Hisakazu Hirabayashi * Official Blog出版業界について知りたい君へ

出版業界について知りたい君へ

君のお父様には、いつもお世話になっています。
そのご縁でお会いすることができますね。

明日は涼しい長野から、暑い東京に来てくれるんですね。
ありがとう。
ゆっくり話をしよう。

出版業界に興味があるんだって。
将来、雑誌をつくりたいのかな?
本をつくりたいのかな?
それとも、莫然とした興味があるだけなのかな?
理由は、なんでもいいんだよ。
とにかく、将来、働くことに希望を持っていることは素晴らしいことだ。

オジサンは、「私」って自分のことを呼ぶよ。
このブログでも、明日、お会いしたときもね。
オジサンは、自分のことをオジサンっていうのが好きではないんだ。
堅苦しいかもしれないけど、「私」で許してね。

私は学校を出てすぐ、出版社に勤めた。
隔週刊誌の編集を5年以上やって、単行本も数えきれないくらい担当した。
会社をやめて独立してからも、雑誌や本に原稿を書く仕事をしている。

だから、雑誌や本はどうやってつくるのか、よく知っているよ。
企画して、執筆して、デザインして、印刷して、製本して‥‥
この大きな流れを、いくらでも細かくして説明できるよ。

雑誌や本の総ページ数が、16の倍数が多い謎も教えてあげよう。
紙が一枚あれば、説明できるんだ。

ギョーカイ用語も知りたい?
ノド
オビ
トビラ
ソデ
コシマキ
ツカミホン
オクヅケ
カタカンノン
ツメ
普通の中学生が知らない言葉を知りたいのなら、いっぱい教えてあげられそうだ。

ビジネスのことを尋ねてくれてもいいよ。
本が完成してから、どうやって読者に届くのか。
出版業界特有の流通のしくみを解説してあげよう。

うーん。
それとも、優秀な君のことだから、今の流行の電子書籍のことを知りたいのかな。
新聞やテレビでも、よく取り上げられるし。
書店に行くと電子書籍関連の本がいっぱい並んでいるし。
それも大丈夫。
なんでも尋ねて。
私は電書部というグループの一員だから、かなり情報は持っているつもりだ。

勝手に予想をすると、こんなことが質問されるのかな?
とにかく緊張しないで、なんでも尋ねてね。

でもね、私はお父さんから聞いていると思うけど、天の邪鬼なんだ。
漢字で書くと恐いから、ひらがなにしよう、あまのじゃく!

おまのじゃくの私はね。
普通に尋ねられて答えるよりも、本当は君に質問を投げかけたいんだ。
私が先生で君が生徒ではなく、一緒に考えたい。
これは難しい問題だから、私も答えがよくわからない。
むしろね、中学生である君の意見を聴かせてもらって、参考にさせてもらいたいんだ。

それは何か?

「公にするって何?」っていうことなんだ。

出版。
君は英語が得意とお父さんから聞いているから、英語の話をするね。
出版することを、英語ではpublishっていうよね。
出版社は、publishing companyやpublisherという。

publishのもとは何かというと、もうわかるよね。
public。
一般的には 「公の」「公共の」と訳され、その反対語はprivateだ。

個人が考えたことを公にするからpublish。
世間の全員は知らないけど、自分だけ知っていることを公にするからpublish。
公にするって、すごく責任重大なことなんだ。
世の中を動かすことでもあるからね。

人間の心のなかには、公にしたいことと公にしたくないことがある。
また、社会の規則で、公にしていいことと公にしてはいけないことがある。

自分のことをpublishするにしても、他人のことをpublishするにしても、その線引きが本当に難しいのが出版っていうヤツなんだ。

だから、本当は公にしなくてはいけないのに、それが封じ込められているとしたら、それは不幸な社会だよね。本当は公にしなくてもいいのに、そんなことばかりpublishされていたら、ただの情報過多だよね。

「正しい公のしかた」

このことについて考えることが、出版について勉強する君、それに私にとっても一番大切なことだと思うんだ。難しいかもしれないけど、こんな話をしたいです。明日を楽しみにしています。

最後に、長沢岳夫さんという有名なコピーライターが書いた、私の好きな文章を書いておきます。

少年の入り口、夏。少年の出口、夏。

私はこういう言葉を公にしたくて、出版社で働くことになったのでした。

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