000万台の無線機がばらまかれたのと似たような話で、膨大なデータ通信が、いつでも、どこでも行われることになります。ユーザーばかりではなく、NTTも総務省もまったく関知しないところで。
裸眼立体視の魅力はE3を終えて既知のものになりました。
無線通信の魅力は未知の段階です。
当然売れるだろう、ニンテンドー3DSです。
発売時には「爆発的な人気!」と形容されることになるでしょう。
では、その人気がどこまで持続的であるかは、ユーザーが能動的な操作を行わなくても、スリープ時に自動でニンテンドー3DS同士でデータを交換したり、インターネットからデータを受信する機能と、それに付随するサービスにかかっていると考えています。