Hisakazu Hirabayashi * Official Blog電書フリマの光景のつづき

電書フリマの光景のつづき

今日の一人称は、珍しく僕にしてみよう。

僕は電書フリマで、「電子書籍ビジネス最前線!」というオーディオブックを販売したのだけど、そこで、大まじめにこんなことを語っている。

「家電メーカーの皆さん、電子書籍端末をつくるくらいなら電子レンジをつくったほうがいい」なんてね。

電子レンジは参入メーカーが少なくて、過当競争は起きない。
高級品をつくれば、10万円以上で売れて、価格競争にも巻き込まれない。

ところが、電子書籍端末は、ハード乱立が目に見えていて、激しい価格競争が起きるのも必至だ。

今年は、そういうビジネスの覇権争いが激しい年で、けっしてバラ色の「電子書籍元年」にはならない、と僕は思うのだった。

そもそも、僕は「元年」を信じない。
90年代に、「マルチメディア元年」なんて言われたけど、あれは虚像だった。

僕は当時、知ったのだけど元旦の新聞。
第一部、第二部、第三部……って、ものすごく分厚いのが届くでしょ。

あの特集号は、じつは8月のお盆の頃からつくっていて、ものすごいボリュームの記事を書いておき、そして関連企業から広告を募集するわけ。

という光景を何度も見てきたせいか、「元年」は予想でも分析でもなく、ビジネスなのではなかろうか、という疑いが頭から離れない。メディアの元年ビジネス、とでもいうのだろうか。

ちなみに、確か2006年だったと思う。
当時連載していた新聞の年頭の号で「今年はマルチメディア元年だ」と書いたことがあった。YouTubeのサービスが始まり、ワンセグ放送も始まろうとしていたから。担当デスクは、シャレのわかる人で笑って原稿を受けとってくれたことがあったけれども。

ところで、即、元年はやってこなくても、電子書籍を読む時代は、いつかやってくる。
そのいつかまで、どの端末が勝つか、どのフォーマットが勝つか、どの流通網が勝つか?
見ているのは、あまりにも時間が惜しい。
何か動いていたい。
そんなことを、僕は去年から考えていた。

そこで、米光さんから聞いたコンセプトにピンと来た。
今から電子書籍をつくる=賛成。
未知数のネットではなく対面で売る=賛成。
ビジネスと考えず部活とする=賛成。

思わず……「正しい」と言ってしまった。
そしたら米光さんは、まるで返礼のようにこんなことを書いてくれて、たがいに自信を深めっていった(?)、という経緯がある。

今回の電書フリマで販売された、

電書フリマへの道

米光一成
電書フリマ開催までにどんなことが起こり、何を考え、どういうふうにビジョンがクリアになっていったかが赤裸々に! 開催までに米光が書いたメーリングリストのテキストを再構成。電子書籍部がチームワークを発揮する時に使われた「集団創作のルール33」も収録。


電書部技術班 シーズン1

電子書籍部技術班
『電書部技術班/シーズン1』電書部を支える凄腕チーム「技術班」の正体とは-。その発足から文学フリマ参戦までを、30万字以上に及ぶSkypeチャットの膨大なログをもとに再現。電子書籍をめぐる「やってみないと、わからない」の数々を追体験できる。


に、詳細が書かれているが、まさに「やってみないと、わからない」の連続だ。

本が荷物にならないからまとめ買いをする。
頭でわかっているのと、お客様の購入リストを目の当たりにするのは大違い。

書店で立ち読みする感覚で、サンプルをつくるのだが、お客様はどんなところ見ているのか。
じつは、良いことが書いてあるサンプルよりも、カラフルなサンプルが人気だ、なんてこともわかる。

そして、今回の体験でわかったのですが、編集者の存在の大きさ。

こういってはナンだけど、僕は元出版者社員で、編集能力は「あるほう」だと思う。でも、名編集者S君がいてくれなくては、今回の原稿は完成しなかった。紙であれ、電子であれ、客観的な意見を言ってくれ、締め切りをうまく催促してくれ、そしてなにより著者を孤独にさせないという、編集者の存在は欠かせないということを肌身で感じたのだった。

電書部のみなさん、ありがとうございました。

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  • 2010/07/21 22:46
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